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しかく

作者: クリボー

しかく


目をあけると辺りは真っ暗だった。

俺は今まで寝ていたのか?気を失っていたのか?思い出せない。と言うより記憶がない。

体の状態は、仰向けで寝ている。体を動かしてみる。指は動く、腕も動く、足も動く。

肘をついて体を起こす。頭の後ろ、後頭部に軽い痛みが走る。

痛みがあるが重症ではないらしい。

周りを見渡すがやはり真っ暗だ。何も見えない。

手探りで歩いてく、壁に当たった。周りを手探りで確かめる。やはり壁だ。手触りから、おそらくコンクリートの壁の様だ。

思い切って蹴っ飛ばしてみる。

ビクともしない。破壊するのは無理そうだ。


壁伝いに右方向に進むと壁が現れた。

壁の角が存在するということは部屋の中なのだろうか。

壁の一辺の長さを計ってみることにする。

左方向、壁伝いに1歩(約1m)2歩(約2m)・・・・9歩(約9m)10歩(約10m)

壁が現れた。この壁の長さは約10mだ。


もう一辺の長さも測ることにする。

左方向、壁伝いに1歩(約1m)2歩(約2m)3歩(約3m)ゆっくりと歩く4歩(約4m)5歩(約5m)

『カツン』

足に何かが当たった。壁からここまで約5歩(5m)

手探りで形を確認する。

床から高さが50cmぐらいの所にやわらかいクッションがある。

足が4本、50cmぐらい出っ張りがある。背もたれだ。

背もたれつきの4本足の椅子だ。


クッションの真ん中に平べったい、物体があった。

長さ5cmほど、幅の広い方が2cmほど、形は段差が両方に付いていて、幅が狭い方に独特のギザギザが付いている。何かのカギだ。

この真っ暗闇の中で無くす訳にはいかないので、元の位置、椅子の上に置くことにする。

必要な時は取りにくればいい。


気を取り直して椅子から距離を測ることにする。

1歩(約1m)2歩(約2m)3歩(約3m)4歩(約4m)5歩(約5m)

壁にぶつかった。

壁から椅子まで5歩、椅子から次の壁まで5歩、合計10歩

壁の1面は10歩、約10mだ。


もう一辺の長さも測ることにする。

左方向に1歩(約1m)2歩(約2m)・・・・9歩(約9m)10歩(約10m)

壁にぶつかった。この壁の長さもやはり約10mだ。


確認の為にすべての壁の長さを測ることにする。

左方向に1歩(約1m)2歩(約2m)・・・・5歩(約5m)

壁が消えた???いや壁が少しへこんでいる。

周りを手で探る。へこんでいるというか、段差になっていた。

幅が1mほどの段差だ。奥行が10cmぐらいの段差がある。


へこんでいる面を手探りで探る。丸い形をした出っ張りが確認できた。

たぶん形からドアノブだ。と言うことはこの凹んだ段差部分は扉に違いない。

「ガチャ、ガチャ」ドアノブを回したが鍵が掛っている。

ドアノブの上下を手の指で探る。ドアノブの下に直径3cmぐらいの円柱状の出っぱりがあった。

鍵穴だ!!!


裏を振り返る。この扉から垂直に反対の壁まで行けば椅子の上に鍵がある。


壁伝いに戻るか、闇の中を反対の壁まで突っ切るか?

いや待てよ、部屋の大きさを把握することも大切だ。


このドアは先ほどの壁から約5m、今までと同じく左方向に進むことにした。

左方向に1歩(約1m)2歩(約2m)・・・・5歩(約5m)

壁にぶつかった。やはりこの壁の面も約10m


この角は最初に確認した角のはずだ。

壁を手で確認しながら、先ほどの椅子の置いてある壁の面に向かって壁伝いに暗闇を歩いていく。普通に歩く歩幅で15歩ぐらい(約10m)

壁が現れた。

この角から約5mのところに椅子があるはずだ。

左方向に1歩(約1m)2歩(約2m)・・・・5歩(約5m)辺りを手探りで探した、が・・

何もない。

急いで周りを手探りで探す。

範囲を広げて手探りで探した。


椅子がない。


頭の中がパニックになった。

落ち着け。自分に言い聞かせるように、落ち着け。

暗闇の中、耳を澄ませる。今まで物音ひとつしていない。誰もいないはずだ。

椅子が勝手に移動するはずがない。


来た道を戻って扉まで戻ろう。

今度は壁伝いに右方向に歩きだした。

壁にぶつかった。

また右方向に壁伝いに歩く。普通の歩く歩幅で15歩ぐらい(約10m)壁にぶつかった。

ここから5mのところにドアがあるはずだ。

右方向に1歩(約1m)2歩(約2m)・・・・5歩(約5m)

壁がへこんでいる。扉の段差だ。

扉を手探りで探し、ノブを回す。

「ガチャ、ガチャ」開かない。

やはり鍵がかかっている。


反対側の壁の鍵が、いや椅子がなくなっていた。

鍵は一体どこに消えたのだろう?あの時、持ってこなかったことを後悔する。


後悔してもしょうがない。扉を背に立つ。


意を決して反対側の壁まで暗闇の部屋の中央を突っ切ることにした。

暗闇をキョンシーの様に両手を前に出して1歩(約1m)2歩(約2m)・・・・5歩(約5m)・・・7歩(約7m)8歩(約8m)・・・・10歩(約10m)11歩(約11m)

!!!

壁がない。

あたりを手探りで探すが壁がない。

暗闇の中方向を誤ったか?

壁に当たるまで歩くしかない。

12歩(約12m)・・・・14歩(約14m)15歩(約15m)

ようやく壁に当たった。

いや、正確には壁と壁の角に当たった。

ようやく理解した。


その角から左方向に5mほど進んで椅子があった。

椅子の上のカギをとり、左方向に5m壁にぶつかった。

さらに左回り壁伝いに、10m壁にぶつかる。

そこから左回り壁伝いに、5m扉があった。


手探りで鍵穴を探し、手探りで鍵穴に鍵を差し込んだ。

「ガチャリ」

鍵が開いた。


ドアノブに手を掛け、扉を勢いよく開けた。


まぶしい・・・


明るい光が射しこむ・・


少しずつ目が慣れてきたので、『五角形』の部屋から外にでた。


そこは真っ白な大きな丸い部屋の中だった。




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