移り行くもの
にるにるとボトルからケチャップを出して、私はしまった、と呟いた。
たーくんが、ケチャップをじっと見ている。
瞬きする間も惜しむように、ひたすら。
従兄弟のたーくんは、昔ッから「流れるもの」に興味津々だ。
幼稚園くらいのときは水ばっかり見ていたし、河や海に行くと泳ぐでもなく流れる様子ばかり見ていた。
水のような、速度と力が比例関係にあるニュートン流動を卒業して、小学校高学年となった今、非ニュートン流動に興味が移っている。
ケチャップは、
「非ニュートン流動だ」
「塑性流動だね」
たーくんに合わせるうちに私も覚えてしまった。
この間はダイラタント流動する水とき片栗粉に注いでいた視線が、今はケチャップに注がれている。
「てことはビンガム降伏値があるんだ。調べたいなあ」
「調べるなら」
たーくんの前にスプーンを置く。
「オムライス食べてからになさい」
ニュートン流動の説明は正しくないです。
文章の流れを優先した結果ですのであしからずご了承ください。