男の恋バナ
帰り、俺は里桜と一緒に歩いていた。
しかも、里桜は何故か機嫌がいいみたいだ。
「優雅、ジュース奢って、ありがと」
「は?お前ふざけんなよ」
「ケチ」
「ケチって言ってもダメだぞぉ~」
「いいじゃん、ジュースぐらい」
そう思うなら俺に奢ってよ。
俺はジュースすら買えない状況なんだぞ。
えっ?なんでかって?ッハハ、聞いて驚くなよ、それは漫画を買いすぎたからだ!!
「はぁ~、くだらない・・・・・」
「く、くだらないだと!!あと、地の文を読むな!!」
「まぁ、それが優雅なんだけどね」
「何その認識のされかた!?」
「だって、そうでしょ?」
は、反論できない・・・・・・
「仕方ない、ここは私が奢ろう」
「えっ?マジッスか!?」
「何でそんなに驚いてるのよ」
ちょ、里桜さん恐いッスよ・・・・
そんなにガン飛ばさないでください。マジで恐いんだから・・・・・
「ねぇ、優雅」
「あぁ?」
「あれ、片山じゃない?」
そう言って里桜は俺の家の前を指さした。
「ん?どれどれ?」
う~ん、確かに片山ですなぁ~
でも、何であんな場所にいるんだ?
「お~い、片山!!何してるんだぁ~?」
「あっ、米椿に島田!!ちょうど良かった。ちょっと頼みがあるんだけど」
頼み?片山が俺に頼みがあるだと?
なんか、里桜も不思議そうな顔してるし
いったい、頼み事ってなんだ?
「とりあえず上がってけ」
「あぁ」
俺は片山を家に入れた。
もちろん里桜も入れましたよ。
ってか、入れないと怒られるし・・・・・
里桜はもう少し大人しくなったらモテると思うのになぁ~
まぁ、今でもモテてるんですけどね、あぁ~羨ましいな畜生。
「それで、頼みってなんだ?」
さっきから気になってしょうがないんだよ。
「実は、俺好きな人がいるんだけど・・・・・」
「「えぇぇぇぇぇぇ!?」」
か、片山に好きな人だってぇ!?
俺と里桜は顔を見合わせビックリしていた。
「おい、俺に好きな人がいるのがそんなに不思議か?」
「「そりゃぁ、もう」」
「それ、どういう意味だよぉ!?」
「ちょ、片山落ち着けよ」
「そこまで怒らなくてもいいじゃん」
そ、そうだ!里桜の言うとおりだ!!
だいたい、片山みたいなツラしてる奴に好きな人がいるなんて普通思わねぇだろ。
「まぁ、いい。それより相談なんだが、そ、その好きな人に告白がしたいんだ」
あらぁ~、ってか、好きな人って誰?
「おい、片山ぁ~、その好きな人って誰なんだよぉ?」
「なっ、そ、それは・・・・・・」
「誰なの?」
里桜のテンションがいっきに上がったよ。
女子ってこういう話題本当に好きだよなぁ~
「おおおおお、女には教えねぇよ!!!」
「じゃぁ、俺に教えろよ」
「なななな、何でお前なんかに教えないといけないんだよっ!?」
「う~ん、協力できる範囲が広がるから?」
おぉ!!我ながら良い感じにそれっぽいこと言った!!
「そ、そうか?じゃぁ、こっち来い」
えっ?教えてくれるんすか!?
いやぁー、こりゃラッキーだわぁ~!!
ということで、ここはトイレの前です!
何故!?って思うかもしれないけど、ここだと里桜に聞かれないと思ったからだ。
でも、男2人がトイレの前で好きな人のことを話すっていう状況は滅茶苦茶珍しいっていうか滅茶苦茶変な状況だよね。
「それで、誰なんだよぅ?」
「そ、それは・・・・島田・・・・」
「はい?」
ん?今のは空耳かな?
何か聞こえた気がしたんだけどなぁ~
「それで、誰だって?」
「だから、島田だって言ってんだろうが」
「あらまぁ~・・・・・」
とんでもない奴を好きになったなぁ~
確かに可愛いけどただの暴力女だぞ?
しかも、強いし・・・・
「お前、わかってないなぁ~」
「何をだ?」
なんか、片山に見下されてる感じで嫌なんだけど・・・・・
「島田はなんだかんだいって優しいし根は良い奴じゃん」
「う~ん、どうだろ?」
悪い奴ではないんだけど、なにせ暴力女ですからねぇ~
それに、優しいって思ったことあんま無いしね。
「まぁ、がんばれ」
俺が言えるのはそれだけだ。
どうだ、この無責任ぶり!!
きっと怒られるけどね・・・・・
「お前、ふざけんなよ!!好きな人まで教えたっていうのに!!」
ほらっ!!怒られたでしょ?
俺の言ってた通り片山は怒りましたよ!!
「協力してくれるっていうことだから教えたのに・・・・・」
「あぁ、もう、わかったよ。協力するからトイレの前でいじけるな」
ハッキリ言ってキモいんだよ。
「2人とも何話してるのぉ~?」
「り、里桜!何やってんだよ!?」「し、島田!驚かすなよ!!」
「ごめん、ごめん。それより、お客だよ~」
客?こんな時間に誰だろう?
「やっほ」
と言って、里桜の後ろから綾さんが顔を出した。
「なんだ、綾さんかぁ~」
「なんや、えらい失礼やな」
「それより、2人で何話してたの?」
「う~ん・・・・・男の恋バナ?」
「何それキモッ!!」
「ちょ、そんなに引くなよ!!」
片山なんて固まってるよ?
まぁ、好きな人に思いっきりキモイって言われたからな。
「なぁ、優雅」
「なに?」
「ちょっと、話しがあるんやけど」
話し?話しって何だろう?
俺は綾さんに呼ばれて今度は俺の部屋に行った。
「これでよしっ!」
「いきなりどうした?」
「いや、2人きりになれるチャンスを作ったろうと思ってね」
「えっ?」
どういう意味だ?
「せやから、片山に告白のチャンスを作ったんやがな!!」
「おぉ~!!流石綾さん!!」
「でしょ?でしょ、でしょぉ~?」
ってか、綾さんにも里桜が好きって事教えてたんだ。
「あと、私のことは呼び捨てでええよぉ~」
「へ~い、了解しましたぁ~」
俺は綾と2人で世間話をしていたら
里桜の絶叫が聞こえた。
「何だ今の?」
「片山が告白したんやろ」
そ、そうなのか?それにしては叫びすぎじゃないか?
まぁ、片山にいきなり告白されたらビックリするけだね。
それから10分後、部屋から出ると片山の左頬が赤くなっていた。
可哀想に、きっと殴られたんだろう・・・・・
片山、次はきっと成功するよ!・・・・・・多分。