終了:国の試練
そこは、黄金の階段神殿の最上階。
だが、人間の視覚ではそこは真白な雲海が足元に広がる大地にしか見えない。
別に、人間の視野に特殊な働きをし云々などという特別な理由ではない。
単純に、ただでかい。ゆえに中央まで来てしまえば、人間の視界ではその最上階の果てを見ることがかなわず、まるで広大な雲海に放り出されたかのような錯覚を覚えるのだ。
そんな、黄金階段神殿――エアロジグラッドの中央付近に、
「ぶはっ!?」
墜落したマアヌルァ甲板にて、ナーブはようやく目を覚ました。
「い、いったい何が……。明星の光が突然強力になったと思ったら、意識が……」
思い出されるのは視界一面に広がる黄金の濁流。まるで水のような質感を持っていたそれは、明星を目指しマアヌルァが飛翔を開始した際、ナーブ達の体にまとわりつきその意識を刈り取ったのだが……。
「っ! そうだ、イシュル様!? どこですかイシュル様!?」
「ほう? ことここに至ってなお、案ずるのはあいつの身か?」
瞬間、ナーブの頭上に声が生まれた。ナーブがその声に驚き、跳ね上げるように顔を上げると、
「存外きちんと信者をしているではないか?」
そこには、かつて天命を授けてもらった際に見えた、黄金の髪と黄金の瞳を持つ美男――エアロが腕を組みながら浮いていた。
…†…†…………†…†…
「え、エアロ様!? ということ、ここは!?」
「なんだ、気づいていなかったのか? 本来なら突破不能な我が階段神殿の階級結界を、天上から次々とぶち抜いていくあの船には、各階層を支配する神々も驚いたというのに……。やった本人が無自覚では奴らも拍子抜けするだろうよ」
慌てて平伏し、自分がどこにいるのか悟ったナーブの震えた問いに、エアロは笑いながら、
「さよう、ここは天の頂。我が居城にしてバビロニオンの最上位の神々が集う神殿――エアロ・ジグラッドである」
「も、申し訳ありません! 人の身でこのような大それた真似!」
「かまわぬ。奴が伴うと決めたのであれば、お前では逆らいようもあるまい」
そういうとエアロは、ひれ伏すナーブから視線をそらし、
「それにしても……なんだ。もうちょっと賢くなる予定だったのだがな?」
どこで設定を間違えた? と、わずかに首をかしげながら、帆綱に絡まれながら宙ぶらりんになり、目を回す自らの娘へと、宙を舞いながら近づいた。
「そら、起きろイシュル。貴様我に用があってここまで来たのであろう?」
「う、う~ん。なによ、あと五分寝かせてよ」
「この期に及んでそのセリフとは……やはり頭が少しゆるいのか?」
「す、スイマセンスイマセンスイマセン!」
米つきバッタも道を譲る勢いで、何度も何度も頭を下げるナーブ。そんなさなか、うっすらと目を開け、エアロの黄金の光輝に触れたイシュルは、
「眩しいでしょうが! あと五分寝かせろっ!」
「―――――――――っ!?」
帆綱に絡まれていることなど気にせず、いやむしろ空中での体重移動に器用に帆綱を使いこなし、それはそれは見事な回し蹴りをエアロの顔面に叩き込んだ!
「―――――――――――――――」
顔をゆがめ吹き飛ぶエアロをガッツリ見たナーブは思う。
――あ、終わった。
…†…†…………†…†…
「かまわん、許す。娘がほんの少しじゃれただけだ。寛大な心で我は許そう」
「さっすがお父様! 懐が天のように広いわ!」
「当然だ。我は天空神エアロである」
顔に真っ赤な足形をつけ、巨大な玉座に乗りながらエアロは引きつった笑みでそう言った。
つい先ほど覚醒したイシュルは、その言葉を素直に受け止め、調子のいいこと言いながらエアロのことを賛美するが……。
「ぷっ……くくく」
「しゃ、シャマル。くくく、わ、笑ったら悪いわよ……」
「………………………」
特例として最上階の侵入許可をもらい、エアロの左右をシャマルとニルタが固めたのを見て、ナーブは冷や汗が止まらなかった。
――あれって要するに護衛だよね? もしくは次やらかした時は、シャマル様に首を刎ねさせる目算だよね?
