過去作品
突然、雨が降ってきた。
僕は持っていた傘をさす。
するとそこに好きな子がいて、傘を持っておらず、僕は傘にいれてあげる。
この時間はとても楽しくて、幸せだ。
だからこそ、雨が止むのが、帰りが近づくのが嫌だった。
ずっとこの時間が続けばいいのに。
#140字小説
僕は勇者に憧れてるけど、僕に世界は救えない。
どこにでもいる、ただの村人だ。
でも村に魔物が現れたとき、僕は真っ先に立ち向かった。
どうにか追い返したけど、僕の体はボロボロだった。
そんな僕を見て彼女は笑う。
彼女にとっての勇者が僕ならば、それだけで充分だ。
#140字小説
青空は徐々に赤く染まり、やがて闇のように黒く染まっていく。
それは世界の終わりにも見えるけど、そんなことはない。
常に善悪があるように。
常に光と悪があるように。
この世界は対になって出来ている。
だから僕たちは夜ねむり、希望の朝を迎えるんだ。
#140字小説
彼女は運動が苦手だけど一度も諦めなかった
私は運動はできる方だけどよく途中で諦める
だから私は彼女に憧れていた
ある日マラソンの授業があった
完走できるか不安だ
その時、彼女が私に手を差しのべる
笑顔で「一緒に走ろう」と言ってくれる
なんだか今日は頑張れる気がする
#140字小説
彼女は僕を知ってるようだけど、僕は彼女のことを知らない
僕はコピー人間で、彼女の知ってる僕はもういない
それを彼女は知らなくて偽りない笑みを見せてくれる
その笑みを見ると胸が苦しくなる
彼女を悲しませないために僕が作られた
ならこれからは、彼女のことを知っていこう
#140字小説
彼女を犠牲にしてでも世界を救うのが勇者なら、僕は勇者になりたくない
両方救えるなんて都合のいいことは思ってない
だから僕には1つの選択肢だけだ
僕は彼女の手を取り合い人のいない森へ行く
君のいない世界に存在価値はない
世界を救うのが勇者なら世界を救わないのも勇者だ
#140字小説
ファーストキスや初体験の相手が大事だと言うなら、きっとはじめて人を殺すのも大事な相手がいいだろう
はじめての相手は、人生を大きく変える
それはたった唯一、一度しかないものだから
だから僕はまた君に、最初で最後のはじめてをあげよう
#140字小説
彼女の拳が私の頬をかする
そのパンチは強力で顔面に直撃したら
私はきっと倒れて負ける
距離を取りチャンスを伺う
彼女も同じだ
緊張が走る
やがて私達は同時に攻撃を仕掛けた
一瞬で決着が決まる
私の得意の蹴りが彼女に直撃し私は勝つ
倒れた彼女に笑顔で手を差し伸べた
これで同点だ
#140字小説
植物は傍観者だ。ずっとそこにいて、ただまわりを見る。たとえ枝や葉が取れても悲鳴を上げず、枯れない限り明確な死は分からない。それでも植物は傍観する。雨が降り、根に水が染み渡るように、虫や風で花粉が運ばれ受粉できると信じて。植物は傍観者。けれど他者は利用する。
#140字小説
直しても直らない。そんな私の癖毛を、彼女はいつも触る。彼女の髪はサラサラで美しい。私も彼女のようになりたいと言った。だが駄目という。彼女が好きだから私は髪を触られるのは構わない。でも彼女が好きなのは私の癖毛なんだ。私が癖毛じゃなかったら彼女は私を嫌うのかな……
#140字小説
「私の事好き?」
「どうだろねー」
彼女はにこにこ笑うだけ。
いつも曖昧な返事をする。
私はそんな彼女が嫌いだ。
服が似合ってるか聞いても、手料理を作っても曖昧でちゃんと答えてくれない。
でも自然と、手を握ってくれる、美味しそうに食べてくれる。
そんな笑顔が彼女が私は大好きだ。
#140字小説
僕が勉強をしている時、君はいつも僕を支えてくれる。受験勉強の時、君はなにも言わずただ僕の側にいてくれた。喋らない、笑わないのもわかってる。でも君がいなきゃ僕はここまで頑張れなかった。そんな君ともお別れだ。今まで支えてくれてありがとう。僕は机の下の君にそう言った。 #140字小説
今は八月で夏真っ盛り。だけどほんとはもう、秋がはじまっている。
暑くも寒くもない、そんな秋が僕は好きだ。
でも夏休みの宿題は山積み、日差しも暑い。
この状況で秋と言うのはちょっとおかしい。
けど君と行く海やお祭りは楽しい。
だからこの秋もきっと僕は好きなんだ。
#140字小説