第17話 「足りない何か」
ガリベンと小川で全身に浴びたウ〇チ臭いスライムの汁を洗い流している。
体中がウ〇チ臭くなってしまったが、そのおかげでわかったことがふたつある。
ひとつはスライムの体を構成する物質を浴びても平気だということ。
恐らく餌を取り込む時や相手を攻撃する時だけ、何らかの特殊な体液を吐き出すのだろう。
さっき俺の指紋を溶かした体液がそれだ。
ふたつめは、このスライムはウ〇チ山が消えたことと関係しているということだ。
これは俺たちの体にベッチョリと付着した残骸の臭いが、それを物語っている。
小川で体を洗いながら考える。
「だけどなぁ……強さもだけど、全然足りねぇんだよなぁ……」
もう一度トイレへと向かうことにした。
どうしても確かめたいことがあったのだ。
「*********」
とガリベンに指示を出した。
首を捻るガリベン。
「仲間を集めろ」
そう俺は必至に伝えようとする。
しかしその想いはガリベンには伝わらなかった。
情熱〈パッション〉が、俺の想いが足りないのだろうか?
しょうがないので広場で糞ガキどもに声を掛けていく。
もちろん絶賛喪中の番長には声は掛けない。
俺は空気を読める男だからな。
「*********」
もう一度スライムを見つけてこいと指示する。
今度は伝わった。
というか俺の意図を理解したガリベンが、他の糞ガキたちに通訳してくれた。
糞ガキたちがスライム捜索に散る。
俺は被害のあった寝床を再調査することにした。
どうしても確認したいことがあった。
それは寝床に残っていた匂いの幅であった。
どう考えてもあのサイズのスライム一匹や二匹で、オークが骨にされるとは到底思えなかった。
オークを丸ごと吸収したとするなら、それなりの大きさがあるはずだ。
寝床の地面に残された匂いを嗅いで襲撃者の幅を調べる。
番長一家の寝床の地面に残されたウ〇チの臭いの幅は約二メートルほどだった。
約二メートル……か。でかい。
あの子猫のような大きさのスライムがそこまで成長するのだろうか。
にわかに信じ難い。
次は単身オークの寝床に残された匂いの幅を調べる。
こちらの臭いの帯の幅は十メートル程あった。
たらりと冷や汗が背中を流れるのがわかった。
(オークをまるごと……だからな。ある程度予想はできたが、それでも――。そんなヤツが本当にいるのだろうか?)
嫌な予想が脳裏を離れないまま、俺は再びトイレの方へと戻った。
糞ガキたちが広場のあちこちに散らばっていた。
ちゃんとスライムを探しているようだった。
少し先の茂みにプリプリとした小さなお尻が飛び出ていた。
(頭隠して尻隠さず。そんな言葉がぴったりの状況だな)
後ろから軽くポンとプリプリとしたお尻に蹴りを入れた。
ガリベンはこちらを向くと
「*********」
と言った。どうやらスライムは見つからないらしい。
「他の奴らはどうだ?」
「*********」
他の糞ガキも同じとのことだった。
本当にそう言っているのかどうか俺にはわからない。
訳のわからぬオークの言葉だが、たぶんそんなことを言ってそうな雰囲気を感じた。たぶんガリベンの情熱〈パッション〉が俺にそう感じさせているのだろう。
「そこら中にいる訳でもないんだな。それがわかっただけも収穫だ。悪かったな。もうわかったから探さなくていいぞ」
そう言って糞ガキたちと別れると俺はママのところへと向かった。
ミルクで腹ごしらえをした後、俺は洞窟で装備を整える。
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進 LV?
職業:名探偵
武器:虫眼鏡、戦士の剣
あたま:なし
からだ:なし
うで:戦士の盾(ウ〇チ臭い)
て:皮手袋
あし:なし
ステータス:寝不足、手荒れ、満腹
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装備を整え洞窟から出ると、あの若いオークが待っていた。
さっきママにお願いしたのだ。
森へ入るからボディーガードを貸して欲しいと。
よろしく頼む。
そんな気持ちを込めて若いオークの背中をポンと叩いた。
俺はウ〇チの匂いを頼りに犯人を追って森に入ることにした。
短いので、今日はもう一話投稿予定です。