ぜ、絶対にこれからはおとなしくさせないと! と、ナーブが震える中、恐れを知らないというか、何も知らないイシュルは、本来の目的をエアロに告げる。
「それで、お父様……実は」
「よい。下界での出来事は凡そ把握している。その男が創世神より神器を賜ったことも、その神器の助言に従い我に権能を求めに来たこともな」
――聞いてないんだけど。
――言う必要ありませんでしたから。
睨み付けによって詰問してくるイシュルを平然と無視し、ナーブは言う。
「では、エアロ様……イシュル様はやはり」
「むろん、生まれたての神に権能などあるはずがないだろう。神としての威厳を与えるために、天の女主人という称号を与えはしたがな……。それに、権能などというモノは本来自ら偉業をなして得るものだ。誰かに与えられるものではない」
「……そう、ですか」
「え!? つまり私《天の女主人》って称号を持っただけのただの絶世の美女なの!?」
「……ま、まぁそうなるな」
あくまで自己評価高めなイシュルの問いにエアロの顔が引きつる中、彼の左右からは、
「自分で絶世の美女って言いましたよ?」
「どんな教育したらああなるんだろうな」
「聞こえているぞ」
部下である二人からの陰口に、エアロのひたいに青筋が浮かぶ。
というわけで、そんな空気の悪い場を和ませるため「いいぞ、もっと言ってやれ」と口をつきかけた言葉を飲み込み、ナーブは問う。
「で、ではエアロ様。イシュル様には何も与えて下さらぬと?」
「いや。そうではない。ただ必要がないというだけの話だ。実際此度の騒動で、イシュルはすでにいくつか権能を得ている」
「え!?」
驚いたのはイシュルだった。当然のごとくナーブも驚いてはいたが、一応思い当たる節はあり、
「それは……S●Xの神とかそういう」
「はったおすわよ、あんた!?」
瞬間横か伸びてきたイシュルの手がナーブの襟首を掴み、ガックンガックン揺らし始めた。
首が締められ蒼い顔をするナーブがタップする中、シャマルが「リィラ連れてこなくてよかった……」と安どの息をもらし、割と経験豊富な部類のニルタは半眼になる。
そんな中、エアロは「くくく」と笑い声を漏らしながら、
「まぁ、それもある」
「え!?」
「もう少し言葉を濁してはいるがな。主に繁栄をつかさどる豊穣の女神としての権能と、明星の導をたどり天界へ上った姿も確認されたことから、明星の化身としても信仰を得ている」
「ふ、二つも!?」
その事実にイシュルは初め驚いたが、
「ふふふ! どうよ! どうよ!」
「あぁ、はいはい。すごいすごい」
「何でそんなにおざなりなのよっ!? もっと褒めなさいよっ!?」
すぐさまドヤ顔になり、ナーブを手放した両手を腰に当てながら、胸を張る。
まぁ、そんな自慢げな姿など見飽きているので、ナーブからの反応は冷たいものだったが……それでもイシュルは嬉しそうだった。
「これでようやく神としてのアイデンティティを確立できたわけですしね。嬉しいのは分かりますが」
「そうでしょう、そうでしょう!」
「ちなみにナーブ」
「はい?」
そしてさらに、
「お前にはイシュルに仕える下部の神としての信仰が発生している」
「……え?」
「当然だ。人の身でエアロジグラッドに登れるわけがなかろう。天の世界に入った瞬間に貴様は神格としての器を得た。つまり今の貴様は神格だ。本来の天命である神話を記す書記の神と、ソートの神器より英知を得られる知恵の神としての権能をすでに得ているぞ?」
「……つ、つまり?」
「やったじゃない、ナーブ! あんたずっと私と一緒にいられるわよ! 光栄に思いなさい!」
