ナーブの秘策
『つまりですね、現状魂の管理する仕事は冥界に一任されている状態です。そんな状態で、別の神様が気まぐれに魂を復活させたり、ましてや死者の蘇生なんてしたらどうなると思いますか?』
「死者の魂をとらえるだけの冥界は、不要なものとして捨てられる……。普通は、死んでも復活したいと願うものだし」
『そういうことです。そうなれば冥界の存在意義は完膚なきまでに失われる。冥界の底が抜けるというのは、恐らく冥界の完全なる消滅を示唆した言葉ではないかと推察できます。信仰を回復したいというのであれば、マスターが新たな冥界神として君臨するのもいいかもしれませんが……その場合マスターには、死んだ人間の復活という新たな仕事が追加されることになるかと』
「…………」
『どうします? マスター?』
「俺がその冥界神とやらになればどうなると思う?」
『そうですね。マスターは復活させることによってそれを成すわけですから、結果として人は死ななくなります。それはいいことのように聞こえますが……いろんな小説やゲームで予想が書かれている通り、必ずしもそれがいい結果を招くとは限りません。死ななくなった人間というモノが実際どういう行動をとるかと言われると、想像できないというのが正直なところです』
「……………」
珍しく淡々とした様子で話すシェネの予測に、ソートは思わずほぞをかむ。
彼らが今いる場所は、エシュレイキガルの神殿からわずかに離れた丘陵地帯。起きた時に、エシュレイキガルのそばでは落ち着かないだろうという配慮からソートはイシュルを伴ってここに移動したのだ。
そして、真っ黒な土が盛り上がってできた小高い丘の上にて、気を失っているイシュルを寝転がせて、ソートはシェネと相談する。
解決手段はすでに手に入れているのだ。命数の回復は、ソートならば簡単にできる。だが、それによって問題が起こるというのであればこの世界の管理者として、実行するのは難しい。
『影響が少ない人間だったらまだしも、神様ですからね……。神話にガッツリ書かれちゃいますし』
「人間は人間で、そいつが神格にされるわけだろう?」
『まぁ、安定した世界で死者蘇生はそう簡単には使えないということでしょうね……』
冥界の定義もまだ曖昧だった昔なら何とかなったのでしょうが……。と、シェネが漏らすのを聞きながら、ソートはため息と共に頭を抱えた。
「つまり、今の俺にできることはないということか……」
『そういうことかと』
唯一やれたことと言えば、エシュレイキガルの気まぐれな暴力から、イシュルを守れたことくらいだろう。
そこから先に、手出しすることは原状難しいと言えた。
――やっぱりエアロに頭を押さえられたのが痛かったか。
と、内心ソートは歯ぎしりをしながら、それでもイシュルを無事下界に返す方法を考えようと無い頭を必死にひねる。その時、
『ん?』
「どうしたシェネ?」
シェネからなにやら奇妙な声が上がった。
それを不思議に思いソートは問いを発するが、シェネはしばらく無言になった後、
『あ、すいませんマスター。どうも誤作動したみたいで。さっきのバグがまだ引きずられているんですかね?』
「……お前、それ本当にバグなんだろうな? さっき運営の掲示板見たが、そんな情報どこにもなかったぞ」
『嫌ですねマスター。オンラインゲームのバグは調査をしてから正式発表されるんですから、バグの確認の報告には少し時間がかかるんですよ! 報告はさっき挙げたばかりですし、運営からの発表がまだないのは当然ですって』
と、なにやらもっともらしいことを言いつつも、シェネの言葉はどことなく空々しい色が含まれていた。
――コイツ、何か隠しているんじゃないのか? 欲しい家具買うために無断でGP消費したとか……。
と、ソートが内心訝しむ中、シェネはまくしたてるように言う。
『とにかくちょっと通信の様子がおかしいんで、キャッシュ消去して通信アプリの再起動を試してみますね? 暫くは連絡がつかないでしょうが、マスターはそのままそっちでの事態解決にあたってください』
