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到達者

お待たせしましたT―T


いや、だって……《らっきょ》のコラボが復活したから!(言い訳

「まったく、とんでもない奴ね。私に魅了されないからプライドが傷つく云々というのを置いておいて、可及的速やかに始末しておいた方がいい気がするんだけど……」


 あれから暫くして。真っ白な雪原に投げ出されたペディタハを追い、小屋にあいた大穴からイシュルは顔を出す。


 ちなみに、この世界において結婚適齢期は十六歳。無論出産は命がけであり、子供を産む歳女性のほとんどは死を覚悟するほどである。

 最近はイシュルという性行為の女神の加護がついたため、割と死亡率は下がっているが、それでも近現代に比べると高い。

 そのため、最低限出産の用意ができない十六歳以下の少女に発情することは、明確なタブーとして禁じられており、幾ら他人の性癖に寛容なイシュルでも、その性癖だけは許容範囲外だったりする。


 だが、鍛冶師にも言い分はあったらしく、割と危険な体勢で雪原に突っ込んでいるにもかかわらず、彼はびくびく震えながら雪の中で叫ぶ。


「失礼な! わたくし確かに幼女に発情する変態ではありますが、人として超えてはならぬ一線くらいはわきまえております! Yesロリータ! Noタッチ! 我らは変態であるがゆえに、紳士としての振る舞いを心がけねばならないのです! じゃないと愛すべき幼女が怖がるでしょうが!」

「もう十分怖いわ、このド変態が!」


 頭から雪に突っ込んだため、現在ペディタハの見えている体の部分は、雪から生えたように見える両足のみだ。

 その両足がびくびく触手みたいに震えるのをみて、生理的嫌悪感を催したイシュルは、再び情け容赦ないツッコミを入れた。

 すなわち、小屋の大穴から飛び出し雪原を刎ねるように疾走。そのまま天高く飛び上がり、生えだすペディタハのケツに容赦ないドロップキックを叩き込んだのだ!


 さて、ここで一つ問題がある。

 外見はフワフワに見える雪だが、じつはその下では上から積もる雪の重さによって、下にある雪が固まり氷のように固くなっている場合が多い。

 ペディタハの頭も丁度そういった層まで到達してしまっていたわけだが……その上から女神の全力キックが叩き込まれてしまえばどうなるだろうか?


 答え、


「ぺぎゅっ!?」

「あれ?」


 シャレじゃすまない破砕音と共に、ペディタハは活動を停止した。

 それにようやくまずいことになったと悟ったイシュルは、顔を青くして一言。


「どどど、どうしよう!?」


 悪ふざけ。ダメ絶対。ツッコミだとしても過剰な暴力は控えましょう……。



…†…†…………†…†…



 人は、死ねば冥府へと落ちる。当然だ。死んだ人間はすべてエシュレイキガルの領分であり、のちの時代に形成される天国や極楽といった概念はいまだ作り出されていない。


 だが例外もある。それが特定の神々に仕えていた神官たちである。

 生きている間に優秀な功績を遺した場合、かれらは仕えていた神によって天界に召し上げられ、神の眷族神としての役割を与えてもらい、神の仕事の手伝いなどを行うのだ。

 それが後々天国や極楽といった概念へと発展していくのだが、いまそれは関係ないので割愛。


 当然のことながら、性癖はあれだったが、鍛冶師としての腕は一級品であったペディタハも、アレがアレして死んでしまった直後は、彼の仕えていたリィラの元へと召し上げられ、空から降り注いだ光によってエアロジグラッドへと導かれていたのだが……。


「いいや、まだだ……」


 彼はそれによって引き寄せられることを、強く拒絶した。


「まだ私は真理に至っていない! 私は……まだ自分の作りたい武器を作っていない!」


 彼はもがく。自らを覆い、自らをとらえる光から逃れるために、もがきのた打ち回る。

 死してなお、理想のためにあがき続ける。そんな彼の思いが、奇跡を起こした!