「――――――――――――っ!?」
瞬間、白目をむいてぶっ倒れるナーブに、「なんでよ!?」とイシュルが怒鳴り、憐みの視線がニルタとシャマルから届けられる。
そして愉快な娘夫婦の姿に、珍しくエアロが心からの笑みを浮かべながら、
「くくく。初めはどうなるものかと思ったが、なかなかどうして、飽きさせない筋書になりそうだ」
自らが作り出した新たな神話の姿に、わずかな期待を寄せるのだった。
…†…†…………†…†…
ということで、もう用はなくなった。
諸々したいこともあったので、気絶したナーブを担ぎさっさとマアヌルァに戻ろうとするイシュルに、エアロから、
「イシュルよ」
「? なぁに、お父様?」
「下界は楽しいか?」
問いがぶつけられた。
その質問の真意を測りかね、イシュルは初め首をかしげたが。
「まぁまぁね。粗●ンもいるけど」
「い、イシュル様。ここでその発言はちょっと……」
「あんた起きてんなら自分で歩き……き、気絶している!? ばかな、本能だけでツッコミを入れたというの!?」
「お前はもう少しそいつを大事にしてやれ……」
と、割とガチめな忠告がエアロから入る。同時に、
「もしも不満があるときはかまわん。あるがままにふるまえ。我が貴様の行動に対する保証をあたえよう。すべてはエアロの意であるとな」
「ありがとう、お父様!」
父親として、娘に与えられる最大の物を与えた。
――お前の道を阻むものは何もない。あったとしても、好きに撥ね飛ばすがいい。天空神エアロの名において保証する。
こうして、バビロニオン神話において最もわがままで、だれも止めるすべをもたない女神が爆誕した。
だから女神は奔放にふるまう。
自らの望むままに、あるがままに、
「それじゃぁお父様、少し頼みがあるのだけれど? もらう予定だった権能代わりのご褒美としてなんだけど……」
「なに?」
「私は天の女主人。天空の覇者。だからこそ……」
もう一人の天の主はいらないわ。
どことなく凶悪さをはらんだ娘の笑みを見て、エアロは肩をすくめるだけだった。
…†…†…………†…†…
「あぁ……。俺は、俺は……」
大地にて、嵐を巻き起こし悲嘆にくれるエンリゥは、ただただ明星を見上げ虚ろなつぶやきを漏らしていた。
「俺が行くはずだったのに。おれが、俺があそこに!」
そして、後悔が頂点に達し、彼がゆっくりと頭上に輝く明星に手を伸ばした時だった。
大地から延びた、真っ白な骨の手がその腕をつかんだのは!
「……え?」
突然の事態にエンリゥが固まる。だが、白骨の手は止まらない。
同時に起きた地割れがエンリゥの体を飲み込み、次々と伸びる白骨の腕が彼の体を拘束した。
「な、なんだ!? なんだこれはぁあああああああ!?」
同時に、エンリゥが起こした暗雲が薙ぎ払われ、明星から黄金の光輝が飛び出す。
それはエンリゥが奪われた天船。その上に優雅に立つ女神は、いっそ美しさすら感じる冷たい瞳で、残酷にエンリゥを見下ろした。
「あんたが好き勝手出来た時代は終わりよ。ここからは私が天空を支配する」
「きさま……貴様ぁああああああああ!」
「私が休暇を取りたくなったら、代わりの代官として出してあげる。だからそれまでは、鬱陶しいから地面の底で大人しくしてなさい」
「あ、あぁ! あぁあああああああああああああああああああああ!!」
悲鳴を上げる。だが響かない。絶叫は誰にも聞こえない! 大地の底はそんな場所。
地の底とはすなわち、かつて大地を支配しようともくろんだ死霊たちの女王エシュレイキガルの領域――冥府なのだから!
