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決着

行きたくない・・・・・


前の家には嫌な思い出しかない。


親父の二回目の結婚は俺の本当の母親が死んで五年後だった。


俺の本当の母親は俺が一歳の時に事故にあって死んだ。


だから、俺は母親がどんな人かわからない。


そんな時、親父が連れてきたのが二人目の母親だった。


その人は子持ちだった。


姉さんと同じぐらいの歳の男と俺より少し年下の女の子だった。


俺は歳が近いこともあり女の子とはよく遊んでいたが


男とは遊びたくなかった。


ゲームをして俺が勝つと殴られた。


俺がわざと負けても怒られた。


俺は意外とゲームは上手い。


だから、ほとんど俺が勝っていた。


まぁ、理不尽な話しだ。


他にもパシリにつかわされたりした。


それに、男はストレス解消に俺をつかった。


だから、俺はそれから逃げるように里桜の家に遊びに行ったりした。


それに母親は昼間から酒を飲んでいるような人だった。


だから、その男に注意するなんてことは一回も無かった。


あげく母親は新しい男をつくって親父と離婚した。


俺は救われたと思った。


だが、母親は俺達が住んでいた家から出て行かなかった。


仕方なく、親父が新しい家を買い俺達が出ていく形になってしまった。


それが、今住んでいる家だ。


それなのに俺は今、行きたくない所に向かって歩いている。



「優雅君、ここの家?」



マスターが指さした方を見ると見覚えのある家があった。



「そうです」


「そうか・・・・じゃぁ、入ろうか」


「なんで入るんですか?」


「なんでって入らないとここに来た意味ないじゃん」


「でも、依頼となんの関係があるんですか?」


「今回の依頼者は君のよく知る人だ」


「えっ?」



俺がよく知っている人って誰のことだ?



「まぁ、行けばわかるよ。それに今回の依頼は過去からの救世主だよ」


「救世主?」


「そう。とりあえず中に入るよ」


「は、はい」



マスターは呼び鈴を押した。


しばらくして中から声が聞こえてきた。



『は~い、ちょっと待っててください』



声からして女の人だ。


ってことは、前の母親かな?



ガチャっとドアの開く音がした。



中から出て来たのは俺より年下の可愛い女の子だった。



「優兄ぃじゃん!!」


「えっ?」


「もしかして忘れたの?」


「・・・・・うん」


「もう、美夕だよぉ~」


「美夕?美夕ってあの美夕?」


「当たり前じゃん!!っていうか忘れないでよ!!」


「ごめんごめん」



美夕は俺がよく遊んでいた女の子だ。


それがこんなに可愛くなるなんて・・・・


なんか別人みたいだけどやっぱ美夕なんだよね。


教えてもらうまで気付かなかったけど・・・・



「美夕ちゃんって言うの?」


「そうですよ」


「僕は藤田遼介。よろしくね」


「こちらこそよろしくお願いします。私は前田美夕です」



なんか堅苦しい挨拶だな・・・・・


美夕には一番似合わない挨拶の仕方と言ってもいいんじゃないか?



「それより優兄ぃ、どうしたの?」


「知らない。マスターに聞いて」


「マスター?」


「僕の事だよ。みんなからマスターって呼ばれてる」


「なんで?」


「マスターやってるから」



やっぱり美夕だ。


初対面の大人にいきなりタメで話してるよ。


すっかりうち解けた感じだな。



「美夕ちゃんの前の苗字は米椿だよね?」


「うん」


「んじゃ、美夕ちゃんにお兄さんっている?」


「いるよ」


「名前を聞いてもいい?」


「えっと、弘也兄さんだよ」


「優雅君、聞き覚えあるよね?」


「一番忘れたい人ですよ」


「ははっ!俺のことをそう思っているのか」


「あぁ?」


「優雅、久しぶりだな」


「弘也兄さん!!」



俺の一番忘れたい人第一位がいまここにいるよ・・・・・



「優雅、俺に挨拶は無しか?」


「弘也さん、お久しぶりです」



俺は適当に挨拶をした。


もちろん、相手の機嫌を損ねないように・・・・



「俺はお前の事が嫌いなんだよ」


「大丈夫。俺はアンタのこと大嫌いだから」


「なんだと!!」


「短気だね」


「ムカツクなぁ~」



自分から絡んでその言いぐさは無いだろ・・・・


まっ、俺が怒らせたんだけどね!



