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勇者に捨てられた死霊術士~彼女が最強に這い戻るまで~  作者: LA軍@呪具師(250万部)アニメ化決定ッ
第3章「帝国の賢者」

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閑話1「それはお口の天敵」

別作品のコミカライズが発売です!

よろしくね~!

『ダメスキル【自動機能】が覚醒しました〜あれ、ギルドのスカウトの皆さん、俺を「いらない」って言ってませんでした?』11月9日発売中!



サクサク更新していくので、是非とも、ブクマでチェックしてね!!


あと、

LA軍期待の超推し作品が、発売中ですッッ!

是非とも、チェックのほどよろしくお願いします!


挿絵(By みてみん)


【上記あらすじ】

 召喚されし勇者に全てを奪われた『ドラゴン召喚士』の青年が、拷問の果てに『ドイツ軍?!』を召喚し、圧倒的火力でファンタジー世界をぶっ飛ばす作品……となっております。



↓ 本編です ↓


 ドルルルルルルル!


 騒音。


 グゴゴゴゴゴ……!


 騒音、騒音。


 海軍工兵隊(シービー)のブルドーザーが走り回り、帝都を更地にしていく。

 まだ瓦礫に下には、ロベルトのばら撒いたホムンクルスによって蠢く死体もありそうだが、瓦礫ごと磨り潰し、撤去してしまえば関係ない。

 

 エミリアはその様子を、皇城の基部に腰かけてノンビリと眺めていた。


 身体には擦り切れたボロといつもの黒いマントだけを羽織っているだけ。

 おかげで、彼女の薄い体のラインが浮かび上がっていた。


 肉感的ではないが、十分に美しいそれ──。

 もっとも見るべき者はここには誰もいなかったけども……。


 そして、もうひとつ

 彼女の傍らには、肢体以上に目を引く美麗な装飾の施されたオリハルコン製の大剣だけが寝かされていた。


「───♪」


 時折その刀身を撫でながら、エミリアは「ふわわ~……」と小さく可愛らしい欠伸を浮かべた。


(……いい天気───)


 抜けるような快晴の中。

 帝都は未だ艦砲射撃の影響で(くすぶ)り、先日までは黒い雨が降り続いていた。


 おかげで大方は消火できたものの、まだ所どころが燃えている。


 だが、そんなことは知らぬとばかりに、

 アメリカ海軍のブルドーザーは、帝都の瓦礫や死体を容赦なく磨り潰し、堀や港──そして帝都の郊外へと押し出していく。


 巨大な土木重機の無慈悲な響きは死体の声などかき消してしまう。

 おかげでのその騒音に怯え、その牙に引き潰されそうな哀れな民衆も、もはやここにはいなかった。


 無人……。

 無人の廃墟──。


 かつて帝都を賑わしていたであろう民は皆無。

 アメリカ軍とエミリアだけの、騒がしくも閑静な都。


 ……瓦礫に下にいたはずの、僅かな生き残りの住民たちは、エミリアがホンの少し眠った隙に大半が逃げ出したようだ。


(──別に追いかける気もないしね)


 今のエミリアの目的は、ルギアだ。

 そう。奴、ただ一人───。


 そして、最後に勇者シュウジに至り復讐を終える…………ただそれだけ。


 もはや、エミリアの頭にはルギアとシュウジしかいない。

 残りの勇者小隊も『帝国』もただの添え物だ。


 もちろん許しはしないものの、人類をどうこうすると言うのは最終目的でもなんでもない。


 ただの過程。

 ただの決定事項。

 シュウジに至るまでの障害でしかない。


 そんなこと(・・・・・)よりも───だ。


 帝都で見つけた大きな地図。

 それを地面にバサリ──と、広げたエミリアは几帳面に作戦計画を立てていた。


(こうしてみると、帝国って本当に広いのね……)


 帝都、各主要都市、エルフの大森林、ドワーフ鉱山。そして古の森。

 あとは人跡未踏の辺境と、帝国の前身である海洋国家群のある諸島──。


(どれほど、私たちはあの狭い土地にいたんだろうか……)