「私を散々コケにしたあげく、私とナーブの命をとろうとしたその罪、重いと知りなさい」
気絶したナーブを足元に転がしながらそう言い放ったイシュルに、ようやくエンリゥは思い知る。
軽快な口調と、幼さすら感じられる怒り方に惑わされ、気づいていなかったと。
あの女は、手さえあれば容赦はしない。自分の外敵は徹底的に排除してくる――冷酷な女だということを。
背筋が震えあがり、体が痙攣する。まるで蛇に射すくめられたカエルが如き恐怖に駆られた彼の体は、やがて白骨の檻にとらえられ、冷たく寒い冥府の監獄にて、永い眠りにつくこととなった。
…†…†…………†…†…
そんな光景を見ていた海底天界のソートたちはというと、
「こ、こええええええええええええええええええ!?」
ぞっとするほど恐ろしい女神の復讐に震えあがっていた。
「ちょっとビッチ臭いところ以外は、原典のイシュタルよりかマシか? かわいいもんだ! と思ったけどそんなことなかったぜ!?」
「俺もちょっとお世話になろうかなって思ったけど、やめとくわ……」
「なるつもりだったの!?」
ギャーギャー喚く二人の創世神に、シェネは嘆息しながら、
「とはいえこれで国の試練は終了ですね」
「で、でも国できてないんだけど?」
「確かな権能を持った神が、国をつくると目標を掲げたんですよ? それも、都市神を一柱封じて。そこに住んでいた住人を根こそぎ自分の国に移せば、新しい国の完成です」
「あぁ、言われてみれば……」
「エンリゥを封じたのは、そういう目論みもあってのことなんだな」
やっぱりこえぇ。と、U.Tが震えあがる中、試練が一つ終ったという事実にソートは目を細めた。
「つまり次の試練の準備か……なんだったか? 森の試練?」
「開拓の試練です。このままイシュルが作る国は発展していくでしょうし、どうあがいても木材が足りなくなります。そうなってくると山や森から資源を得なければならないのですが……」
そういうと、シェネはイシュルが国をつくるといった盆地付近の映像を出した。
「近隣にある森林にはフワウワという怪物が住みつき、山脈に至っては神霊に匹敵する霊力を持つ、神聖な存在です。近現代のように木々を切り倒してはげ山にするなんて真似はそう簡単にできないでしょうね」
「それをイシュルがどうするかだな……」
今日中に終わらせる予定の試練はあと一つ。森の試練。
それがどのような結末を迎えるのか? ソートたちはかたずをのみ、
「ブッチャケこのままだと私たちいらない子ですし……なんかひと騒動あってほしいというのが本音ですね。はっきり言って今回、石板渡すくらいしかしてませんよね?」
「し、仕方ないだろ!? だってあんまり危なげとかなかったんだもん!?」
「だもんって……。まぁ実際神霊の挑戦者だと、人間の挑戦者と比べると割かし安定して試練クリアしていきますよね」
思い出してはいけない事実にソートが打ちひしがれる中、シェネはさっさと時間加速機能を立ち上げ、世界の回転を速めるのだった。
…†…†…………†…†…
『あの大騒動から、もう一年たつ。
エルクアロリアのジグラッドを意識し建設された神殿の最上階に居座りながら、俺――書記神ナーブはこの石板をつづる。
かつては何もない盆地だったこの大地も今はすっかり様変わりした。ニプリスから移住した人々によって神殿建築は急ピッチで進み、その後はその周囲を覆うように人々の住居が立ち並び、肥沃な土地を使った田畑は際限なく広がっていった。
エルクは今やエルクアロリアすら凌駕する発展を見せた、バビロニオン最大の都となっている。
俺はというと、神になったおかげか、旅をせずとも神のありようを見定められるようになったのはいいのだが、代わりに厄介ごとをいろいろ背負わされるようになった日々を送っている。
その大多数が、我が妻イシュルのわがままだというのだから、本当に救われない。誰かマジで助けてほしい……』
「こら、何失礼なこと書いてんの!?」
「ほぼ事実しか書いてませんが?」
「敬語禁止!」
「ぬぅ……事実しか書いてないよ」
