勇者呪いが解ける!!
あらすじは嘘ではないですけど、本当でもありません。
基本ギャグなんでゆるく楽しんでください。
「ふぅ……」
一息ついた俺は水を一口飲み、全裸で天蓋のベッドから降りる。
白亜の城の最上階、朝日が射す窓を開きベランダへと向かう。
そこには日に照らされ輝く美しい城下町が広がっていた。
俺の名はゲイル--勇者ゲイル。
ここは俺の町。俺の城。そして--。
後ろを振り返ると天蓋のベッドでピクピクと震える女性が横たわっている。
この国の姫にして俺の妻……アリーゼ姫。
その様はだらしなく舌を出し涎を垂らしながら虚空を見つめている。
今日も俺の超絶テクニックで気絶しちまったか。まだ俺は満足してないというのに、やれやれだぜ。この責任は朝起こしにきたメイドに取らせるとしようグフフ。
「きゃああ!!」
ハッ!?
日課の妄想に耽っていると、久方ぶりの現実世界から物音に意識が急浮上した。
何事だ! せっかくこれからお楽しみが続くというのに!!
視界にはいつも通りの太陽の木漏れ日が射す山奥の廃墟だが、俺の後方から男女の言い争う声が聞こえた。
「チッ、手こずらせやがって大人しくしろってんだ!」
「ふざけるな! 誰がアンタらの言いなりなんかにっ!」
会話からするとどこぞの娘っ子が悪漢から逃げてきたってところか?
「とっとと諦めろ。こんな場所誰も助けにきてくれねえよ」
そうだろうな。俺も長くここに居るが、そもそも誰かが来ること自体めったにないな。
「それに魔封じの首輪を付けたんだ、もうてめえらエルフお得意の魔法も使えねえんだから、奴隷の運命を受け入れるのが賢明ってもんだ」
エルフ!? あの美形しかいなく、巨乳のお姉さんが多いという噂の!!
「それにてめぇみたいなハズレ貧乳エルフに構っているなんて時間なんてないんだよ」
えっ……貧乳なのか……いやいやいや、それでも生身のエルフだ。見たい…!
「それなら諦めて帰ればいいじゃない」
「それでも腐ってもエルフだ。それに最近俺たちで使ってる性処理用の奴隷が使い物にならなくなってきたところだしな。人間にも飽きてきたしお前と交換ってのもいいな」
「下種が!」
なかなかにいい展開になってきた。問題があるとすれば--
俺が呪いで石像になっていて身動きがとれないってことだけだ!!
くそっ、それもこれもあの褐色おっぱい魔女のせいだ……!
いや、今それを愚痴っていても仕方ない。今はどうやって俺の後ろにいる奴らを俺の前に--
「オラ股開け!」
「いやあああ!!」
何かもう始まろうとしてるぅ!!
見たい見たい見たい見たい見たい見たい見たい見たい見たい見見見見見見見!!
バキッ!
あ……。
鈍い音と共に景色が一変する。真っ黒だった世界が一瞬にして白い世界に侵食される。
渾身の力で振り返ろうと首に力を入れすぎたせいかで、まさか石像になった首が落ちたとか……。
出歯亀根性で死ぬ……これが、俺の最後なのか……。
だが!
タダでは死なん! せめてエルフの裸体だけでも……!!
強烈な白い世界から徐々に彩りを取り戻していく。
見えたッ!!
そこにはビリビリに服を破かれ、あられもない姿のエルフの少女と下腹部を露出した髭面の男がこちらを驚愕の表情で見つめていた。
ん? というか俺を見ている? いや、多分石像の首が落ちたからびっくりしてこっちを見てるだけだろう。
にしては首が落ちたはずなのに視線が随分高いような……。
「な、何なんだこいつは!?」
「モ、モンスター……?」
二人はあきらかに俺を見ながら言っている。
というか、俺視線が動かせる!?
今まで石像だから一点しか見てられなかったのに!
視線を下に動かすと石像の体が見れる!
と、いうことは……!?
「お、おお、おおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉ!!!!!! 見える! 喋れる! 息が吸える!!」
とうとうあの呪いが解けたってことか!! よっしゃああああぁぁぁ!!
「な、何だてめぇ!」
「俺か? ……俺は勇者だ!」
振り向きながら叫ぶと、二人は怪訝な様子でこちらに注目する。
まぁ石像が急に人間の顔になって言葉を発したらそうなるよな。
一人得心していると、髭面の男がナイフを手にゆっくり立ち上がる。
「なんだビビらせやがって、ただの頭のおかしいガキじゃねぇか」
「お願い誰でもいいから助けて!」
「てめぇは黙ってろ!」
「ガッ! ゴホッゴホッ…っはぁはぁ」
男の足が容赦なくエルフの少女の腹部に振りぬかれる。
腹部を押さえて蹲るエルフの少女を尻目に男が俺のほうに近寄ってくる。
「なんでそんな状況になってんのか知らねぇが、黙ってれば気付かれずに済んで死ななかったものを馬鹿なガキだぜ」
「ああ、まったくだ。実力差を理解してさっさと逃げていれば死ななかったものを馬鹿な髭おっさんだぜ」
「んだと! 死ね糞ガキ!!」
「てめぇがな!」
全身に力を入れ先ほど同様呪いの残滓の石鎧を無理矢理壊すと、俺は振り向き様に回し蹴りを顔面に叩き込んだ。
「ブッ!!」
錐揉み状に吹き飛んだ髭男が何度か瓦礫にぶつかりながらようやく沈黙する。
「久しぶりに体が動かせたからな、原形留めるぐらいには加減はしたつもりだが……まぁどうでもいいか」
石鎧がなくなって全裸だが、好都合……お楽しみの時間だ!
胸は残念だった気がするが、そこはそれエルフだし。顔はかわいい女の子だし。
なにより都合よく相手が動けないことでお礼を名目にあんなことやそんなことができるということが大きい!!
横たわるエルフの女の子に近寄りながら、ムクムクと欲望が大きくなるにつれ俺の股間もムクムクと――
「ぎゃあああああああああああああぁぁぁ!!!」
次の瞬間股間に今まで味わったことのない激痛と共に意識が途切れた。
冒頭の妄想は最初書いたとき完全に18禁だったのでだいぶマイルドにしました。
ならR18の方に載せたほうがいいんじゃないの?と疑問があるかもしれませんが、ここがピークであとおふざけしかないんでお許しを。
全体的な作風としてR15が妥当と思いましたのでマイルドにしました。
一応長編予定なのでよろしければ、ぜひこれからの展開を楽しみにしていただけたら幸いです。
更新は週一程度を目指します。