少年 1
とある山の おくふかく
七色に輝く もみじの葉が あると云う
かえでや 杉や ひのきや くぬぎなど
数多ある木の 枝のどこかに
ひっそりと開く 一枚の葉
奇跡的に 見つけ出せた者の 切なる願いをただ一つ
必ず 叶えてくれると云う
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ぼくの住む村は、周辺の村よりも貧しいと思う。でもみんなが優しくて、困っている人がいると助けてくれる。ぼくも、助けられて生きてきた。
村長の家族もいい人ばかりで、娘さんも気立てが良くてきれいで、ぼくはひそかに憧れている。
村長の娘が美しいらしいと言う噂は、この村に時折立ち寄る旅人が広めたらしく、最近では近隣の村どころか、遠くの町からも求婚の手紙が来ている。大人になったら、その中のだれかに嫁いでしまうのだろう。悔しいけど、裕福な家に嫁いだほうが幸せになるだろうから、ぼくの気持ちは胸にしまっておこうと思う。
そう思った矢先の事だった。
成人を前にさらに美しくなった娘は、突然の病に倒れてしまった。
小さな村は、上を下への大騒ぎ。貧しい村にはもちろん医者などはいない。
ぼくたちは持ち寄れるだけの家財道具を荷車に乗せて、となり町に行った。家財道具をお金に替えてそのお金で、頼み込んでやっと一人のうでのたつ医者に来てもらえた。
その医者は、娘を一目見ると眉をひそめた。そのまま診察をはじめる。
村長には、手遅れだと告げられた。力になれなくて済まないと言って、医者は帰って行った。
その日ぼくたちは泣いた。一晩中泣いた。
次の日からぼくたちは、持っているものを少しづつ売って薬を買い村長の家に届けた。効果はないと分かっていても、なにかをせずにはいられなかった。弱っていく娘を見守るだけの日々は苦痛だった。
そんな時、奇跡の葉のうわさを耳にした。
ぼくは取るものも取り敢えず、誰にも告げず一人で山に分け入った。
なんでも切実な願いを一つだけ聞いてくれると言う虹色の葉は、誰にも見つからないようにひっそりとさいているようで、どんなに探し回ってもなかなか見つかるものではなかった。
夜明け前に家をでて、まる一日探したけれど、お天とう様はもう西の空から去ろうとしている。
ぼくは適当な岩のすき間に体を押し込めて寒さをしのいで目を閉じた。
翌日、目を覚ますとすぐに、ぼくはまた歩きだした。
昨日と同じように、木の実をつまみそれを食事がわりにしてどんどん山奥へと進んで行く。ふと気が付くと真っ白なきりが立ち込めていた。