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魔導師クラトスは最高な魔導師を志す!  作者: 村日星成
魔導師試験編
3/33

第3話 いざ魔導師試験会場へ

??? 夜


町の公園で男と女が話し合っていた、辺りは暗く顔は見えない。

小柄の男が一人

「今年の試験はどれほどの人が集まるかねぇ」

小柄の男がそういうともう一人女が返答する。

「どちらにしても私がやることは決まっていますよ」


男はポケットの中から小瓶1つ手渡す。


「はい、これで魔力を得られて強くなるし身体能力も上がるはず。魔導師試験もそうやすやすと負けることはないだろうね。まぁ仮に君が失敗すると.....」

「わかってます」


女は小瓶をしまうと小柄な男を一人残して公園を去っていった。


◆◇◆◇


ある屋敷にて 


銀のロングヘア―の少女と紫のローブをした老婆は豪華な部屋の中で話し合っていた。


「あなたならきっとS級にもなれますよ」

「......どうでもいいわよ」

「お嬢様、そのようなことを言わずに」


少女の後ろにはスーツ姿の老人が立っていて、少女に話しかける。


「お嬢様には魔導師試験を受けるにあたっての護衛をつけさせていただきます」

「護衛なんていらないわ、死ぬ可能性があるのにそんな――」

「お優しいの結構ですが、お嬢様の為です」


老人は睨みつけるように少女に話しかける。老人は基本的には少女に忠実であるが、少女に対して忠誠を誓っているわけではない。


「......わかったわ」

「それはよかった、では入りなさい」


老人はドアに声をかけるとドアを開いて現れた黒のロングヘア―の女性と青い髪の青年が現れた。


「ラナ様ご安心を私どもが必ずご無事を保証します」


女性と青年はラナと言われた銀髪の少女に跪く。


「この者はお嬢様が正規試験を受ける際の護衛とするために《《非正規のまま》》にしておいた魔導師、正規でしたらまぁD級くらいでしょうか」

「D......ね」


D級......正規魔導師はE~Sのクラスがある、Dは正規で働いて結果を残しつつあるもののこと、しかし、魔導師試験にはいままで非正規で活動していた魔導師もいる、その中には当然正規でも上位につける魔導師もいる。そんな中で護衛するD級魔導師の存在では決して安心できるはずもなかった。


「ご不満ですか?」

「いいえ、それがお父様の意思であれば尊重するわ」

「それはよかった」


文句を言っても変わらない、ラナはわかっている、既に自身の存在価値は無くなってきていることを。今回の試験はラナが《《家族の中で》》生き残れるかを試す試験でもある。


「アバント様、私は正規試験の会場に向かいます」

「お気をつけて」

「それではアバント様わたくしどもはこれにて」


アバントと言われた老婆は二人と護衛二人が部屋から出ていくのを見守った。



◆◇◆◇


アーシア駅


試験会場は俺たちがいるオリンシア帝国アーシア区から列車で3時間かかるウンタル町にある。普通は飛空艇などを使うべきだがあいにくお金がない。だから列車で行ことにしたのだが。


「うわぁ」

俺が困惑していると

「ここに......乗るのか......」

ガルフも続いて肩を落とす。


列車には試験会場に向かうためみんな乗り込んでいた。俺は一応混むことはわかっていた......が。


「早く来ていてもこれか」


プルルルッ!


「あっガルフ!さっさと乗るぞ!」


列車が発車のサイレンを鳴らしたため俺とガラフはどうにか列車に乗り込む。


「グググッ」

「......」


身動き一つできないギュウギュウな状態で3時間......あまりにも耐えがたい時間を列車の中で過ごすことになった。



◆◇◆◇

ウンタル 


人通りのない街中に男が一人


「正規試験に向かう者どもを殺せか」


試験を妨害することを依頼するものは毎年多く現れる、多くは金持ちができるだけ自分が正規試験に受かるようにと頭数を減らすことが目的である。そのせいで試験にたどり着くこともなく殺されてしまう魔導師も多い。