 

「なっ!」


 彼を引き寄せていたエアロジグラッドへの光を貫きながら、青く細い――レーザー光線のような光が彼の胸を貫き、その体を勢いよく別の場所へと引き上げていくではないか!


「あぁ! まさか、これが……これこそが!」


 神々の誘導を破壊し、代わりに違う天への道を作る出せる存在を、ペディタハはほかに知らない。

 すなわちこの光は、


「大宇宙の意志よ! 私を、導いてくれるのかっ!」


 歓喜のあまり涙を流す彼は、雲を切り裂き、蒼穹を置き去りにし、星の海の中を駆け抜け――到達する!


「やった、私はようやくこの領域に!!」


 そして、その領域に到達したペディタハを待っていたのは、こちらの視界を覆い隠すやわらかい何かと、


「「な、なんか地面から変なのが飛び出してきたぁあああああああ!?」」


 慌てふためく二人の野郎の声だった。



…†…†…………†…†…



 あ、ありのまま今起こったことを話すぜ?


「ペディタハが死んだ!」「イシュル……いつかやると思っていたんだ。自首しよう?」と、俺達が戦慄しているさなか、突然シェネの足元から半透明の男が飛び出してきて、シェネのソコソコある胸部装甲に突っ込んだ。


 な、何を言っているのかわからねえと思うが、俺も何が起こったのかわからなかった!


「ポル●●フ状態になってないで、早く何とかしてほしんですけど?」

『ぬぉおおおおおお!? 何だ、この不自然に生暖かく、気持ち悪いほど柔らかな脂肪の塊は! どけ、私の理想にこのような不快なものはいらない!!』

「いろいろ突き抜けているってことは、それ触れないんだろう? どうしろと?」

「思いっきり私の胸、グニグニしてますよ、この変態! 意識すればたぶん触れます!」


 そういうと同時に、真っ赤になったシェネの蹴りが半透明の男に直撃し、男はそのままシェネから弾き飛ばされ、クルクルと縦回転しながら海底の神界を漂った。


『こ、ここは? 大宇宙の意志が暮らす世界か!? まるで海の中のようだが……』


 それによってようやく周りの景色が見えるようになり、男は逆さまになってぷかぷか浮かびながら、あたりをキョロキョロと見まわす。

 そんな男――ペディタハの期待に満ちた言葉にちょっと申し訳なくなりながら、ソートは非情な言葉を継げた。


「いや、残念なことにここは俺のホームだ」

『なに!?』


 ペディタハが振り返り、ソートの姿を視認する。

 その背後で立ち上がり、青筋を浮かべながら自身を睨み付けてくるシェネも、同時に見た。

 そして、


『うえぇえええええ!』

「なっ!? どうしてそんなに気持ち悪そうな顔するんですかっ!?」

『不浄な十歳以上の女の胸を揉みしだくなど一生の不覚! 申し訳ありません大宇宙の意志よ! 火と油を用意していただけますか! 自身の両腕を焼き滅ぼすことによってこの罪の償いを』

「そこまでしないと汚れ落ちないとでもいうんですか、コラァあああああ!!」

「落ち着けシェネぇえええええ! この世界に到達する奴はかなりのレアケース何だろう!? かなりの異常事態なんだろう!? いろいろ調べたいことがあるから、お願いだからその物騒なウィンドウを閉じろ!」

「権限寄越してくださいマスター? そいつ殺せない!!」


 《魂魄抹殺》という割と恐ろしい創世神権限のウィンドウを展開し、実行ボタンを連打するシェネに、ソートは心底震え上がった。

 権限渡していなかったのが不幸中の幸いだ。渡していたら、ペディタハは次の瞬間には海の塵として消え去っていただろう。


「まぁまぁ落ち着こうよ、シェネちゃん。よく考えてみ? こいつの魂このまま砕いちゃったら、こいつの魂の粉末がこの海の中に混入されちゃうんだよ? そんな海の中でシェネちゃんはこのまま生活できるの?」

