Ep-08 魔導飛行船
(11/10)少し表現を変え、矛盾点を修正しました。
レベルを上げたり知識を得たり、竜帝が得てきた情報を纏めていたりしていると、あっという間に1ヶ月が経ち、魔法学院に出発する日が来た。
「では、行ってまいりまーす!」
「おう、気をつけて行けよー…まあお前に敵う脅威もそんなにいなさそうだがな」
「あなた、少しは空気を読まないと…」
そんな感じの挨拶をして、俺はユカリ父母と別れた。
そして、魔法学院への道を歩き始めた…
ならいいんだけど、魔法学院にはまだまだ先だ。
ここはオークワールドの外れ、エルドルム地方だ。
アキヅキ家はエルドルムのさらに辺境を領土としているからな。
そして、魔法学院があるのはそこから2つの地方を跨いだ先…
カーラマイア地方にある。
実際カーラマイア地方には王都カーラマイアがあり、まさに冒険者の卵が集まって然るべき場所というわけだ。魔法学院と言ってはいるが、物理職も普通にストーリーでこの学院に行くんだよな...
「さて、魔法学院(笑)への便はっと…」
俺は魔導飛行船の乗り場に向かいつつ、事前にメモしておいた時間票を見て時間を確認する。魔法学院は割と有名な研究機関で、各地に研究者や学生が散らばっているので、大きな都であればどこの地方でも便が出ている。
「あ、30分後か…」
余談だが単位は前世と同じらしい。
まあ設定の都合上同じにしないと不便だからっていう制作会社の理由だと思うが...
一応出発前にもチケットさえあれば入れるので、中に入って休むことにしよう。
魔導飛行船は30人乗りで、客室が存在する。
俺は客室に泊まれるが、金のない人は共同部屋だ。
まあ共同部屋だからって襲われたりとかはしないんだけどさ…
魔導飛行船を空賊が襲うイベントが起こらない限りはな。
「さってと…すいません、アルマージ魔法学院行きの飛行船は何番ホームですか?」
「えっと、魔法学院に行かれる方は...7番ホームです」
受付の役人風の男に飛行船の乗り場を確認して、
荷物検査場に向かう。ゲーム時代は荷物検査場は意味をなしていなかったが、
飛行船内では一部のアイテムは使用不可能だったので意味がなくても理由付けにはなっていたのだ。
まあ、インベントリやアイテムボックスと言ったこの世界の一部の人しか使えない魔法を使える俺にとってはあんまり意味ないが。
荷物検査を抜けて7番ホームに向かい、受付の前に来る。
「すいません、アルマー...」
「ハイハイ、アルマージ行きの方ですね?こちらへどうぞ、身分証とチケットをください、はい。確認しました。...行っていいですよ?」
「あっ...はい...」
慣れているのか、話しかけた瞬間矢継ぎ早にペースを奪われ気づけば手続きは終わっていた。早い...!
◇◆◇
『アルマージ魔法学院行き魔導飛行船、出発します』
「お、そろそろか」
俺は共同スペースである部屋のリビングでゆったりとしていたが、出発のアナウンスで緊張を取り戻した。わざわざ個室にしたのに、鍵の受け取り忘れなど損でしかない。
「すいませーん」
「はい、鍵の受け取りですね?半券をお見せください」
「これです」
「013号室です。」
どうやら相部屋ではないらしい。
シーズン外だから客少ないのかな?
「1人きりの船旅...全然嬉しくねえ」
一応乗務員やら船長やらいっぱいいるけど、部屋には俺1人...
まあいいや、客室に行こう...
俺はゲーム時代とあんまり変わらない廊下を歩き、階段を2つ登った。
そして、客室階の端っこにある自分の部屋の前まで来た。
「ここか...鍵は挿せばいいんだっけか」
鍵は薄い板のようなもので、
扉の横に挿せば鍵が開く。いわゆるカードキーという奴である。
俺は扉を開き、その先へと進んだ。
「やっぱ...いいな。こういう部屋は」
客室は質素で狭かったが、いつだったか乗ったフェリーの客室みたいで心地いい。
俺はしばらく客室で休むことにした。
◇◆◇
[昼食の提供を開始します。鍵を持参して食堂においでください]
というアナウンスが流れ、俺は目覚めた。
いつの間にか部屋に備え付けられたソファで寝てしまっていたようだ。
俺は立ち上がり、食堂へ向かう準備を始めた。
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