 ふと、懐かしい魔属領をみやり……。その箱庭のような狭さにめまいを覚える。

 だが、今はもう何もない土地──……だからあえてそこに目をそらし、本来の目的に立ち返った。

「……あった」

 エミリアは王都の燃えカスを手に取ると無造作に地図に押し付ける。

 ズリリ……と、消し炭がこびりつき地図を汚していき、──そっと目を閉じたエミリアは、

「目標──……」

 そうっと呟くと、

 次の瞬間、猛然と目を見開き──消し炭を持って地図に書きなぐるように一線を引いた。


「──古の森ッ……ルギアが居城!」


 バサササササ! と、その叫びに驚いたように、帝都の残骸を漁っていた鳥たちが驚いて一斉に飛び立った。


 その羽ばたきが静まった頃、地図に刻まれていたのは矢印。

 燃えカスの炭で、黒く、太く、真っ直ぐに描かれた矢印が示す侵攻方向とは。


「サティラ、グスタフ……そして、ルギア」


 エルフの住まう大森林を抜け、

 ドワーフが営む大鉱山を潜り、

 その先───ハイエルフのルギアが居を構えると言う太古の森を一路指し示す……。


「ふふふ……。ルギアに会えるのが楽しみだわ。だ・け・ど……その前に懐かしい顔にも会いに行かなくちゃね♪」


 うっふふふふふふふふふふふふふ!


 大森林のサティラ。

 そして、ドワーフ鉱山のグスタフ。


 どいつもこいつも、ちょうど進行方向だ。

 そのついでに用事を済ませても、罰は当たるまい。


 あぁ、実に、楽しみだ。

 あぁ、実に、実に楽しみだ。


 ……ニィ、と美しい唇を歪めてエミリアは笑う。


「うふふふふふふふ……!!」

 楽しみ。

 実に楽しみ────。

 ゆっ~くり楽しませてもらうわ、アナタたちの顔が苦痛と恐怖の連続で歪むさまを!


 ──あははははははははははははははは!


 ひとしきり笑うと、エミリアはがれきに身を横たえ、深い満足と共に空を見上げた。

(いい空ね…………)


 死肉を漁る鳥が枚飛び、棚引く王都の燃える煙が空をまだらに染めている。

 そんな様子をボンヤリと眺めていると──。


 ───カタカタカタッ!

 

 エミリアの空腹を感じ取ったのか、傍らのポットが湯気を噴き上げていた。


「あら、お湯が沸いたみたいね」


 ムクリと半身を起こすと、帝都の瓦礫から拝借したヤカンや五徳、そしてカップを準備する。

 ちみなみの全部帝都から拝借した。もちろん、火も帝都の焼けた廃材から使っている。


(腹が減ってはなんとやら──)


 アメリカ軍から手渡された紙袋を手にニコニコとほほ笑むエミリア。


「…………読めない」けど

 ま、頂きましょうか。


    Meal

    Combat

    Individual


「……やっぱりよめない(MCI)???」


 矯めつ眇めつ紙箱を眺め見るがやはり読めない。

 ……異世界の言語なのだからしょうがないか。


 解読を諦めたエミリアは、紙箱に入ったそれを開封しようと、「───いただきます」と一礼、丁寧に祈り、封を破る。


 ゴロゴロ、ゴト……。


「ふーん? こうなってるんだぁ?」


 開けて一番に目を引いた大きな缶詰めを取り出す。

 その他にも小さな缶詰めや調味料なども並べていく。


 メインディッシュ、主食、そしてアクセサリー。の缶がいくつか。


 ……ふむふむ?


 まずは傍らの缶詰容器を引き寄せると、エミリアは器用に缶切りを使って開封しはじめた。

「使い方あってるかしら?」

 キコキコ、コパッ♪


(わ。おいしそう……た、たまらないよー!!)


 この匂い!

 そして、中身!!


 ほら、見て見て!!


 エミリアがウキウキして開けているのは『Cレーション』とやら。

 よくわからないけど、携帯性を工夫した軍人達の食べ物らしい。


 ──じつは、知識としてはある。


 ……それは、米軍術師となったためか、死霊術から派生した召喚獣たるアメリカ軍を理解するうちに、その知識がエミリアに馴染んでいくのだ。


 ……だが、如何せん元の知識量が違い過ぎる。


 武器なら扱いが分かっても、機械類はチンプンカンプンだ。

 でも、それでもいい。


 愛しきアメリカ軍と繋がっているという安心感があれば、それでいい。

 Cレーションだって美味しければそれでいい!


 キコキコ……、カパンッ──────!


 さらに大型缶を開け切ると、中からビスケットとキャンディーから転がり落ちた。


「あわわ! さ、三秒ルール、三秒ルールぅ!」


 そのうちのビスケット一つとって口に含むと、「サクッ!」とよい触感───そして、なんという甘さと、クリスピーさ!