「はっ! 言われてみれば!?」


 異物混入どころの騒ぎではないと、U.Tに説得され、ようやく実行ボタンから手を離したシェネにほっと一息つきながら、ソートは逆さまになって「ぐぉおおおおお! 我が信仰が穢された! 鬱だ、死のう」などと叫んでいる狂人に話しかける。


「あぁ、あんた? ペディタハで間違いないよな?」

『その通りです大宇宙の意志よ! そういうあなたは……もしやソート様で?』

「そうだけど」

『おぉ! やはり私の考えは間違えていなかった! 世界の外側の領域。大宇宙の意志! ソート様はやはりそこから来られたのですねッ!』

「えっと……」


 どう答えればいい? と、ソートはシェネ達に視線で救援を求める。

 彼の人生において、このような熱心な宗教家に会ったことは少ないため、その対応がわからなかったのだ。


「さっきまでの話を聞く限り、大宇宙の意志とは現実世界のネットワークのことを指していると思われます。そこから来たという言葉は間違ってはいないので、肯定してもいいかと」

「確かに。言われてみればコイツ頭おかしく見えて、推論自体は間違っちゃいないよな。実際外側から情報を引き出しているわけだし」


――なるほど。言動と性癖はあれだが、優秀な男ではあるようだ。


 U.Tと、不満そうなシェネの言葉を聞き、ソートは首肯し、


「その通り。俺がソートだ。大宇宙の意志なんて、大層なところから来た覚えはないが……まぁ世界の外側から来たっていうのは本当だよ」

『やはり! で、ではソート様! まことに身勝手なことは分かっているのですが、どうか我が願いを一つ叶えていただきたい!』


 ペディタハがそう告げた瞬間だった。

 ソートの眼前にウィンドウが開き、


《レアクエスト:天界到達者の願いをかなえろっ!

 報酬:ガチャ無料券五十。GP10万》


 という今まで見たことがない文字がその中で踊っていた。


――そういやこれゲームだったな。


 と、いまさらながらその現実を想いするソートをしり目に、今度はシェネが興奮した様子でそのウィンドウに飛びつく。


「ま、マスター! これレアクエストですよっ! 報酬もこんなにたっぷり! 受けないともったいないですって!」

「そんなに珍しいのか?」

「ベータ版じゃ一件しか確認されなかった、出現条件が超厳しいクエストです! やっぱり天界到達者関連で隠されていましたか! こんな変態がうちに来たときはどうしようかと思ったもんですが、これでかけられた迷惑は全部帳消しですよ! ありがとうございます!」

『カーッ、ペッ。私に話しかけるなBBA』

「……………………」

「シェネ。お前ほんとに怖いから無言でウィンドウ連打止めて?」


 シェネの手元に浮かびながらバイヴしているようにしか見えない、魂魄抹消ウィンドウから目をそらしつつ、ソートはため息と共に創世神としてペディタハに語りかけるのだった。


「ではペディタハよ。この領域に到達したものとして、汝には褒美を与える。何がほしい? 申してみよ」

『はっ! 私が求めるのは知識っ! あの美麗で切れ味が良さそうな……幼女でも簡単に扱える武器がほしいのです!』

「…………は?」

 

 想定外すぎるその答えに、ソートはキャラ作りも忘れ、思わず固まってしまう。



…†…†…………†…†…



 日本刀を求めていたのは知っていた。ステータスでそう書かれていたからだ。

 自分が自分になるために、彼は既存の物には存在しない全く新しい武器を欲していたはずだ。

 だが、実際後に付けられていた理由は……なんというかその、あれであった。


「幼女でも振るえる武器だと? 本気で言っているのか?」

『私は至って真面目です!』


 きりっとしたキメ顔をしてくるおっさんにめまいを覚えながら、一応ソートは問いただす。

 ひょっとしたらこの男が、幼女に痛めつけられて喜ぶ、倒錯趣味を持っている可能性が無きにしも非ずだったからだ。

 というかソートにはそれ以外理由が思いつかなかった。このド変態ならやりかねないと。そして、そうならば知識はやれない……いろんな人に迷惑かけるだろうし。と、本気でそのことを心配していた。