「は? おい、ちょっと待てシェネ!」
そうして、唐突に切れる連絡にソートが思わず声を上げたが、
「ん~。なによ、うるさいわね。人がせっかく気持ちよく寝ているのに!」
「あぁ!? 助けてやったのに何その態度!?」
傍らで響き渡った大声に、目を覚ましたイシュルからの不満を聞きつけ、思わずそちらにくってかかってしまった。
不自然な通信途絶をそのままに……。
…†…†…………†…†…
通信を切断した海底の天界。
そこで水を操り即席の椅子を作り上げ、そこに座ったシェネは、つい先ほどからこの天界に接続しようとしている存在を受け入れるよう、開いたウィンドウから指示を出した。
『下界から天界へのアクセスが申請されています。許可しますか? Y/N』
「YES」
『許諾を確認。接続を開始します』
ウィンドウにその文字が開くと同時に、あの小敵的な存在が再び海底の地面に頭を生やした。
「久しぶりね、ペディタハ」
「お久しぶりです。大宇宙の意志の眷族よ!」
「神格化されていたのですね貴方……」
「えぇ! 何故か冶金神としてではなく《兵器神》としてですが」
心底不思議そうに首をかしげる男――ペディタハに、シェネは思わず頭痛を覚え、額を抑えた。
――そりゃ神器の作り手となれば神格化されるのもうなづけますが。
とはいえ、冶金神にはすでにリィラがいる。それとの合併を避けるため、恐らくは兵器神という小さなくくりに主な侵攻が納められたのだろう。
だが、
「その割にはオプションパーツ多めですね貴方?」
「はい?」
代わりと言ってはなんだが、主な信仰である兵器神のほかにも、かれにはいくつかの信仰が付与されていた。
シェネがサポートAIとしての視界を使うと、即座にその頭おかしいといえる付与された信仰がペディタハのステータス画面に表示される。
ペドフィリアが高じて児童の守護神としての属性や、
大宇宙の意志――ソートとの交信を可能とする予言神としての属性も保有している。
神様が次々と生まれ、それがナーブによってきちんと明文化される現代においてはめずらしい、ハイブリッドの信仰の高位神になっていた。
――まったく、厄介な奴がこの件に噛んだものです。エアロはきちんと手綱を握っているのでしょうね?
イシュルとの因縁浅からくない男の登場に、シェネは内心で冷や汗を流しながらも、AIらしい鉄の表情筋を用い何とか無表情を保ちつつ、尋ねる。
「それで、いったい何の用ですか?」
「用事の内容はとうの昔に知っておられるだろう眷族殿」
ペディタハの指摘通り、シェネはペディタハの用事が何であるかを察していた。
だからこそ、ソートとの通信を切断し、あえて自分一人でペディタハとの会談に臨んだのだ。
「だとしても、明確に口にすることは交渉において重要なことだと思いますよ?」
そんなシェネの言葉を聞き、確かにと頷いたペディタハは、地面から自らの左手をさらにはやし、一枚の石板を見せつけてきた。
「私はあくまであの男の代わりの交渉人ですからな。あえて口にすることも必要でしょう。ならばあの男からのメッセージを。『イシュル様が無事冥界から帰る手段を見つけました。ソート様に冥界に降りていただき、その伝達をお願いしたい詳細は――』」
ペディタハが告げたその提案は、おおよそシェネの予想通りの物だった。
――これを報告するなら、マスターには一部を隠す必要がありますね。
と、内心で呟きつつシェネはその提案を、
「……わかりました。マスターには私から伝えておきます。大義でしたと、ナーブには伝えておきなさい」
ためらうことなく飲むことにした。
――もとより、イシュタルの冥界下りが原点となったこのイベントでは、これ以外の最適解はないのですから。
…†…†…………†…†…
目を覚ましたイシュルの目の前にいたのは、額に青筋を浮かべながら口角を引きつらせる、雨外套を纏った男だった。
――誰よこいつ?
