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モデル転校生に一目惚れした私は彼女と絶賛百合ライフ中でしたが、実は極度のメンヘラで追い詰められています  作者: 結奈城 黎


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第16話 素顔、思惑

……


…何時間寝てたのかな


ベッドから静かに起き上がる。時計は1時27分をさしていた。


午前中まるまる寝ていたらしい。


少しは身体のだるさも、頭の痛みも収まっていた。


「起きた?」


部屋に美月が入ってくる。


私はベッドに腰掛けたまま、思わず肩まで毛布を引き上げた。


「…別に、取って食おうとなんてしないよ?」


あまりにも信頼できない発言が飛び出てくる。


この人、夜のこと何も覚えてないの?


「洗濯とかも干しといたよ。昼ご飯も一応作ったけど、食べる?」


「…あとで食べるよ。まだお腹すいていない」


「そっか。うどんだから伸びちゃうけど…」


「分かった。食べるから、今はいい」


「じゃあ何かあったらまた呼んでね」


そう言うと美月はリビングへと戻っていく。


私は再びだらーっとベッドに潜り込む。


スマホを見ようと、ベッドを手探りするが、見つからない。


…あれ、ベッドに置いてたはずなのにな。


「どこ…スマホ…?」


「スマホなら、リビングに置いてたよ」


「あ、うん…」


リビングへと出ると、テーブルにスマホが置かれていた。


…やっぱり、こんなところに置いたはずないんだけど。


まあいいや。私はベッドに寝転がるとダラダラとスマホをいじり始めた。


~~


私──美月は、キッチンに立つと慣れた手つきで野菜を切り始めた。


トントン、とまな板を叩く音が響く。


愛ちゃんは、まだ眠っていた。


「…ここが、愛ちゃんの家かぁ」


実際に来たのは初めてだ。


何というか、上手く言えないけど愛ちゃんが暮らしている家…って感じだ。


というわけで本日作るのは煮込みうどんです。


頭の中で三分クッキングの例の曲が流れ始める。


冷蔵庫に入っていた冷凍うどんを取り出し、レンジに入れる。


棚から鍋を取り出すと、グツグツと沸騰させる。


出汁も作ろうと思ったけど、あまり食材がないから簡単な調味料で妥協した。


しばらくすると、もくもくと白い湯気が湧き上がってかた。


先ほど湯掻いた野菜とお肉、味付け用の味噌を鍋に入れる。


うどんを加えてしばらく弱火で煮込めば、完成。


ふわりと、旨みの薫りが立ち上る。


これで、完成だ。


簡素な材料にしては、悪くない出来。


しばらくすると、キッチンの向こうの部屋で、小さく影が動いてるのが見えた。


「起きた?」


愛ちゃんの部屋に入ると、彼女は少し怯えた様子だった。


もう、私怖がらせるようなこと《《なんてしてない》》のに。


「…別に、取って食おうとなんてしないよ?」


愛ちゃんは怪訝そうだ。不服。


「洗濯とかも干しといたよ。昼ご飯も一応作ったけど、食べる?」


「…あとで食べるよ。まだお腹すいていない」


「そっか。うどんだから伸びちゃうけど…」


「分かった。食べるから、今はいい」


「じゃあ何かあったらまた呼んでね」


その後、愛ちゃんはスマホを取るために、一度リビングに来たけど、そのまま部屋に戻ってしまった。


うどんをすすると味噌の味が広がる。


モグモグと麵の感触を味わう。


空気は乾いていた。

ズズ、と汁をすすると、喉は潤されていく。


うーん、美味しいけど、何だか味気ない。


1人…だからかな。


そう思った私はお椀を持ったまま、愛ちゃんの部屋の扉を勢いよく開けた。


~~


部屋の扉が突然勢いよく開けられ、暗い部屋に光が差し込む。


横になってスマホを見ている私の──里中愛の身体がビクッと震える。


「な、なに…?」


「愛ちゃん!病人がスマホばっかみてない!私、寂しいから愛ちゃんと一緒に食べます!」


私は戸惑いを隠せなかった。


「えぇ…?風邪、うつっちゃうよ」


「私、こう見えても身体強いんだから!」


私はそう言うと、腕を曲げて胸を張る。


いや、力こぶないから…


私の心の中のツッコミ他所に、美月はベッドの横の小さなデスクにうどんを置く。


「口開けて、あーんしてあげるから」


「…別にいいし」


「今日は素直じゃないなぁ。いつもだったら、『ちょっと…あーんはさすがに恥ずかしいって…///』くらい言うんじゃない?」


「………」


「図星かぁ」


そう言うと、美月は上機嫌で食べかけのうどんを再びすすりはじめる。


私もうどんを口につける。ほんのり香ばしい味噌の風味が食べやすい。


「…美味しい」


「そこは素直なんだ」


彼女はクスクスと笑った。


私は俯いたまま、黙ってうどんを食べ続けていた。


「「ごちそうさまでした」」


2人の声が重なる。


「ありがとう美月…」


「ふふ。そう言われると嬉しくなっちゃうな」


彼女はそう呟いて、笑顔のまま部屋を出ていった。


私は、暗い部屋でまた1人になる。

外からは、美月が食器を洗う音が聞こえてきた。


もう、美月が分からない。


今、私に献身してくれる美月は、私が好きな美月そのものだ。


優しくて、何でも卒なくこなせて、からかい上手の可愛い女の子。


けれど、そのたびに脳裏をよぎるのは深夜の恐ろしい美月。


コンコン、と冷たい声で私の部屋を訪ねる理解できない存在。


ねえ、どっちが本当のあなたなの?


私、今日の美月といる時は久しぶりに楽しかったんだ。


恋人であることを求めないで、素のままで接してくれるようで。


でも、彼女が私を求めると…どうしても距離を置いてしまう。


我がままだけど、私、まだこのままの関係でいたいんだよ。

別に、恋人になることそのものが嫌なわけじゃなくて…


あの日──美月に告白されたときにもそう伝えたのに。


そして──恐ろしい美月は、本当に美月なの?


あの時、美月の顔は見えなかったし、聞こえたのは声だけだった。


だから、また一緒の時間を過ごして今は少し美月を信じたくなっちゃたんだ。


お願い、あの夜を嘘だと言って。否定してよ。


私は藁にもすがりつくような気持ちだった。


だって、一緒に美月と過ごしてきた時間は伊達じゃないんだもん。まだ…可能性が0じゃない限り信じさせて欲しいんだ。


そして…これは考えたくないけど、もしあの怖い美月が全部私の妄想だったら…?


そう思うと、背筋が冷たくなる。


ありえない話じゃないだろう。


だってスマホに記録は何も残っていない。

美月だってその事を覚えていない。


あの夜の出来事を証明できるものは何もない…


私は布団に潜り込んだ。


色々考えると、また頭が痛くなる。


もう何を信じればいいのか分からない。


誰か、助けてよ。


この底なし沼から抜け出させて。






親友を見失った愛。

そんな美月の本音は。あの夜の真実は。

…彼女しか知らない真実とは。


次回──第17話 美月の本音



最後までご覧いただきありがとうございます!


美月と愛の結末が少しでも気になる方は⭐︎やコメントを残していただけると、大変励みになりますので、よろしくお願いします。

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