縦に切ったアシを使い、粘土板に楔形文字を記していた男神――ナーブは、背後から抱きついてきた美女――イシュルの不満げな声にため息をついた。
『かつてニプリスと呼ばれた都は、現在も存在している。ただ、住民の大多数がイシュル様の作った都――エルクに移住したため、全盛期と比べると閑散としたありさまだ。
それはもったいないと、現在はイシュル様主導で、山脈に洞窟を掘り、直通の通路を作ろうとしているのだが、大山脈の長――エボフ山が腹に風穴を開けられることを嫌がり割と激しい抵抗にあっていた。
イシュル様は後々決着をつけると言っているが、果たしてこの淫蕩女神があの清冽な山に勝てるのかというとはなはだ疑問で』
「いだだだだだだ!? やめろやめろっ!? 肋骨グリグリはやめろ!」
「ホント余計な事書かせたら神格一世アンタは!」
「事実しか書いてませんけどぉ!?」
「ふん! 見てなさい! あんな山程度あっという間にぶち抜いてやるんだから! だから」
そういって、イシュルはそっと自らの頭をナーブの肩に乗せ、
「今は一杯甘やかして!」
「……はぁ」
いつでもどこでも、新婚と変わらぬ態度で甘えてくる彼女に、ナーブはなんやかんや言いつつもほだされているらしかった。
後々彼は「イシュルの夫のくせにひどい目に合わなかった唯一の存在」として、すべての男性から畏敬の念を抱かれることになるのだが、彼からすればその信仰は間違いだと言えた。
ひどい目ならば毎日会っていると。それゆえにひどい目度合いが分散されただけであると。
おまけに夫である彼は、毎日毎日わがまま三昧の嫁の手綱を、致命的なラインに至る前にとらなくてはならないのだ。その心労は到底人間の頃では耐えられるものではなく、多分人間だったら寿命が二十年は縮んでいたと自負している。
だが、
「ベッドは無しな?」
「青●」
「そういうこと全体的に禁止だっつってんの!?」
「え? 他にやることなんてなくない!?」
「いいだろう!? そこまで言うならほかの娯楽俺が作ってやるよっ!!」
ソート様に与えてもらった石板を叩きながら、面白そうな娯楽をいくつか作っていく。
嫁のわがままを解決するため、何より自分がしぼり殺されないため工夫を凝らす日々は……。
「ねぇ?」
「……なんだよ」
「怒ってる?」
「………………」
ちょっと不安そうなイシュルの頭を、髪をかき乱すように撫でる程度には、悪くないと思えた。
大体そんな感じの、ナーブの日常。
「ふはははは! はぁ……。
あぁ、どうも。冥界探報しているエンリゥだ。寝てたんじゃないかって? むろん起きた! 早寝早起きは神として当然すべきことだしな! 奴の気が変わるまで寝っぱなしとかやってられるか!
なに? 絞られたヤリ○ンの興味ないだと!? やかましいわ!! 俺だって好きでこうなったわけではない!
次は同じ失敗はしない! 何より女なんてもうこりごりだ!
なんだ、このビエル霊は? しょたこんしょたこんと足音を響かせ、『ショタホモ、ショタホモッ!』『おいしい、おいしいです!』『尊い、尊い!』とか言って近づいてくるのだが?
ま、まぁ! 俺が尊いのは当然だ! よくわかっているではないかこのビエル霊たちは!!
では、これより俺は冥府の女主人と謁見し、何とかしてここから出してもらえないか交渉してくる!
ふふ、見ていろよイシュル! 俺は冥府に封じたと油断しているところを、襲ってやる! 襲ってやるぞぉおおお!
では次回! そのうちあるであろう俺の復讐譚を楽しみにするがいい! ふはははは!
ん? 何だあの光は? 巨大な獅子とジャッカルが暴れまわり、その上を何かの光が?
なんだあれ? あの光こっちに飛んできて……あ、ちょ、やめっ(ジュゥ」
山脈。それは人の前に立ちふさがる大いなる大自然の驚異。
樹木が鳴動し、大地は激震する。
神だか何だか知らないが、小物風情が。我が生命の息吹を侵そうというなら心せよ。
己が存在そのものが、消し飛ぶほどの恐怖を知れ。
次回《世界創生オンライン ~神様はじめてみませんか~》 第六章:森の試練
激震せよ。エボフの怒りを思い知るがいい。