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愛犬と俺  作者: 笑門来福
1/1

グリーンランド

・・・ーーー。

セベ。 起きて。 セベ。


(なんだいつの間にか寝てたのか?)


ファサー 


心地よい風が俺の体を包み込み、違和感と共に目をあけた。

(ん?なんで外で寝てるんだろ。)

目を開けるとそこに広がるのは広大な緑で染まった草原だ。

周りには木々がほどよい感じにひらけていて、目の前には小さな池のような場所がある。

学校のプールくらいの大きさかな。


(ここどこだ?夢か? さっきの声は…)

俺は周りを見渡す。見渡す限り自然だ。 そして目の前に心配そうに俺を見つめる子がいた。


俺は首を傾げながら聞いた。

(えーっと。すみません。どちら様でしょうか。)


すると、その女の子 ー見た目は27歳くらいー が微笑みながら、そしてちょびっと困惑しているかの様な表情で口を開いた

(せべ!チッポだよ!あたし!チッポ!!) と言ったのであった。

セベとは俺。高田せべけるというのが本名だ。

そしてチッポは俺の飼っている愛犬の名前だ。


何を言ってるんだ。と俺は目の前の可愛らしい女の子を見ていると気づいた。 というよりも驚きのあまり普段小さな目を目いっぱい広げて見直した。

なぜかって? それは目の前にいるチッポと名乗る子の頭には耳がついており、お尻には尻尾があるからだ。


もともとファンタジーが好きだった俺は目の前にいる実物の亜人の子をまじまじと見つめ、もう一度聞いた。


(チッポって俺が飼ってた愛犬の名前なんだけどお…)

するとチッポが尻尾を振りながら口を開く


(うん。それがあたし。そしてセベ?あなたの容姿も変わっているのよ)と首を傾げながら俺の手を引き池の前まで連れて行った。

ーー水面に映る顔を見た瞬間に驚いた。ぶったまげた。

昭和の顔をしていた俺の顔がかなりの美系になっているのだ。 髪も黒の天然パーマだったのだが茶色の直毛になっている。


ああ夢か。 にしてもファンタジーな夢だ。いい気分だ。

と思いながら手で水をすくい顔を洗う。

かなり冷たいがとても綺麗な水だ。

よく渓流釣りに行っていたから、ここの水がかなり綺麗なのは一目見て分かる。


俺はチッポの方を向き言った。(チッポ、まさか2人して夢の中にいるなんてな笑 )なんて笑ってたらチッポが腕を甘噛みしてきた。 ガブッ

(いてっ)目が点になりチッポを見つめる。

夢なのに痛いなんて…

(せべ?夢じゃないみたい。あたし達散歩の帰りに車にひかれちゃったの…それで起きたら2人とも容姿が変わってたの)

そう。俺はたしかにそのシーンを曖昧だが覚えている。

てことは、まさか… 心が踊るのが自分でも分かる。

(チッポ、てことは俺らは転生したのか?まさか本当にそんな事があるなんて)驚きながら口走るチッポは続けて話しだす。

(そうみたい。あたしこの姿になる前に、車にひかれたあとに光る場所に行ったの。

そこでセベはまだ寝てたけどその時に言われたの)


ーーあなた方1人と一匹は交通事故により命尽きました。 私はあなた方のいた地球とこれからあなた方に救って頂きたい世界。イニシアという世界の狭間にいるいわゆる女神です。

ここイニシアにある一国のグリーンランドという国でこれから厄災が起こります。 一国の姫、エリザベス・リーン

この方はこれから、あなた方に救って頂きたい人です。

この大陸で1番の可愛さをもち、そのためが故に大陸中から婚約はもちろん暗殺。美しさ故に命まで狙われています。

人々はこの姫の為に争い。 また争いの火種だからこそ排除しようとしている勢力もいます。

チッポちゃん。ここは魔法はもちろん亜人や人間、古き悪魔に魂を売った集団や魔物なんかもいます。

なのであなたには亜人種となり、せべと一緒に姫を救って頂きたいのです。 ーーー


チッポが淡々と女神という存在から言われた事を俺に話した。

幸いファンタジー好きだったのもあり、なんとなく状況把握はできた。できたんだが…魔法?俺も使えるのか


(チッポ、魔法ってのは俺ら2人とも使えるのかな?)


チッポは頷き続ける

(うん。ある程度の魔法は使えるみたい。あたしは身体強化と炎属性を付与してもらったの。セベは水と光と闇と雷が付与されているって女神様が言ってたわ)

なんだ…かなりのチートに思えるけど使い方も分からんしな


話はだいたい理解できた。 普段から転生してえなあと思っていただけに驚きはあったが、やる事が明確な上に転生だ。

これは楽しくなりそうだ。

(チッポ、魔法の使い方は聞いた?)

(うん。念じればそれにあった魔法が使えるって)

念じるか。よし試すか

…うぉーーーーーハイドロポンプ!

ポケモン世代だからかな?水の攻撃を念じるのに自然とその言葉が脳裏に浮かぶ

その瞬間

突き出した手からは消防車の放水なんて比べものにならないくらいの水が飛び出し目の前の木々を薙ぎ倒したのであった

ーーどごーん、ばきばき

2人は目を丸くして見つめ合い驚きを隠せなかった。

次はチッポだ。使って見てくれと言う

チッポも同じように念じると尻尾と両手から火が沸き起こり炎の渦ができた。その美しい容姿と炎を纏う姿をみて神秘的な物を感じたが次の瞬間…

炎が暴発して周りの草木が燃え始めた。


(やべっ!)チッポに魔法を辞めさせて俺はまた念じた。

…ーーハイドロポンプ

ぶしゃーーーーー

鎮火完了。2人とも練習が必要だな。


とりあえず周りを探索するために、そして王都に行くために歩き出すことにした。

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