用語解説
本作の用語集です。
造語が多い作品なので「なんだっけコレ?」と思ったら確認にお使いください。
随時更新中。
大破綻……2034年に大西洋で起こった超巨大爆発だ。その衝撃で起こった水柱は大気圏にまで到達した。核兵器の使用、水爆実験の可能性など当時あらゆる調査が行われたそうだが、結局原因不明、ただ爆発が起きた、それだけという最も異常な結論が出ただけだった。
それからすぐに、終わりが始まったが。
giregyura……もともとは南米?アフリカ?中国内陸部?あたりの少数民族の言葉らしい。意味は「独り言」とか「しゃべる」とか、そんなものだったはず。
その言葉を気に入った創業者が社名に取り入れたのが、ギレギュラ社の始まり……現在は一般的には、ギレギュラ社が運営する世界最大のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)のことを指す。
旧世界……退行者が生み出す、超巨大高層建築物だ。環境を問わず構築され、外観としては灰色の金属の板が無数に重ねられて整えられた、信じがたいサイズのドーム球場、のような様相が一般的である。
現在世界累計においては、(日本を除いて)大破綻爆心地付近の六か国に合計42個が確認されており、そのうちの3つに計140人の調査団が派遣され内部調査を行った事例がある。
私はさして興味が無かったので知らなかったが、そのうち帰還者はわずか二名、その帰還者……生存者も、詳しいところについては口を閉ざしているらしいというから、ろくでもない場所だということは想像に難くない(私としては、最初、情報を単に隠蔽秘匿されているのではと思っていたのだが、残念ながらそうではなかったようだ)
退行者……中国の工学研究者らが名付けた名称だ。同様に、退行者が生み出す巨大建築物……旧世界もその研究チームが命名したらしい。
退行者は大破綻のあとに爆心地近辺に突如として出現した、非生命的外見をした自立する詳細不明の……簡単に言えば、巣を作り続ける働きアリのようなものだ。
性質として、退行者は自身の体から溢れる硬度の高い物質を用いて、旧世界の外郭を構築する。そうして生み出されたドーム型の旧世界は、まるで土地の領有権を主張するかのような密閉された空間であり、内部の全貌はそれぞれの旧世界によって異なるようである。
退行者自体が人間に危害を積極的に加えた事例は確認されておらず、意識、自我のようなものが確固としてあるのかどうかも不明である。
nihonium……ネットも出来る、いわゆる衛星電話だ。電気通信網がほとんどダウンしているこの状況で、ギレギュラを使えるのはこの携帯のおかげ。
ギレギュラのサーバーもダウンしていないということは、これも衛星通信や他の技術を遣ったSNSなのだろうか……何も分からない、文系じゃなくて理系を選択しておくべきだったか。
ハシバシトウコ(私)……大学を二回中退した経験を持つ。どちらも文系で専門と言ってもいいのか分からないが、学科は日本文学系だった。が、この状況においてはそんな知識は活かされないし、そもそも私はアカデミックなことが肌に合わなかった人間だ。今こうして生きているのは、そんな不真面目が幸いしたのだと思っておくこととしよう。そうでなくては気が狂いそうだ。