と、寝起きで朦朧とする意識の中、イシュルは盛大に眉をしかめ、
「誰よあんた」
そのまま心の言葉を口にした。
初対面の相手にあんまりな言動である。
当然のごとくまっとうな感性をしているその男は、口元の卑屈気をさらに強くしながら、何とか平穏に聞こえる震えた声で、名乗りを上げた。
「助けてやったというのになんだその言いぐさは。まぁいい、初対面じゃ仕方ない……。初めましてだな、女神クサレビッチ」
「喧嘩売ってんの!? 初対面で失礼なのはあんたも一緒――」
「創世神をやらせてもらっている。名前はソートだ」
「――じゃな……い………………」
と、失礼すぎる呼び方に怒鳴り声を上げかけたイシュルの声は、ソートの名前を聞いたとたんに縮んでいった。
「え? 嘘……ソート様?」
「そうだ」
「夢かなんかだとばかりに……え、本物?」
「こんな珍妙な恰好をした、エシュレイキガルからお前を助けられる存在がほかにいるとでも?」
「……………………」
ソートの指摘にイシュルはしばらくの間あんぐりと口を開けたのち、
「ししししし、失礼いたしました! ま、まさか創世神様がこんなところにいるなんてつゆしらず!」
「……………」
下界に降りた際は正体を隠しているが故か、滅多に受けたことがなかった神様をたてまつるような態度を取られた事実――そしてそれを初めてしたのがクサレビッチと呼んだイシュルだという事実に、ソートは非常に複雑そうな表情を顔に浮かべる。
だが、今はそれを気にしている場合ではない。と、ため息と共に思考を切り替えたソートは、ひとまず現状をイシュルに説明することにした。
「あぁ、そうかしこまるな。そんな大したことしてないし」
「ま、まさか! この世全てを作られたソート様が大したことないというのなら、ほかに大したことある神様なんていませんよ!」
「まぁ、そうかもしれんのだが……現状はその、情けないことにまだお前を助けられていないからな。その、あんまり崇められると罰が悪い」
「ふぇっ? た、助けてくれるんですか!?」
「その予定だったんだが……」
やった! と両手を振り上げ喜びかけるイシュルに、ソートはそっと釘を刺した。
「周りを見て見ろ。今は下界か?」
「え? あれ、そういえば……。助けていただけるなら、どうしてまだ冥界に?」
創世神様の力があればチョチョイのちょいでは? と、いまさら気づくイシュルに、ソートは先ほど教えられた事実を、できるだけ淡々とイシュルに教えることにした。
…†…†…………†…†…
「えっと、つまり……」
「下界のバランスを考えるに、俺がこのままお前に命数を与えてやることは難しそうだということだ」
「そんなっ!」
説明が終わると同時に、イシュルの目は吊り上り、声は一気に荒くなった。
――まぁ、それも当然と言えば当然か。実際俺もかなり情けないという自覚はあるし。
と、首を振るソートに対し、イシュルは今度こそ勢いよく掴みかかった。
「あんた創世神なんでしょう! この世界を作った神様なんでしょう! なんで可哀そうな女神一人助けることができないのよっ!」
「言っただろう。今回の一件はいろいろ複雑なんだ! そもそももとはと言えばエアロの奴が」
「そうよ! どうしてお父様は私にこんなことを! エシュレイキガルとザバーナ様がそもそも揉めていないのなら、私がここに来た意味って何よ!」
「さぁな。あいつは俺に匹敵する核を持つ天空神だ、あいつの考えだけは俺にも読めない。なんか嫌がらせでもされることしたんじゃないのか?」
「そんなこと、私がお父様にするわけ!」
そこまで言った時、なにやら思い当たるふしがあったのか、イシュルは思わず黙り込む。
「宝物庫の宝石いくつか拝借しちゃったこと? それとも、お気に入りっぽく飾っていた飾り壺を、宝石拝借するときに割っちゃったことかしら? いえ、あれはばれていないはず。きちんと近くにあった接着剤の宝物で元に戻しておいたんだから!」
「お前はいっぺんここに閉じ込められて反省するべきなのかもな……」
際限なく冷たくなっていくソートの瞳に、ちょっとだけ居心地が悪くなったのか、イシュルはゴホンと咳払いをし、先程のつぶやきをなかったことにする。