 が、


『私は、何者にも作れない何かを作りたかった。自分にしか作れない、自分だけが作れる何かを確立させたかった。そして私はあるとき考えたのです。私が最も情熱を注げるもの……それは、幼女が護身のために使える武器を作ることだと!』

「……護身用? 本当に護身用なんだな?」

『な、なんですかその再三の確認は!? まさかソート様も、他の俗物と同じようには私が幼女趣味の変態クソ野郎だとお思いなのですか!?』

「むしろそれ以外何がある?」


 残念なことに、ソートは非常に正直な性格をしていた。


『大宇宙の代表ともいえるお方にそんな風に思われているなんて……ペディタハショックです』

「そう思うならまず態度を改めなさい」

『黙れBBA』

「………………っ!!」

「流石シェネちゃん! 天丼は基本だよねっ!」

「四回目は冗長になるから注意な?」

「私の持ちネタみたいに言うのやめてもらえません!? 大体そいつのせいですからねッ!?」


 ふたたび激震する魂魄末梢画面をしり目に、嘆かわしいと首を振りながら、ペディタハは滔々と語りだした。


『良いですかソート様。今は非常に幼女が生きるのには厳しい時代です。獣に食い殺され、無体な大人ども似虐げられた不憫な幼女たちが、いったいどれだけ死んでいったか!』


「どうでもいいかもしれんが、少女って言われると素直に話を聞く気になるが、幼女って言われると110押したくなるのはなんでだろうな……」

「犯罪臭が劇的に増すからじゃねェ?」


『聞いてます!? 彼女たちは何らかの方法で、己が身を守るすべを持ちうるべきなのです! 私が私になるための武器……私が私にしか作れない武器はそういう武器であるべきだと、私は考えました! そこで宇宙の意志より授かったのが、あの切れ味が素晴らしそうな剣でした!』


「え? でもあれって結構重いらしいけど……」

『ええ、ですから長さの方はこちらで調整します。そしてその問題が解決すれば、あの刃は幼女たちの戦闘能力を激的に変貌させます! あれならば、非力な幼女の手で振るっても、他者の体を貫くことも可能なはずです! そして幼女たちは自由を勝ち取り、己らを虐げたBBAや、クサレ男どもを駆逐。世界は幼女に満たされるのです!』

「おい、やっぱりコイツ頭おかしいわ」

「幼女が成長したらBBAになるということから目をそむけているんじゃね?」

「というか、まかり間違ってその世界が実現したとして、この人そこに居場所ありませんよね?」

『幼女に殺されるなら本望ですっ!!』

「このまま死んだ体につき返してやろうか?」


 青筋を浮かべたシェネがパキパキと手を鳴らし始める。ソートとしてもその意見には賛成なのだが、そんなことをすればレアクエストは失敗に終わってしまう。

 というわけで、ソートは「コォオオオオオオオオオッ!」と迫力のある呼気と共に気を溜めはじめたシェネを抑えつつ、


「あの……それならさ」


 ネットにつながるウィンドウを開きながら、腰に下げていた自分の武器を引き抜いた。


「こっちのほうが攻撃する分には簡単だぞ?」

「はい?」


 そうして差し出されたそれは、言わずと知れた、


『こ、これはっ!』


 拳銃である。



…†…†…………†…†…



『きっさまぁああああ!? いきなり呼び出しといてすぐ帰れとはどういうりょうけ……ま、まて! 早まるなっ!? 交代とか贅沢言わないからあと三日だけ、あ!?』

「じゃぁね、エンリゥ! 助かったわ~」


 冥界にいき、そして再び戻ってくるという伝承を持つがゆえに、復活の神としての権能を得ていたエンリゥ。

 それを思い出したイシュルは、交代まで冥界で封印されているエンリゥを仮出所。あらゆる手練手管で彼を誘惑し、その権能によってペディタハの肉体を再生復活させた。

 そしてイシュルは、用済みになったエンリゥを再び冥界に蹴り落とし、要求されていた数日間の地上復活の願いを踏み倒したのち、再び綺麗になったペディタハの死体の前に帰ってきた。

