楽しく書いただけでタイトルはないです
美しいと、私はついそう思っていた。
一人の男子が夕焼けのしたの海辺ですわっていた。ちょっと憂鬱そうな目で遠く眺めている。髪は夕焼けで金色に染まり、輝いていた。絵みたいに美しい。
そんなに強く景色を絵で残したい気分は初めてだった。頭の中に刻みたかい。そう思いながら、私は絵を描き始めていた。
「誰だ」私が沈んでいた幻は大声で破られた。「何を見てんだよ」ちょっと怒っているように聞こえていた。
「い、いや。夕焼け綺麗なと思って、絵を描きました。」私は精一杯考え出した言い訳を小声で返事をしていた。
「じゃ見せて」彼は言いながら、私の方を向かって歩いて来ていた。
近くなっていたら、私と同じ学校の制服だと気付いていた。顔は見たことないけど。
身長が高くて顔もきれい。それに勉強も運動もできそう。
「モテそうな人だなあ」
「今なんて言った、よく聞こえない」
やばっ、本音、漏らしたのかな。ちょっと気まずいと思ったのか、頬が熱く感じた。
「絵、まだ描く?見てもいい?上手だな、美術を勉強している?」
連続の発問に対してどう答えたらいいのかわからなかった。
うん、と、私はまた絵を描き始めていた。
ちょっと動揺したことを隠すために。
暗くなるまでの間、彼は隣に座ったまま、私の絵をじっと見ていた。沈黙の中、時間が止まったように感じた。楽しかった。
一番覚えていたのは、彼の睫毛は長かったことだった。
~おわり~