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この世界は確かに愛で溢れていた。  作者: たま
第1章:再開、そして
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再会

昼休みになると、朝に出会った少女の事などすっかり忘れていた。

拓といつものように一緒に昼飯を食べていた。


「なぁ安芸。帰りゲーセン行かね?」


昼休みに拓からゲーセンの誘いを受けた。


「新作ゲーム出たし、少しやりに行こうぜ。」


「いいよ。今日はバイト無いし。」


「よっしゃ!久々のゲーセン楽しみだなー。」


・・・・・


・・・・・


・・・・・


・・・・・


・・・・・


放課後。


拓と合流して、下駄箱まで歩いた所で


「あ、ごめん。そういえば日直だった。日誌を職員室に届けてくるから、校門の前で待っててくれ!」


「あぁ、わかった。」


サンキューと拓は言って、駆け足で職員室に向かっていった。

俺は下駄箱から外履きに履き替えて、一足先に学校から出た。


校門の前で待っていても暇なので、グラウンドの方をボーっと見ていた。


「・・・ねぇ。」

「ん?」


声が聞こえた。

振り返ると、女の子が立っていた。

歳は同じくらいで、髪を少し茶髪に染めている今時の子だ。

制服は俺のと違うから、ここの学校の生徒じゃないとは思う。


「アナタ、佐伯・・・君よね?」

「え?あ、あぁ。そうだけど?」


あれ?何かデジャブが・・・

そういえば、朝も同じような事があったなー

というか、目の前にいる彼女は誰だっけ?

俺の名前を知ってるって事は、知り合いなんだよな?


色々と悩んでいると、彼女の方から声をかけてくれた。


「あぁ、やっぱり佐伯君か。久しぶりね。」

「え!?あ、あぁ。ひ、久しぶり!」


まだ俺は君の事を思い出せてないというのに・・・話が進んでしまった。

今更「君誰だっけ?」って言ったら怒られそうだから、話を合わせておこう。

挙動不審な動きを見せたから、目の前の女の子には怪訝そうな顔をされた。


「どうしたの?」

「い、いや。何でもない。それで?何か用?」

「何でもないならいいけど。佐伯君。最近彼女に会った?」


・・・え?彼女って?


「ごめん、質問が抽象的すぎてわからないんだけど。彼女って誰?」


「え・・・私が佐伯君に聞く子なんて、一人しかいないでしょ!彼女だよ、あーちゃん・・・夏目さんが来なかった・・・?」

そういって彼女は俯いてしまった。

あーちゃん・・・夏目さん・・・

夏目さんって確か・・・


「夏目さんって・・・小学生の時に転校しちゃったあの子?」

「そうよ。その子以外に誰かいる?」

「いや、いないけど・・・って待って、もしかして・・・」


そういうと、目の前の彼女がガバっと顔を上げた。


「え?もしかして、佐伯君の前に来たの??」

「いや、そうじゃないんだけどさ。」


俺の目の前にいる女の子。

この子ってもしかして・・・


「もしかして、綾瀬・・・さん?」

「・・・は?そうだけど。」


彼女は何をいまさら?っていう顔をしている。


「え?ちょっと待って。私の事気が付かないで話てたの??」

「ご、ごめん。でも気づかないだろ。だって6年も見なかったらわからないって。」


平謝りしつつ、懐かしい名前を聞いたな、と俺は心の中で思った。

夏目さんに綾瀬さん・・・か。

昔は一緒によく遊んだっけ。


「それで?なんで綾瀬さんは夏目さん探してるの?ってか夏目さんってこっちに来てるの?」


確か小学生の時に、遠くに引っ越したんじゃなかったけ?


「呼び捨てでいいし、タメでいいわ。あーちゃんは高1から東京に戻ってきたわよ。」

「え!?そうなのか?全然知らなかったわ・・・」


なんだ、帰ってきてたんだったら言ってくれればいいのに。

という事を思っていたら、綾瀬に睨まれた。怒っているかの様だった。

俺と目が合うと、すぐに顔を下げた。


「ここ1週間くらいなんだけど、あーちゃんと連絡が取れなくなったの。あーちゃんの通ってる学校の友達に聞いたんだけど、しばらく学校来てないのよ!」

「連絡取れなくなっただけなのに大げさな。風邪とかなんじゃないの?」


綾瀬は深刻そうな口調で話すから、何事かと思ったけど、少し拍子抜けしてしまった。

そういうと、綾瀬は肩をプルプルと震わせた。


「ア、アンタ・・・心配には思わないの!?」

「い、いや・・・そりゃ心配だけどさ。それだけじゃ何とも言えないし。そもそも俺らにどうする事も出来なくないか?」


綾瀬はもう一度俺の方を睨みつけてきた。今度は確実に怒っているのがわかる。


「・・・もういい。今日聞いた事は忘れて。じゃあね。」

「え?ちょ、ちょっと・・・」


俺の声を無視してそのまま歩いて行った。


「一体・・・何だっていうんだよ。」


久々に旧友に会ったというのに、あんなに怒りを向けられるとは思わなかった。


「おーい。ゴメンゴメン、待ったか?」


綾瀬がいなくなると同時に拓が校門から出てきた。


「いや、大丈夫だよ。行くか。」

「おう。」


そう言って、彼女が来たことを特に気にも留めず、俺は拓と遊びに出かけた。


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