「優兄ぃ、大丈夫?」


「なにが?」


「弘也兄さん、怒ってるから・・・・・」


「心配ないって、俺は高校生で小学生じゃないんだよ」


「でも・・・・・・」


「ムカツクなぁ~。兄の俺より優雅ってか?」


「そ、そんなことは・・・・・」


「ムカツクなぁ~。オラァッ!!」


「美夕!!」



鈍い音が嫌なぐらい耳に響いた。



「おぃ、いくらなんでも妹は殴るなよ・・・・・」



流石に俺も我慢できねぇ・・・・



「嫌だなぁ~。お前が俺よりこんな奴の事を心配するなんて」


「だからって殴るなよ」


「なんだと!!」


「聞こえなかったか?その年で耳が遠くなったらダメだろ」


「いい加減にしろぉぉぉぉぉ!!!」


「そんな大振りじゃ当たらないよ」



俺は大振りのパンチを避けて脇腹に蹴りをいれた。


見事に脇腹にクリーンヒットしたので弘也は尻餅をついた。



「この野郎!!」


「だから、そんなパンチじゃ俺に当たらないって」



バカの一つ覚えみたいに大振りのパンチで攻撃してくる。


俺はさっきと同じ所を蹴った。



「また、尻餅かよ・・・・・」


「バ、バカにするなぁぁぁぁ!!」



頭に血が上ってるよ・・・・


仕方ない、裏技を使うか・・・・



「よっと!!」



俺は走ってくる弘也の近くに行き足を引っかけた。


すると、見事に引っかかり地面で思いっきり顔面を打った。



「バカだねぇ~」



そうとしか言いようがない。


だって、思いっきり足引っかけますよっていう感じで足出したのに


気付かないで引っかかってるんだもんなぁ~。



「流石優雅君!!」


「この人だったらマスターでも勝てるよ」


「どうだろうねぇ~」


「優兄ぃって強かったんだ・・・・」


「あっ、美夕!大丈夫か?」


「大丈夫だよ。慣れてるから」


「慣れてる?」


「うん」


「そうなんだ。じゃぁ、もっと殴らないと・・・・・」


「ダメだよ」


「でも、俺の気が済まないんだよね」


「弘也兄さんはプライドが高いからこんな負け方しただけで充分だよ」


「そうかなぁ~」


「そうだよ」



まぁ、俺も鬼じゃないしな・・・・



「マスター、依頼はどうする?」


「依頼って?」


「依頼は終わってないでしょ?」


「終わったよ。ねぇ、美夕ちゃん?」


「うん!!」


「はっ?意味がわからないんだけど・・・・」


「だから、今回の依頼者はこの美夕ちゃんなんだよ」


「うっそだぁ~」


「嘘じゃないもん!!私がポストに入れたんだもん!!」


「マジで?」


「うん。そしたらお母さんが離婚したんだもん・・・・・」


「な、なんで?」


「優雅君のお父さんは僕たちの兄貴みたいなもんだよ」


「えっ?親父が組織にいたの?」


「うん」



初耳だ・・・・



「あの店は雅和さんがつくったんだよ」


「そうなの?」


「うん。まぁ、組織をつくった人は違うけどね」


「秘密基地をつくったのは親父ってこと?」


「そうだよ」



あのバカ親父がそんなことしてたなんて・・・・・



あっ!雅和っていうのは俺の親父の名前だよ。



「ねぇ、優兄ぃ」


「なんだ?」


「里桜姉ぇ、元気?」


「元気だよ。嫌になるぐらいな・・・・・」


「そんなこと言ってると怒られるよ」


「里桜は怒りすぎなんだよ」


「それは、優兄ぃが怒らせるようなこと言ってるからでしょ」


「お前が知らない間に言って無くても殴られるくらい暴力女に変身してるよ」


「誰が暴力女だって?」


「だから、里桜だよ」


「へぇ~、そんなこと言っちゃうんだぁ~」


「ん?その声は・・・・・」


「優兄ぃ、ご愁傷様」


「拝むな!!」



俺はまだ死んでないんだ!!


死にそうな状況っていうだけだ!!


つまり、俺の後ろには里桜が鬼と化して立っている。



「んで、優雅。私がなんだって?」


「言ったら怒るじゃん」


「怒るような事なんだ」


「えっ、い、いや、そういうわけでは・・・・・」


「優兄ぃ、諦めなよ」


「ごめんなさい・・・・・」



これは謝るしかない!!



「もう、嫌だ!!絶対許さない!!」


「えっ?」



許さないってどういうことだ?


いつも言っているようなことを言っただけで・・・・・


それに、そんなに怒るようなことじゃないのに許さないって・・・・・


こんなこと今まで無かった・・・・



「私、帰る」


「ちょ、里桜!」


「なに?」


「・・・・・・・」



何故か今の俺は言葉がでなかった・・・・



「用がないなら私帰るね」


「里桜姉ぇ・・・・・」


「美夕ちゃん、じゃぁね」


「う、うん」


「マスター、私は先に店に戻ってます」



そう言って里桜は店に帰った。



「優兄ぃ、大丈夫?」


「大丈夫じゃないかも・・・・・」



正直、ショックを受けている。



「優雅君、僕も報告があるから先に戻るよ」


「はい」


「それから、美夕ちゃんもよかったら店に来てね」



そう言ってマスターもいなくなった。


取り残された俺達はやることが無くなってしまった。



「どうする?」


「どうするって?」



美夕は俺に聞いてきたけど


俺だってわからないのだから聞かないでほしい。



「だから、暇じゃん」



若干、苛ついてるな・・・・


美夕ってこんなに怒りっぽかったっけ?



「暇なら店に行くか?」



店に戻ったら暇じゃなくなるだろう。



「うん、いいけど・・・・・」


「けど?」


「私はどっか行きたいなぁ~と思って・・・・」


「なぁ~んだ。それならそう言えよ」


「だって・・・・・」


「んじゃ、行くか」


「う、うん」


「店に行きながらでいいか?」


「いいよ」



俺は美夕と店に行きながら遊ぶことにした・・・・







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