「と、とにかく、ここまでひどい仕打ちを受けることをした覚えはありません!」
「まぁ、エアロがそのあたりの物欲関係の恨みでお前にあたったということはないとは思うが……」
一度会っただけだが、その壱度がひどく印象的だった、超然とした態度の男――エアロ。その顔を思い出しながら、ソートはいよいよもって首をかしげつつ、ひとまず現状の打破のためへと思考を割り振る。
エアロを糾弾するの前に、まずはイシュルを助けなければならないのだから。
「とにかくだ、お前が下界に戻るためには二つの条件を満たす必要がある。一つ、命数の回復。二つ、エシュレイキガルに下界帰還の許可をもらうこと。そのために問題になってくるのが、お前がやらかした数々の罪状だ」
「うっ」
イシュルはその指摘に思わずたじろぐが、現実逃避したところで現状は変わらないと理解しているのか、ソートの指摘は甘んじて受け入れ、肩をがっくりと落した。
「償う方法は何かあるの?」
「エシュレイキガルは禁固刑以外の条件を出してこなかった。今ザバーナに交渉してもらっているところだが、あちら側から条件を引き出すのは難しそうだな」
「取り付く島もないってことね……」
「ただ、あちらの興味が引ける条件を提示できれば、まだ逆転の目はある」
「興味を引ける条件ね……」
あいにくと今のイシュルは素寒貧。対価にできる者もなければ、提示できる条件もない。
――これはほぼ詰んでいるんじゃ。
と、イシュルがようやく気付き、顔を青ざめさせたときだった。
『マスター。朗報です』
「シェネか?」
神話に記される《命の神》――ソートの眷族神であるシェネから情報が入ってきた。
『下界のナーブさんから策の提示がなされました。これならば、イシュルさんは無事に下界に変えれる可能性があります』
「っ! 本当かそれは!」
ソートが息をのむのを聞きながら、イシュルもぱあっと笑顔を浮かべたあと、
「?」
自分の心の変化に気付いた。
――あれ? なんでだろう? 思ったよりうれしくない?
いや、冥界から出られるという話を聞けただけでもかなり嬉しいのだが、その嬉しさの感情が期待値を超えてくれなかった……そんな不思議な感覚をイシュルは覚えていた。
いったい何がそこまで感情の上昇を阻害したのか……イシュルは少しだけ考え、
「あ……」
自分が失った一番大切なものを思い出した。
――そうだ、私ナーブとの絆を手放したんだった。
自分の最も信頼する男が、自分のために動いてくれている。本来ならばその事実だけでも、イシュルは今と同じだけ嬉しい気分になれたはずだった。
だが、絆を持っていない今は、その感情を得ることができない。
ナーブががんばってくれたという事実を聞いても「ふーん」という平坦な感情以外は浮かんでこなかった。
「……そう、そうよね」
ただ喪失感だけがあって、それが無性に悲しかった。ナーブががんばってくれたという事実に、喜べない自分がとてつもなく哀れに思えた。
だから、
「ちゃんとありがとうっていうために、きちんと――帰らないとね」
そんな決意を胸にひめ、イシュルはナーブから届けられた起死回生の一手にすべてを賭ける!
《兵器神》ペディタハ
レア度:☆2(R)
神属性:冶金神
コスト:6
属性:混沌・善
声優:九山じゅんペーイ
イラスト:卵かけ食パン
ステータス
筋力A 耐久B 敏捷E 魔力EX 幸運C 神判D
保有権能
原初の鍛造C:すべての冶金神が持つ《鍛造》の上位スキル。ただし彼の場合は兵器に限定されるため、ランクが著しく低下している。
幼子の守り手A+:児童守護神に与えられる権能。子供型の神や人間に、高ランクの防御加護を与える。今回の顕現は兵器神としての顕現であるため、ランク本来の物よりワンランク下がっている。なお、児童守護神として顕現した場合は、ランクはEXとなる。
預言者B:未来を知るものではなく、上位存在からの神託をうけとるものとしての権能。彼は独自の世界観をもち、頭上に広がる大宇宙から様々な知識をうけとることができる。評価規格外の魔力は、この大宇宙から届けられるものであると語るが、それが事実かどうかは本人にしかわからない……。
神判解放:《天よりきたれ、宇宙の意志よ》
