従魔の魔女
自室に戻った私はいつも寝ているドア近くの部屋の隅に座り壁に背を預ける
(痛っ…うまく流せなかった…)
うまく衝撃を躱しきれなかったせいで右腕が痛む
(今日はもう寝よ…)
近くにある薄い毛布を自分に掛けて目を閉じた
魔女、広い定義では攻撃魔法と治癒魔法を使える女性のことをいう
ちなみに男性だと魔導士という
ほとんどの人たちは宮廷魔術師として仕えたり、冒険者として自由に暮らしている人がほとんどだ
でも、本当の魔女、魔導士は違う
魔法に関しては変わらないが、それぞれ神から使命が与えられているという
その使命を果たさずに死んでしまうと記憶を持ったまま生まれ変わるといわれている
(つまり、私が魔女っていうのは間違えではないんだろうけど・・・使命が何かなんて全くわからないしな)
生まれた時から使命がわかっている者もいるというが、ほとんどの者は自由気ままに生きているうちにこれが使命なのかと気づくらしい
私は後者なため全く見当もつかない
有名な魔女は5人
今、生きているのは私を合わせても2人
この街に来ているのとは別の勇者の伴侶、不死身の魔女
そして…
(私の前世で呼ばれた名は従魔の魔女。昔、この街で殺された魔女でもある。でも、子孫であろうこの街の人たちに恨みはほとんどない)
従魔の魔女がこの街で恐れられている理由は殺された後、私が契約していた従魔たちがこの街を襲ったからだという
そして、たまたまこの街の近くに来ていた北の勇者と伴侶の不死身の魔女に助けられたという
つまり前世で契約していた従魔たちは私の仇を討とうとしてくれたらしい
(正直うれしかった。それと同時に悲しくもあったけど)
前世と同じ白髪のせいで大変なことばかりだけど私はただ、自由に生きるそれだけ
私は日課である両親の墓に手を合わせているのを見ていた人影に気づかず、そのまま薬草取りに行ったのだった