第1話 2つおじさんとは
私は普段テレビもラジオも触れない。たまにネットニュースまとめアプリのトップページで好きなアイドルの話題があればタップするくらいだ。
それでもテレビだけは持っている。これは処分したくない。
私にとって大事な両親が一人暮らしするならということでプレゼントしてくれたからだ。
先月、前のバイト先にケンカを売って飛んだばっかりだ。近くのショッピングモールの中の別館4階のチョコレートショップでバイトをするつもりだ。
そのチョコレートショップの面接も無事終わり明後日からバイトだ。
初日は研修だけだった。どのチョコがどういうフレーバーかを覚えないと店頭に出してもらえない。前のバイトはケーキ屋だったのでそういう味はある程度名前を聞けばわかる。
無事研修3日目で店頭に出た。
「あぁ、そうだ、17時に週5くらいで来る男性は何もしなくていいよ。2個だけ買うからね」
「そんなお客がいるんですかぁ」
時間は16時56分だ。この店のお客の女性がほとんどで、たまに男性がちらほらいる程度だ。
ショッピングモールなので他のお店に用事のお客もいる。
ジャージに薄い水色のパーカーを来た40代前半のおじさんが来た。
試食を断ってグラム計算のチョコを甘めが強いフレーバーを2つ取ってまっすぐレジに来る。
まるで他の商品などないとでも言わんばかりに。
他にもギフトにビター、フルーティーや甘めが強いけどサイズを小さくしているなど様々な商品がある。
レジ横のフォークの形を模したチョコだけは気になるのか、レジの列からチラチラ見ている。
私がレジに入る時間だ。
2つおじさんも気になるが、レジも業務だ。
横の先輩はレシートクーポンの説明をしている。
私の次のお客は『2つおじさん』だ。
手には2個のチョコが入った袋とレシートが見える。
前のお客さんが清算を終えるとおじさんはずんずん、スマホを触りつつ私のレジに向かってくる。
無言でさも知ってますかのようにスッとスマホからアプリ提示してきた。
その後すぐにショッピングモールが入っている経営会社のアプリを出してきた。
そして、読み込みが終わると、また別の決済アプリを開く。
私はこのおじさんのスマホさばきに驚いた。
そのまま私は無意識のうちに商品成分表を貼って袋を留めた。
「あ、レジ袋不要です」
「ありがとうございます~」
ふと、レジ横のお客のポイント数、履歴表示をみるとすごい量の履歴がある。
ただし、20グラム前後で300円ちょっと。
そして、貯まっているポイント数、50000ポイント。
第2話 試食とメモ




