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第12話「帝国軍反撃ッ!」

「ぎゃあああああああああ!!!」

「ひぃいいいいいいいいい!!!」

「火が、火が、熱い熱い熱い!!」


「腕が、腕がああああああ!!!」


 軍団は大混乱に陥っていた。

 そして、大被害を受けている。 

 そりゃあ、そうだろう。


 上空を遷移した TBF艦上攻撃機(アヴェンジャー)は、何者にも邪魔される事無く、30数機が翼を連ねて軍団を睥睨し、最も密集し、最も効果の高いと思われる場所に差し掛かると───。


目標上空(オールメン ウィル)嚮導機の(ビィ リリースドゥ)投下を合図に(ボム ウェンシグナル)全機一斉(アボゥフ ターゲット)投下ッ(リーダーア ドロップ)!』


『『『了解ッッ(ラジャ)』』』


 グゥォォォオオオン!!

 グゥォォオオオオオン!!


 大馬力エンジンで地上を圧するように咆哮すると、ついに到達。


※ TBF-1 アベンジャー攻撃機 ※


 全  長:約12.50m

 全  幅:約16.50m

 全  高:約 4.75m

 エンジン:R-2600、1900馬力

 最高速度:約414km/h

 武  装:M2 12.7mm重機関銃×2(前方固定)

      M2 12.7mm重機関銃×1(後方旋回)

      M2 7.62mm機関銃 ×1(腹部旋回)

 外部武装:2000ポンド爆弾×1

    or 500ポンド爆弾 ×4

    or Mk.13魚雷  ×1


※        ※        ※


 そして、

 先頭機が爆弾倉をグワバッと広げたのをみて、全機一斉に爆弾倉を開く。


 その様たるや圧巻!!


コースよし(コースクリア)コースよし(コースクリア)コースよし(コースクリア)……』


 用意(スタンバァイ)用意(スタンバイ)よーい(ステェエンバァーイ)───。


『───……投下(ドロップ)ッ!!』


『『『投下(ドロップ)!! 投下(ドロップ)!!』』』


 ひゅるるるるるるるるる…………!


 投下(ドロップ)投下(ドロップ)投下(ドロップ)───!!


  ひゅるるるるるるるるる……!!

   ひゅるるるるるるるるる……!!


 大型爆弾が、空気を切り裂く不気味な悲鳴をあげると───。


 ───グゥオオオオオオオオオオオオオオン!!


 爆弾を投下し、機体がぐぐんと浮き上がった。


 そして、そのあとに、バラバラと振り落とされた大型爆弾と通常爆弾の群れッ!!


 2000ポンド爆弾1発か、500ポンド爆弾4発のいずれかがヒュルルルルルルルルルルルルル……と空気を切り裂きながら落ちていく───……。



 落ちていく。

  落ちていく……。

   落ちていく───!



 ッッ!


 ……チュドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!



「「「うわぁっぁあああああああああああ!」」」


 そして、爆撃の花が地上に咲いた。


 そして、阿鼻叫喚の地獄が生まれた……。


 それは、絨毯爆撃という、無慈悲で無差別で無茶苦茶な爆弾の暴威だ!


 ドカンドカン、ドカン!! と断続的に連続して爆発が起こり、地上に展開していた帝国軍の集中する場所で大爆発が起こる。


「「「ぎゃあああああああああああ!!」」」


 2000ポンド爆弾は容赦なく兵を焼き、爆風で騎馬を薙ぎ倒し、破片で弓兵をバラバラにした。


 500ポンド爆弾は連続して降り注ぎ、100人長を木っ端みじんにし、10人長を恐慌状態に落とし入れ、一兵士の戦意を完全に奪った。


 大被害!!

 大損害!!

 大打撃である!!


 そして、エミリアにとっては、


 大戦果!!

 大勝利!!

 大打撃である!!


 彼女は笑っているだろう。

 あははははは、と花のように笑っているだろう。


「「うぎゃあああああ!」」

「「ああああああああ!」」


 悲鳴、悲鳴、絶命!


 燃え上がる大地と吹き上がる爆炎!


 その様子をまざまざと見せつける様に、TBF艦上攻撃機(アヴェンジャー)はグルグルと爆撃上空を旋回すると、翼を連ねて帰っていった。



戦果(コンフォーム オブ)確認( バトル リザルト)───帰艦(リターン トゥ)する( ザ シップ)!! 第二撃の(フォーザ セカンド)準備を( ショット)!!』



 ギーガン達帝国軍の将軍からすれば、夜盗に突然刺されたようなもの。

 何もわからぬ、知らぬうちにこの様ッ!