 だが、


「やっぱり魂が帰ってこないわね。リィラ様に聞いてもあっちには行ってないって首をかしげていたし……」


 つい数時間前まで滅茶苦茶怒られていた先輩女神の言葉を思い出し、イシュルは思わず首をかしげた。

 神が肉体を直し、復活する条件はすべて満たしてある。だが魂だけがどうやっても戻ってこない。こんな事態は長きバビロニオンの歴史においても初めてのことだった。

 なにせ、魂の管理はバビロニオンの神々が行っているが故、神が復活せよと願ったのなら、復活するのはさほど難しくない。

 死んだ直後に神霊としての格を得た、マルアトやセントといった例外ならまだしも、ただの人間がそうなるというのは、完全な異常事態。

 おまけにその戻らない魂自体が見つからないと来ている。


「死んだ人間の魂は冥界か天界に至るというのに……どっちにもいないって」


 あいつの魂はいったいどこに行ったの?

 そうイシュルが首をかしげた瞬間だった。

 とてつもない速さで、上空から何かが落下してきて、イシュルの眼前に横たわっていたペディタハの死体に飛び込んだ!


「えっ!? なに!?」


 自身の動体視力を凌駕するほどの速度での自由落下。それをやらかした存在の飛来にイシュルが驚く中、目を閉じていたペディタハの死体がカッと目を見開き!


「おぉおおおおおおおおおおおおおおおお!?」

「きゃぁあああああああああああああああ!?」


 雄たけびと共に起き上った。

 イシュルはびっくりして飛び上がった。


「手に入れた! 手に入れたぞぉおおおおおおおおお!?」

「きゃぁあああああああああ!? きゃぁああああああああ!?」


 珍しく女性らしい悲鳴を上げるイシュルをしり目に、目を血走らせたペディタハは、そのまま炉に直行。消えかけていた炎を再びおこし、黙々と何かを作り始めた。


「ちょ、ちょちょ、ちょっと!? いきなり生き返ったうえ何してんの!? というか今までどこにいたの!?」

「黙れBBA! 今忙しい!!」

「もう一回死にたいの!?」

『鍛冶神:イシュル押さえて』


 ふたたび憤怒の表情で足を振り上げるイシュルに、リィラからの神託が届く中、ペディタハは吐き捨てるように言い放った。


「大宇宙の意志を得た! 求める武器の設計図を手に入れた! だが、それは私の頭の中にしかない! 忘れる前に……忘れる前に! なんとしてでも完成させねばならんのだっ!」

「えっ!? ちょ、ちょっと待ちなさい! それいったい誰に渡す気!?」

「むろん貴様だっ!」


 力強い断言に、イシュルはちょっと驚いたが、数秒後にはにやりと笑い何時ものように胸を張った。


「やっぱりあんたも男ね? 私に興味ないなんて言ったのもきっと照れ隠し……」

「少し機構が危ない武器だからな! お前に試し撃ちさせて安全性を完全に確立させたら、幼女に配る! 貴様なら指の二、三本消し飛んでも大丈夫だろうしな!」

「ねぇ? あんた神様なんだと思ってんの? 喧嘩売ってんのねェ?」


 とは言え、武器を作る気になってくれたのはありがたいと、イシュルは頬をひきつらせながらもひとまず黙る。


――とにかく、こいつが知識を得たという武器を見て見ましょう。殺すかどうかはその後決めればいいわ。


 と……。そうして、山頂の鍛冶場では、黙々と作業を行い、試行錯誤を繰り返す鍛冶師と、沈黙したままその作業風景を監視する女神が、無言のまま数日を共に過ごすことになるのだった。


 その鍛冶師が歴史を揺り動かす武器を作るなど、知らないままに……。


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