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第8話 「村一番の盾使い」

 

 額に流れる汗を腕で拭う。


 俺は盾を片手に、ひたすら村中を駆け巡っていた――。



 俺が一生懸命に何をしているのかというと、広場に転がっているウ〇チを集めているのだ。


 えっ? と思った人もいるだろうから、もう一度言うぞ?

 俺は広場に転がっているウ〇チを集めている。


 なぜウ〇チを集めるのか? そんな些細(ささい)な疑問持ったかもしれない。

 その答えは単純だ。


 そこにウ〇チがあるからさ! 


 オークはトイレという概念を持っていないようで、そこら中にウ〇チをするのだ。おかげで、どこもかしこも悪臭がきつく、ハエがブンブンと飛び回っている。


 まだそれだけならいいのだが、怪我(けが)をした子供のオークの傷口にハエが群がり感染症を引き起こしているのだ。衛生観念ゼロのこの状況に俺は黙っていられなかった! 


 え? どうやってウ〇チを集めているのかだって? 


 忘れていないか? 俺は盾使いだぜ?

 そこら中に転がっているオークのウ〇チがあるだろ? 

 それを盾に載せ、そして運ぶんだ!



 せっせと大きな盾でウ〇チを集めては村の外れへと運ぶ。


 村のために必死で働いた。

 働かざる者食うべからず、なのだ。


 もし俺がそのような心構えを少しでも持ち合わせていたなら、間違いなくこの世界には来ていなかったのだが……。

 皮肉なものだと盾に載せたウ〇チを見ながら苦笑いをした。


 俺がせっせとウ〇チを運んでいると何やら向こうが騒がしい。


「*********」


 とオークの子供たちが俺を指差して笑っていた。

 オークの言葉は理解できなくても、バカにされているのだとわかる。


 バカに馬鹿にされるというのは我慢ならないが「それでも村のためになるんだ」とそれを無視してウ〇チを集め続けた。


「おまえらみたいな低能(くそ)モンスターにはわからんだろうな! この作業の意味が!」


 自分にしか聞こえない様な声量で、ウ〇チを盾に乗せながらポツリと(つぶや)く。


 すると……


「ビチャリ」


 という音とともに、出来立てと思われるホカホカの臭いものが俺の頭にぶつかった。


「*********!」「*********!」


 と子供オークのはしゃぐ声。

 子供のオークたちからウ〇チを投げつけられたのだ。今すぐにでもぶっ殺したい衝動(しょうどう)をグッと抑え、ウ〇チまみれのまま作業を続ける。


「ビチャリ」、また「ビチャリ」とウ〇チが飛んでくる。


 こういうのは「反応したら負け(・・・・・・・)」なのだということを俺は知っている。この手の(やから)は、わざと悪戯(いたずら)して怒った相手の姿を見て喜ぶのだ。


 それに中学時代も高校を辞める時も、似たような目には()っていたから多少の耐性はあった。

 (くそ)ガキたちの挑発を無視して作業を続けていると、


「*********!!」


 と子供オークの泣き声がした。

 声のする方へ目をやると、ウ〇チを投げた子供オークたちが、大人のオークにビンタされていた。それも何回も、何回も。


(ザマァ! www 怒られてやんのwwww)


 心の中で大爆笑し勝利宣言をする。


 オークの村社会において、通常であれば子供同士の喧嘩(けんか)に大人オークは介入しない。介入したとしても、あくまでそれ以上エスカレートしないように仲裁に入るくらいだ。


 今回のようにウ〇チ投げごときで大人が口だけでなく、手を出すというケースは見たことがなかった。


 では、なぜ大人のオークが介入したのか?


 なぜなら俺は……


 オーク村の村長の息子なのだ!


 どうやら下級の子供オークが、権力者の息子をイジメるなど許されない行為らしい。そのおかげで子供のオークよりも体格が劣る人間の俺は、イジメらしいイジメに()うことはなかった。


 イジメがあったとしても、今回のようにウ〇チを投げつけられたり、集めたウ〇チの山に放り投げられたりするくらいの軽めのもので済んでいた。


 権力者、様々(さまさま)である。


 ◇


 ウ〇チを片づけると、村は見違えるように綺麗(きれい)になった。


 といってもオークたちは、そこら中でウ〇チをするからすぐ汚れてしまうのだが。それでもするとしないのでは、大きな違いがあるのは当然だった。


 遠くからズシンズシンと音がする。

 パパたちのお帰りだ! 


 オークたちは村の入り口に集まり、狩り部隊の無事の帰還を喜んだ。

 帰って来たオークの集団が広場に今日の獲物を広げる。

 今日のご馳走(ちそう)は熊だった。


 熊を中心に囲んで皆で食事をする。

 生肉を食えない俺はというと、もちろんオークママのミルクだ。


 やがてオークパパが村の広場の様子の変化に気づいた。

 驚いた顔でママを見て尋ねた。


「*********?」


 するとオークママは俺を指差しながら


「*********」


 と答える。

 するとパパは満面の笑みで俺の頭をなでてくれた。

 どうやらウ〇チを片付けたことを褒めてくれているようだった。

 俺は褒められてなんだか嬉しかった。


 よーし! 明日からもウ〇チ拾いを頑張るぞー!



 ――――――――――――

 進 LV? 

 職業:ウ〇チ拾い

 武器:なし

 あたま:なし

 からだ:なし

 うで:戦士の盾(ウ〇チ臭い)

 あし:なし

 ――――――――――――


 進、三十八歳の元・子供部屋おじさんは職業ウ〇チ拾いにパワーアップした! 


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