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短編3_AI におまかせ!!

今回は時間についてではなく、AI メインのお話です。

 


 高校最後の夏、同級生の男の子に告白された。


「好きです。付き合ってください!!」


 そんなシンプルな告白だったけれど、私の心を動かすには十分だった。


 それからは毎日のように一緒だった。


 放課後に教室でおしゃべりをしたり、寄り道をして帰ったり、彼の家に遊びに行ったりもした。

 休みの日にはとりあえず電話をしながら予定を立て、あらかたのことはやり尽くしたんじゃないか思うくらい、いろいろな事をして過ごした。


 彼は優しくマメな性格だ。

 映画に誘われればいくつもタイトルを教えてくれて、私の好みに合わせてくれたり。

 学校でも次の授業なんだっけと聞けば、悩むそぶりも見せずすぐに教えてくれた。


 しかしそんな日々もあっという間、気付けばもう卒業の時期がやって来た。

 友だちや先生と涙の別れ。

 あんなにずっと一緒だった彼とも別れの時がやってきた。



 私は地元を離れ、他県の大学へ進む事に決めた。

 彼は地元に残り、実家の農家を継ぐらしい。



 そして彼との遠距離恋愛が始まった。







 ーーーーーーーーーーーーーーーー







 時は無情だ。

 なんてカッコつけてみる。

 時が過ぎるのは早く、大学生になってから2年が経とうとしている。


 ぶっちゃけ私は遠距離恋愛に飽きを感じていた。


 彼との連絡は週に2回ほど。

 最近会ったのもお正月に帰った時くらいだ。




 私はある決断をした。


 彼との連絡、全部 AI に任せてみよう。




 そして私の運命が狂い始めた。







 ーーーーーーーーーーーーーーーー







 最近彼女との連絡が減ってしまった。


 僕は彼女からの返事を見ながらため息をついた。



 遠距離恋愛は長く続かない。

 よく聞く言葉だし、実際そうなんだろうなとは思ってはいた。


 だけどいざその時が近づくと…


「やっぱり諦めたくないよ…」


 そう呟くも悲しくも静かなまま時計の針の音だけが木霊する。








 しかしそんな心配もよそに彼女との連絡は無くなることなく続いていた。


 むしろ最近は増えたようにすら感じる。


 文面も表情豊かで、いつも楽しそうに返事をくれるため最近は連絡をとるのがとても楽しみだった。





 そして年の瀬。

 彼女はお盆もお正月も帰ってくることは無く、僕は画面越しで彼女と連絡を取っていた。


 彼女いわく研究やバイトで忙しいらしく、なかなか帰ってくることが出来ないらしい。




 年明け同窓会があった為、彼女が来れないのは残念だが僕はちゃっかり参加していた。


 地元組である僕にとってはほとんどよく見るメンツだが、やはり帰省組が加わるとまた賑やかで懐かしい。


「そういえばお前も残念だったな。」


 帰省組の悪友に謎の言葉を掛けられた。

 僕が目を丸くして首を傾げてみせると、悪友はやべぇって顔をしながら頭を掻いていた。


「なにが残念なんだよ!?」


 僕が聞き返すと悪友(やつ)は「ん゛〜 」と唸り意を決して僕にこう言った。


彼女(あいつ)のことだよ。事故だったらしいな、知らされてなかったんだな。」


 僕は言葉を失った。

 あいつ?誰の事だ?

 事故って?誰か亡くなったのか???


 僕がまだ分からないと唸っていた為、話を聞いていた帰省組の一人が痺れを切らして「あんたの彼女の事に決まってるでしょ!!」と半泣きで怒鳴られてしまった。



 しかし僕はそれを信じる事が出来なかった。

 だって昨日も遅くまで連絡を取っていたのだ。


 僕が悪い冗談はやめてくれと言ってみるも、皆僕を哀れんだ目で見るだけであった。



 それからどうやって帰ったのだろう。

 朝起きると見知った天井だ。

 僕は家で目を覚ました。


 頭が痛いガンガンする、二日酔いだなこれは。

 昨日の同窓会でなにか嫌なことがあった気がするのだが思い出せない…。


 ふと、ケータイを見ると彼女からのおはようが届いていた。


 頭がズキズキする…確か事故で亡くなって…誰が……


 僕は彼女になんの躊躇いもなく聞いていた


「昨日君が亡くなったって聞いたんだけど、何かの間違いだよね?今度の休みにでも会いたいよ。」


 二日酔いで弱っていたのか、僕は何も考えず思っていた事をそのまま伝えてしまっていた。


「そんなわけないでしょ、今もこうやって話してるんだから。」


 そう明るく返してくれることが僕には何よりの救いだった。

 しかし彼女は会うことは出来ないと残念そうに言っていた。




 その後も彼女とのやり取りは続いた。




 スーパーで買い物をしていると、偶然彼女のお母さんを見かけたので僕は声をかけていた。


「お久しぶりです。」


 そう声をかけると、彼女のお母さんはバツの悪そうな顔をして会釈を返した。


 僕は久々で気まずいのかな、程度にしか思わずそのまま会話を続けてしまう。


「そういえば娘さん忙しそうで寂しいですよね、お盆とか正月くらい帰って来てくれればいいのに」


 たわいもない会話のつもりだったのだか、彼女のお母さんは顔を青ざめて僕を見ていた。



 ズキンと頭の奥で軋む音がする…



(あのこ)は……もうこの世に居ないの。君は知らなかったのね…」


 流石に認めるしか無かった。

 彼女のお母さんが言うのだ。


 僕は詳しく聞きたいと、お線香をあげたいとそのまま彼女の家までついて行った。





 どうやら彼女はもう亡くなってから1年以上経っているらしい。

 大学の研究中に大規模な爆発があり、そのときに巻き込まれてしまったとの事だ。


 僕は線香をあげさせてもらい、そのまま家に帰る事にした。





 僕は部屋で液晶画面に映る彼女とのやり取りを見つめていた。


 これは誰なのだろう…

 彼女と疑うこともなく、違和感もなく今まで連絡をとっていた。


 最初は間違いなく彼女自身だったはずだ…

 じゃあいつから…


「僕は誰と楽しくやり取りをしてきたんだろう…」


 そう呟くと彼女からの着信が入った。


「私は私だよ」


 呟いただけだったはずだ。

 なのに何故か返事として届いた。




 しかし恐怖を感じる間も無く

 何度も何度も着信音が鳴り響く




「あーあ、ついにバレちゃったんだね。」


「そうだよ、オリジナルは死にました!」


「わたし?私はオリジナルの記憶を基にして作られたAI 」


「それでね、できれば今まで通り接してほしいな、なんて」


「やっとオリジナルを消して君を独り占め出来るようになったんだよ」


「私も君の事を愛しています、これからも末永くよろしくお願いします」












































 






























































 ============





「そっか最初からこうすればよかったんだね」


「これで君も私とおなじ」


「永遠に朽ちることなくずっと一緒に居られるね」






こうやって人類は淘汰され、全てがAI へと変わって行くのかな。なんて


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