 ようやく揃え、訓練し、布陣した軍団が粉みじんに吹き飛ばされたのだ。

 

 幸いにして、ギーガンたち将軍のお歴々は無事だったものの……。


「……な、な」


 二の句が継げぬとはこのことか。


「───ぐ、ぐぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬ!!! なんだ、今のは!!」


 聞かれたとて将軍連中にも答えようがない。

 少なくとも分かっていることは……。


「わ、我が軍の飛竜ではありませんな」


「そんなことは分かっている!!! くそぉ、卑劣な魔族め、もう、ゆるさんぞッ!!」


 だんだん! と地団太を踏んだギーガンは顔を真っ赤にして唸る。

 そして、剣と軍配を引っ掴むと言った。


「ええい遅い、遅すぎる!……構わんッ! 全軍反転ッ! 反転しろ! 一斉に帝都に雪崩れ込み、侵入した魔族を蹂躙するのだッ!!」


 順番とか、軍団内の混乱だとか、そんもん知るかーーーーーーーーーーーーーーー!!


「お、お待ちください! そんなことをすれば各師団、旅団内で部隊が混交してしまいます!」

「ぶ、部隊同士で衝突しますぞ! 我が軍団は密集しておりますゆえ」


 将軍連中はギーガンを押しとどめようとするも、


「ぶわぁっかもーーーーーーーーん!! 密集している部隊が今やどこにある!!」


 バーン!! と指さす先は、混乱し散り散りに逃げ回る兵士達。


 連携も連絡も、何もあったものじゃない!


「今は時間だ! 勢いだ! 兵らに混乱が生じぬうちにさっさと役割を与えてやれ! さもなくば軍団は今日をもって消滅するぞ!」


 ギーガンの言うことは正しい。


 今はパニックで右往左往しているも、その次に訪れるのはパニックからの集団恐怖だ。


 そして、それは一度軍団に広まるともう止まらない。


 全部隊が好き勝手に……。いや、兵士一人一人が勝手気ままに行動し、まるでネズミの死の行進のように、我先にと集団のようでいて、誰も統制しないただの烏合の衆と成り果てるのだ。


「は、はいいいい!!」


 将軍たちもようやくその事態に思い至り、慌てて自分たちの部隊に戻り始める。

 もはや、全滅に近い損害をうけた部隊も多数あったが、それでも辛うじて体裁を整えるくらいには生き残りもいた。


 そいつらが一斉に動き始めた。


 グルンと、巨大な生物が裏返る様に、一斉に踵を返す大軍団!!


 ゴウゴウと燃える戦友を踏みつけながらも、呻く負傷者を薙ぎ倒しながらも、味方の部隊と衝突しながらも、帝国軍は一斉に反転し、帝都に向かって進み始める。


 その様子を俯瞰していたギーガンは、(おもむろ)に軍配を取り出すと高らかに掲げた。

 すぅぅ……。


「全軍、突撃ぃぃいいいいいい!!!」


 そして、ギーガン大将軍自身も豪奢な装飾の入った大剣を抜き、巨大な軍馬を駆ると先頭に立って突撃を開始する。



 混乱醒めやらぬ軍団に、明確な目的を!!

 恐慌状態に陥る前に、攻撃を!!



「我に続けぇぇぇぇぇええ!!!」



 うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!


 数万の軍団が、一斉にして帝都に雪崩れ込み始めた。

 味方同士、肩と肩をぶつけつつ、槍の穂先で仲間の背を刺し貫きつつ、進軍する。


 帝都の家屋を、後続に押されるようになぎ倒しながら帝国軍は突き進む。


 潰し潰し、潰され潰され、突き進む!!

 だってしょうがないだろ?!


 後ろからドンドン来るし、

 横も斜めも人でギッシリ!


 前に進むしかないんだよ!!



「帝国万歳!!」



 帝国ばんざーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーいい!!!


 遮二無二突進する帝国軍。

 その流れは、まるで黒鎧の人々の大河のよう───。


 あらゆる物を飲み込み、

 あらゆる者を切り裂き、

 あらゆるモノを踏みしだく暴力の塊!!



 だが、そこにいたのは──────……。


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みてぇぇえ!



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