今日は6人殺した、ほかの奴らは何人殺しているのか......考えるだけ無駄か。


「今日はこの辺に――」


振り返ると――

刃が飛んできた。


「っ!」

とっさに避けたが振り返るまで人の気配に気が付かなかった。

鉄の刃は腹をかすめる。


「試験を貶める輩の割にはやりますわね」

「......ちっ」


女が立っていた、そして腕を上げて――


「アイアン・スコール」


鉄の雨を男に向けて放つ、一つ一つは小さな刃だが雨のように放つことで、ダメージを大きくさせる。


「クソ!」 


男は地面から壁を出し即座に逃げる。


「逃がさないですわよ!」

女は追いかける。


魔導師試験会場付近では毎年この時期になると魔導師同士の殺し合いが繰り広げられている。



◆◇◆◇


ウンタル駅


「あー疲れた」

「体がまだ痛い」

「俺もだ」


あぁ長い列車で体が痛いし、駅も魔導師試験を目指す人で溜まりに溜まっている。


「ここからエントリーするために並ぶのか......?」

「あぁ......」


とりあえず試験にエントリーするために会場へ向かおうとすると......


「ねぇ?」

「ん?」

「青髪の男と黒髪の女の人知らない?私の仲間なんだけどはぐれてしまって」


銀のロングヘア―の少女が話しかけてきた、着ている服装から富裕層なのかもしれない。


「いや、悪いが知らないな。ガルフは?」

「我も知らないな」

「わかったわ、じゃあ――」


少女は人混みの中に歩いこうとするが俺は止める、こんな人混みの中に女の子を一人で歩かせる訳にはいかないな。


「ちょっとまってくれガルフ、この子の護衛の人を探してやろう」

「うむ、そうだな」

「えっでもあなたたちも魔導師試験に行くんじゃ......」

「まだ時間あるしな、ん?あなたたちもって......」

「私も魔導師試験に向かうところだったの」

「......そういうことか」

「ふぅむ、実際いるとは聞いていたが......」


魔導師試験はあらゆる種族。子供であっても魔法をある程度使えるものなら誰でも参加できる。実際俺も前回参加したときには子供はいた......が、ほとんどはリタイアか死んでいたかだ。本当に類いまれな才能ある子供のみ合格できる。