詠唱「大宇宙の意志を! 与えたまえ、教えたまえ! 愛すべき者達を守るその力の名を!」
ペディタハがかつてソートから啓示をうけとったという神話を具現化した神判。直面する問題を解決するための知恵を与えてもらうことができ、味方に対する夥しいまでの加護バフと、かつて作ったイシュルの弩を召喚し、限定的な砲撃を放つことができる。
ただ、彼自身はイシュルのように神器を使う者ではないので、イシュルの弩による砲撃のランクはがた落ちであり、威力はイシュルが放った時ほど出ない。
マテリアル
1:バビロニオン神話における兵器開発の神にして、エアロジグラッド第十一階層を支配するエルク十二神の一柱である。
兵器神としての属性が強い彼だが、そのほかにも児童守護の加護や、ソートからの神託を賜る預言者としての信仰も強く、細かく分ければ千にも上る信仰を集めた、複合型ハイブリッド神格とされている。
後にエジプタに信仰が流れ、《宇宙神》ペタハの原型になったとも……。
2:その男は――ロリコンであった。
性格はそれ以外に説明が不要なほどはっきりしている。Yesロリータ! Noタッチ! という紳士の誓いはきちんと守っているため今は見逃されているが、カルデラ内では五本の指に入る危険な神様として、常に監視を受けている。
意外なことにシャマルとは仲が悪い……同じロリコンのくせに相容れないものがあるようだ。
3:ロリが絡んでいない――もとい、《守護神霊》として現れた彼は、ちょっと電波気味ではあるが理性的な会話がかない、多少の変態性癖でもびくともしない大らかな神である。
カルデラ内で限定的に開催される変態サミット――もとい、カルデラ版コ○ケでは、絵画神たちに紛れて多くの同人誌を出品し、同じ性癖の男性職員たちに潤いを与えている。
翌日は、女神たちに裸に向かれた挙句簀巻きにされて、イシュルによって雪山の上へと強制島流し(山流し?)にされるのだが、彼が懲りることはない。
むしろ変態と彼を罵る女神たちをBBAと逆に罵り返し、リンチの憂き目にあってなおその意見を翻すことはない――ある意味あっぱれな神格と、男性神たちには一目置かれていたりする。
4:実は戦闘能力はさほどではないため、戦闘に出てくることは少ない。高いステータスや魔力はすべて、兵器開発へと振り分けられており、それ以外の技能はあんまりないのだ。
だがしかし、彼の情熱は本物だ。いつか来ると信じている平和な世界を目指して、彼は武器を作り続ける。
なぜそこまで武器づくりにこだわるのかと聞かれると、彼はいつもこう答える。「大宇宙の意志が囁くのよ……ロリをが安心して過ごせる平和な世界を作れと!」(ソート:風評被害受けるからやめてほしい
5:幕間『天空のBBA・イシュル』クリア後解放
女神イシュルの弩を作ったことで知られる彼ではあるが、じつはイシュルとの仲はあんまりよろしくない。
ただ彼女の数いる夫の中でも特別と言われるナーブとは割と仲良くしている模様で、よくイシュルの愚痴を漏らす彼と酒を飲むところが目撃されていたりする。
お互い酷い女につき合わされてと、話し合う彼らの背中はすすけて見え、イシュルに対する深い恨みが見て取れる。
だが、基本的に眷族としてイシュルを立てるナーブとは違い、彼はイシュルに対して非常に辛辣だ。
名前は絶対に呼ばず常に「天空のBBA」と呼び、自分が作った弩を勝手につくりかえられたことをいつまでもネチネチといびっては、イシュルに弩の一撃を食らって消し飛ばされる日々を送っている。
だが、それでも彼はイシュルに弩を作ったのだ。きっとそれが世界を良くすると信じて……。
その信頼に応えられなかったことを、イシュル自身も後悔しているようで、彼の罵詈雑言だけは二言三言だけは聞いてくれるらしい。聞くだけで反省はしないがゆえに、いつも最後は消し飛ばしにかかるが。
そんな何とも複雑な関係を構築している三柱なので、あんまりそのあたりは煽らない様にするべきだろう。
今回のようにとばっちりをうけてしまっては、体がいくつあってももたないのだから……。
…†…†…………†…†…
ソーシャルゲーム《《守護神霊》コレクション》wiki『ペディタハ』の記事より。