俺たちの日常
俺はいつも遅起きだ。
遅刻する程でも無いが、ギリギリ程度までは惰眠している。
「ふわぁ~」
やはり寝起きの開口一番は欠伸のようだ。
欠伸が治まった俺は、木製のベッドから起き上がり、自室を出る。
床にはバスケットシューズやボール、スポーツ用のシャツが散らばっている。
今度、片付けとかないとな……。
自室から洗面所に向かうにはリビングを挟む。
その為、リビングに訪れた俺は、既に赤紫色の制服を着ている一人の女の子を見かけた。
「おはよ、美羽」
まだ頭が回りきっていないので、こんな単純な言葉しか出て来なかった。
「今日は若干早いね兄さん。おはよっ♪」
そう言って、俺に可愛い笑顔をしてくるのは妹の上村美羽。
妹と言っても同い年だ。だからといって双子ではないし、年子でもない。──実は彼女、義理の妹なんだ。
中学に上がる直前まで俺も美羽も、お互いを本当の家族だと思っていたので、義理と言えども何処かの話みたいに恋愛関係に発展などはしていない。
恐らく美羽も、そう言う気持ちは持っていないだろう。……可愛いとは思うけど。
イエローカラーのカチューシャに、肩甲骨の中間ぐらいまで延びているだろう黒くしなやかな髪は、全て前に持ってきている。そして、くりくりした綺麗な瞳が俺を見つめていた。
うん、文句なく可愛いな。さすが我が妹! まぁ、血繋がってないけど。
「朝食は、そこに置いておくから食べておいてね? 私は先に行くから」
慌ててカバンを右肩に掛けながら美羽が言った。
妹は吹奏楽部に所属している為、毎朝早く家を出る。……毎日お疲れ様です。
そんな慌ただしさMAXで薄黄色のスカートを翻す妹に、俺は「行ってらっしゃい」を言い終えてから、洗面所に向かったのだった……。