「じゃ仲間を探そうか」

「あっありがとう」


俺とラルフは少女と一緒に仲間を探してあげる事にした。



◆◇◆◇


魔導師試験 試験会場


「クラトスやガルフ来るかなぁ」


私は机の上に頬杖を突きながら考える。


「無理に誘ったの悪かったかな......」


その時ピンクの髪をして全身を紫色で統一した服をする奇抜な女性シルラさんが後ろに立っていた。


「おや~悩み事かなナシアちゃん?」

「あっシルラさん!」


シルラさんは私が正規の魔導師になったばかりの頃にお世話になった魔導師。


「知り合いが試験を受けに来るかどうか考えてたんです」

「へ~それって男?」

「男ですけど......シルラさんが思っているような関係じゃないです」

「あら、残念」


シルラさんは色恋沙汰が大好物だから、ちゃんと言っておかないと。


「なんで試験を受けに来ないと思うの?」

「知り合いは魔導師試験が嫌いなんですよ」

「それは難しいから?あ~後は期間が長いからとか?」

「確かにそれもあります......けど」


クラトスは元々めんどくさがりだから時間の掛かる魔導師試験を嫌う。

だけどクラトスにとって最も嫌うのは人を見殺しにすること、見殺しにしてまで勝ち残りたくはない。だから魔導師試験を嫌がる。


「......クラトスは優しくて誰かを見殺しにするのが嫌なんですよ」

「そういうことね......確かに魔導師試験とは相性悪いわ」


魔導師試験は一応意図的な殺しは禁止だが、戦闘で結果的に殺してしまった場合など、どこまでが禁止なのか曖昧。質の悪い魔導師と相手をすることになったら......。


「魔導師試験はいちいち誰かを助けるわけには行かないもんねぇ」

「はい......」


クラトスとガルフは優しい人たちだから......。


「でもそう考えるナシアちゃんはよく試験合格できたわね?」

「そっそうですか?」

「ナシアちゃん優しいから、誰かを見殺しにするほどの非情さは持ってなさそうだし」


そうね私が合格できたのは奇跡のようなものだったけど......きっとクラトスがいなかったら......。



「シルラ!ナシアーデ!」


紺色の髪をした男、ゼオスが腕を組みながら歩いてきた。


「あっゼオス」

「あら」

「キサマら、この俺が働いているというのに何さぼっている!」


ゼオス=マルウォルスは私と同時期に魔導師になった所謂同期だ。プライドが高くて誰にでも偉そうにしているが、実力はあり魔導協会の中でも頭角を現してきている。


「わっわかったわよ......シルラまたね」

「またね~」

「シルラもだ、行くぞ!」


ゼオスは先輩とか気にしないし自分が最強という考えなのよね.....。


「さぁてと、クラトスとガルフが来るか来ないかはわからないけど、私はお仕事頑張らなくちゃ」



今年の魔導師試験はどうか平穏無事に済みますように――



◆◇◆◇


「見つからなねぇな」

「う~む、このままではエントリー時間を過ぎてしまうな」


少女の仲間を探していたが中々見つからない。


「そろそろ時間よ?私の所為でみんなが――」

「お嬢様!」


青髪の青年と黒髪の女が走り寄ってきた。恐らくこの少女の仲間とは彼らの事だろう。


「アルにヘイブ!よかった!見つかって」

「しかし、仲間.....とは言っても実際は主従関係なんだろ?主とはぐれるなんて大失態するなよ」

「すみません!お嬢様もご迷惑おかけしました!」

「いいわ、こうやって再開できたし」


アルとヘイブ......この娘を守り切れるのか?


「.....不安だな」

「クラトスもか、我も同意見だ」


少女が俺に話しかけてきた。


「もう時間よ?せっかくだしエントリーまでは一緒にいきましょ?」

「いいぞ」


......今日はついてないな......もしかしたらこの娘と戦う可能性だってあるのに。助けるべきでは無かったか、そうすれば今年の魔導師試験はスルーさせることもできたかもしれん。


「あっお名前教えてくれる?」

「俺はクラトス・ドラレウス」

「我はガルフ・アトラ」

「ほらアル、ヘイヴも名乗りなさい」


少女にいきなり言われて戸惑っていたが、まず男のアルの方から名乗る。


「あっでは!私はアル・ケアです」


アルは少し落ち着きがないが女のヘイブは落ち着いている。


「私はヘイブ・ランです」


ヘイブの方が年上そうだな。


そして最後に少女が名乗る。


「私はラナ=ポデュンノよ」


なっ......


「っ!」

「ポデュンノ家の娘であったか.....ん?クラトスどうした?」

「いっいや何でもない、あーちょっと耳を貸せ」


そう言って俺はガルフに小声で話す。


「(前に俺がぼろ負けした話したよな?)」

「(エセルとかいう奴の事か?)」

「(そいつのフルネームはエセル=ポデュンノ!)」

「(っ!)」

「(一応ラナには話さないでおく)」

「どうかした?」

「わわっ!」


ラナが話しかけてきたため驚いて何とも間抜けな声を出してしまった。


「何でもねぇよ?あっそろそろ時間だし急ごう!な?ガルフ」

「うむ、そうだな急ごう」

「あっそうねそろそろ行かないと」



こうして俺たちは試験にエントリーするための会場へ向かう。

エセル=ポデュンノの親族であろう存在が何の因果かここで出会ってしまった

ラナ=ポデュンノ......。

だがどちらにしても俺がやるべきことは変わらない、なぜ志したのか思い出せなくても、最高な魔導師になるための一歩として俺は魔導師試験を突破して見せる。

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