「うん。うん。うん!!」

 サクサクサクサクサクッ。


 もっもっも♪

 と、口の中でビスケットを何度も何度も噛む。


 お。


 お、


 お──……。


「おいしーーーーーーーーーーー!」

 なにこれ!

 甘い、サクサク、おいしい……!


 あっという間に口の中で唾液と混ざって溶けていくビスケット。

 あまりにもおいしいものだから、手についた粉までペロリと舐めとってしまった。


「えへ♪」


 ついでに、口の回りの粉をお行儀悪く舌で(ぬぐ)いとると、さっそく二枚目!


 次は味を変えてみようと、そこに同封されていたチーズスプレッドを取り、たっっっっぷりとビスケットに掛けて、まぁた一つ口へ……──────。


 サクリ…………しゃくしゃくせさゃく。


 ん。

 ん。

 ん……!


「ん~~~~~~~~!! 美味しいッ!」


 なかなかどうして、おいしいじゃないの。

 とくにこの──。



 チーーーーーズの、風味が堪らなーーいッ!!



「おーーーーーーいしーーーーーーーー!」

 口に中の幸せをいつまでも堪能するエミリア。

 さらにジャム缶まであるのだから、至れり尽くせりだ。


 ベリーの甘酸っぱい味のジャムも、これまた旨ーーーーい!!


「えへへー♪ ジャムだけ食べちゃおっと」


 指にタップリジャムを取ると、チュプン♪ と口に含んで舐めとっていく。

 両親が見ていたら、きっと怒るだろうなー───と、ふと思い出し少しセンチな気分になる。


 でも、甘い──────……美味しい!!


 すぐに破顔すると、今度はジャムをビスケットに乗せて幸せそうに頬張るエミリア。

 ジャムの甘さと、ビスケットのサクサク感の罪なことヨ───。


 大満足で腹に落とすと、ちょっとしたことを思いつく。


「えへへのへー♪♪ チーズとジャム一緒に乗せちゃお~っと」

 たっぷりのジャムと、たっぷりのチーズスプレッドをビスケットの上にテンコ盛り。


 余ったチーズスプレッドを容器から直接チューチュー吸いつつ、悪戯っ子のような顔でビスケットを眺めると、大きく口を開けてパクンと一口──────……旨ひッッ!!


 旨い! じゃないよ!

 旨ひ!! だよ。だよ!!


「もっくもっく…………ごっくん─────おいひーーー!!」


 両手で頬を支えて幸せに浸る。

 こ、こんなおいしいビスケットがあるなんて……!


 ペロペロと残ったジャムを食べつつ、ちょっと塩気の欲しくなったエミリアはもう一つの缶詰を開ける。

 食べている間に、お湯に浸しておき温めておいた奴だ。


「あち! あち! あちちち……!」


 手で保持するのが大変なくらいの熱さだが、中身へのワクワクが止まらない。


 キコキコキコと缶切りを入れるのももどかしく感じるが、一開け目でプシュウと温かい空気が抜け、そこに豊かな肉と豆の香りが漂う。


 それだけど、体が早く早くと中身を求める。

 ちょっと待ちなさいってマイボディ──。


 なんとか、かんとか、缶を開け切ると────……なんということでしょう?! 中身は茶色のスープがひたひたに!


 すごーく食欲をそそる香りが、辺りにたちこめた。


 ゴクリ……。こ、これは食べでがありそうね!


「……さ、さぁ、食べるわよー!」

 腕まくりせん勢いで、メインの缶詰に取り掛かるエミリア。

 さっそく同封されていたスプーンを使い、大きく一掬いッ!



 あーーーーーーーーーーーん



 パクぅぅッ!!!


 

 ッ!!!



「これ───!!」



 ちょ、これ!!!



「うっまッッッ!!!」


 なにこれ!? うんま~!

 やばいわ、これぇ!


「ちょー美味しいんですけどぉ!!」


 パク。

 パク、パク、パク。

 

 パクパクパクパクパク!!

 

 んーーーーーーーーーー止まらないッ!!


「なにこれ、なにこれ!!」


 お肉、そして、お豆!!


 それをなにか、とっても深い味のするスープで煮てる?


 お、お、おおお、美味しすぎるぅぅぅう!!


「あ、ダメ! これは駄目かも!!」


 凄いこと思いついちゃった!

 これを──────……。


 そーっと、お肉だけ掬い上げて、ビスケットの上にON!!


 アーンド、お口へパックン…………!!


「ぐは~ん─────────最ッッッ高!!」


 おいひーよー!!

 おいひーよー♪♪


 何このクオリティ!!

 何このお味、そして、風味、そして────ああああ、語彙が思いつかない!!


 缶を傾け、中身のスープを残さず飲み干し満足げかつ、幸せそうな吐息をホゥ……♪ と吐く。

 肌がほんのりと赤く染まり、何処か色気すら漂わせたエミリア。


「おい、すぃ…………♪」


 ボーっと、余韻を楽しむように、缶から出てきた簡易飲料のレモネードのパウダーを水のカップに溶かし、啜る───。

 それはもう、余韻にひたたったまま機械的な動作で──────……。


 ジュゾゾゾゾ……。


「あ───!!」


 そして、意識が現実世界に返ってきたエミリアはビックリしてカップを見る。

 黄色に染まったカップの中身に驚愕。


「す、すっごい! 口の中サッパリ───」


 肉の余韻と油でコテコテになった口が、リセットされる。

 これは凄い!!

 旨い! 最高!!


 最高よぉ!!


「あーもう、レーションってば、最高ッ!」

 

 装甲艦の上で食べたハードタックも悪くはなかったが、いかんせん硬くて硬くて……。

 それがどうだ、このCレーションの中身のすばらしさ。


 残るビスケットをレモネードと一緒に食べきると、ケプッ───と小さなおくび(・・・)を漏らす。

 食後の楽しみに、とキャンディを一つ口へ放り込み、その甘さに目をトロントロンに蕩けさせるエミリア。


 ニコニコ顔のまま、残りのキャンディをマントの内ポケットに入れて満足気。


(…………これは、あとで食ーべよ♪)


 じゃ、お次は───。


「やっぱり食後はこれよねー」


 同封されていた粉末コーヒーを取り出すと、カップに落とし、そこにお湯を注いだ。


 コ、ポポポ…………。


 ホワァ……と、コーヒーの香りが漂い、うっとりとする。


「砂糖もついてるなんて、ほんと至れり尽くせりなこと……」


 別に配られたアクセサリーパックを取り出し、中から砂糖とガムを取り出すと、ガムはポケットへ、そして砂糖は全部コーヒーの中に注ぎ入れた。


 そこに、さっきのスプーンでかき混ぜると、ショリショリとカップに当たり砂糖が溶けていく感触。

 少しだけ、スプーンについていた肉の油が浮かぶが、構うことはない。隠し味、隠し味。


 まだまだ、熱いのでジュズ───と一啜りで止めておく。


 うん、あつい!!!!


 けど、

「──あぁ、なんだろう。ホッとする……」

 

 コーヒーの中に含まれる「かふぇいん」という成分のせいだろうか?

 よくわからないけど、疲れも吹っ飛ぶようだ。


「そして、これ───コーヒーといったら、これよ!!」


 じゃん!

 とエミリアが効果音つきで満面の笑みで取り出したのが、『特別に───』という名目でアメリカ軍から無理を言って貰った『Dレーション』だ!!


 ウキウキとしながら包装をバリバリと開封していく。

 中身は、なんと『ちょこれーと』というやつだ。


 焦げた茶色のレンガのような代物だが、なんともいえない甘さと苦さの中間のような複雑な香りがして自然と頬が緩む。


 これがまた、コーヒーに合うのよ!!


「えへへへ……。デザートは別腹です」


 あーーーーーーーーん。ガブッ!

 

 豪快に噛り付くエミリア。さすがに一口は無理だ。

 おかげで口の端に茶色の汚れが付着するけど、気にもしない。


「おっきくて入らないよぉ───♪」


 とか言いつつ、3分の一近く噛み切るとモッシャモッシャと口の中でたっぷりと味わう。

 

「ん~~~~~~~~~~~~~」


 甘くて、苦くて、

「おいひーーーーーーーーーー!!」


 もう、何て言っていいのだろうか。

 苦いのに甘い。甘くて苦い───うん。わけわからん!


 だけど、おいひーーーーよぉぉぉぉおお!


「そして、すかさずコーヒー!!」


 クピクピクピッ……。


「ほぅーーー……」


 温まるしぃ、苦さと甘さが調和するぅぅぅ……。


 あ、ダメ、ダメ、ダメダメダメ!!

 ダメ──────言っちゃうぅぅう!!


 け、


「チョコレートぉぉお─────────結婚してぇぇぇぇえええ!!」


 あーーーーーー言っちゃった!!

 だぁぁあって、甘いんですものぉぉお!


 もう駄目、この甘さに溺れていたい。


 こう……。チョコレートの海があったら。ピョーンと飛び込んじゃう!

 溺れたいのよぉぉおお!


 もうーーーーーーーーーー!!


 誰ッ!? 

 誰なの?!

 こんなおいしいもの作った人ぉぉおお!!


 ああああああ、もう!!

 罪!!


 有罪!!


 作った人は、有罪です!!

 そして、主文を言い渡す!!


 判決、エミリア・ルイジアナと結婚し、チョコレート料理を毎食作ること!!


 以上──────!!


「あー……美味しかった───」

 まるまる一本のDレーションのチョコレート?バーを食べきると、

 うにゅ~~~ん、とだらしなく地面に寝っ転がり、お腹をポンポンとさする。


 デザートのチョコレートは、あっという間に消えていた。


 あとは、カップに残ったコーヒーをジュズズズ……と啜りながらゴロンと転がり海軍工兵隊の仕事を眺める。


 帝都の残った瓦礫はあらかた片付いたらしく、今は整地作業をしているようだ。

 帝都の痕跡など露とも残さず──────まるで、そういわんばかりの徹底さ。


「凄いわね……この光景───」


 あれ程威容を誇った帝都が消えていく。

 帝国の象徴が消えていく───。


 そこに何の感慨もない。

 もっとこう胸のすく思いがするのかと思ったが……。


 それよりも、なによりも、アメリカ軍のトンデモ無さのほうが圧倒的だ。


 ブルドーザーが片付けた場所をグレーダーがタンデムを組んで一斉に均していく。

 さらには、ダンプカーが何やら穴の開いた鉄板、マーストンマットとかをガチャガチャと敷き詰めていく───それをなんともなしに眺めながら、食後の余韻に浸るエミリア。


「ダメねー……。美味しいものって、人を弱くしちゃうみたい」


 もう少し、ゴロゴロしていたかったが、このところアメリカ軍に貰う糧食が美味しくって美味しくって、ちょっとお腹周りが……。


 シュウジに会いに行くんだから、ちょっとは見栄えも気にしなきゃね───。


 バサッと、風を含んだ音を立てて、黒いマント一枚でエミリアは立ち上がる。

 のんびりと散歩のつもりでゆっくりゆっくりと、整地されていく帝都を歩いていく。


 きっと本当ならここに花屋があって、服屋があって、食堂があって、酒屋や冒険者ギルドなんかもあって大勢の人でにぎわっていたのだろう。


 そして、街の向こうにはいけ好かない貴族や、軍人どもがひしめき合って─────。


 フッ……。

「でも、もう夢の跡よ───」


 うふふふふ……。


 マントのポケットからガムと取り出すと、ポイッと口に放り込む。

 さわやかな風味のガムは、食後のお口の健康にいいらしい。


 それよりもなによりも、楽し気で何となく好き───。

 ずっと、クチャクチャ噛んでいられるし、なんなれば……ほら───。


 ぷくーーーーーーー……パンッ!


 あはははははははは!


 袋魚みたい!

 たーのしい!!


 くっちゃくっちゃ、ぷくーーーーーー、とエミリアはなーーーーーーーんにもない、帝都の更地を、ブーラブラと歩いていく。


 忙しそうに動き回るアメリカ軍に気を使って、なるべく帝都の端へ端へ───。




 そして、来た──────。




 翼を休める、銀の怪鳥─────…………。


「綺麗───」




 そっと、シルバーに輝くそれ(・・)を撫で、エミリアはそうっと呟く。




 ふふッ。

「待ってなさい……」


 大森林……。

 そして、森エルフの神官───ダークエルフを喜々として殺したクソ野郎ッ!


 ロベルトは始末したわよ……。


(だったら、次は誰かしら───??)


 うふふふふふふ……。

 決まってる。もう決まっている。




 オリハルコンの剣を手に取ると、ギュンギュンと頭の上で振り回し───……!!


「次は─────────サティラ!! お前だ!! せいぜい、その首を洗って待っていろッッ!」 


 ブォン───!! と太陽に向かって一振り。




 すぐ行くさ、今すぐ行くさ───!

 飛んでいこう(・・・・・・)じゃないか、サティラぁぁぁあああ!!

これにて、ロベルト編は終了!!


次回、森エルフ編!!

エルフのクソ神官をぶっ潰すためにエミリアが準備したものとは────!!


 こうご期待!


…………………さて、

少しでも面白い、続きが早く読みたい!と思いましたら、

「ブックマーク」や「評価」をしていただけると嬉しいです!!!! おねがいします!!!


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──────ぜひともお願いしますッッ!

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