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【300万PV突破】不人気職の俺が貴族令嬢に転生して異世界で無双する話 ~武器使いの異世界冒険譚~  作者: 黴男
第一章 王都決戦編

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Ep-525 ベテリア攻城戦-終盤

明日は予約投稿です。

「来たか」


アラドは剣を地面から引き抜く。

来ると察していたからこそ、アラドがここにいるのだが。


「――――ウォールダイバー」


城内に突入し、弓兵を守るための兵が手薄になったタイミングで、ウォールダイバー数十体が転移してくるのが見えた。


「....やはり、指揮官は人間ではないか」


アラドは呟く。

指揮官が人間なら、タウ=ノイア二体とアラドがいる場所にウォールダイバーを投入するなどという愚行は犯さないだろう。


「撤退を指示しろ!」

「て、撤退! あちらの岩まで下がれ!」


部隊長の声が響き、二体のタウ=ノイアに護衛されつつ弓兵隊が退避していく。

それと合わせて、アラドの全身から魔力が膨れ上がる。


「...............」


アラドはすっと息を吐く。

この錬金生命体にも自我はあるのだろうか。

だとしたら、自分と同じく運命を選べなかったものなのだろう。

そうアラドは考えていた。

しかし――――――


「フュンフ・シュヴェーアト!」


アラドの剣が魔力を帯びて眩く発光する。


「――――ならば、手加減は必要ないだろうな」


運命を選べず、死の運命にあったのはアラドも同じ。

…..あの時、ダインスレイヴを手にしなければ。

………あの時、ユカリがアラドに情けをかけなければ。

アラドはここに、居なかったのだから。


「俺が救う!」


アラドは剣を構え、一歩一歩足を進める。

その歩みは走りに変わり、ウォールダイバーとアラドの距離は確実に縮まっていく。


「行くぞ!」


アラドは跳躍し、ウォールダイバーの群れに斬り込んだ。







「...なるほど、これがこの城のボスなんだね」

「ああ、油断できないな」


城内で、アヴァロンとタツミは向かい合っていた。

強大なる敵と。

「それ」は一見人間のように見える。

遠目で見ればの話だが。

その頭部は醜悪に膨れ上がり、それを支えるための首も不気味なほどに太い。

胴体とバランスの合わない頭には、複数の目がバラバラに接合されている。


「怖いかい?」

「私を誰だと思っている?」


呪王の仮面がなくとも、タツミは恐れなかっただろう。

人を斬ることも、人に似たものを斬ることも、もとよりタツミは躊躇わないつもりでいるからだ。


「じゃあ、行こうか」

「ああ」


アヴァロンとタツミは、同時に飛び出した。

直後、敵の背から無数の触手が飛び出した。


「よーし、タツミ! 敵の呼称は「テンタクルヘッド」だ!」

「それ、センスないぞ!」

「合点承知!」


アヴァロンは翼を広げ、飛翔しつつ触手から逃げる。

触手は地上のタツミを狙おうとするが、その前にアヴァロンが咆える。


「――――〈狂戦士の咆哮(バーサーカー・ロア)〉!」


音の衝撃波が広がり、触手の群れがビクンと震える。

そして、届かないはずのアヴァロンを追おうとする。


「上等」


タツミは風を纏って加速する。

そして、テンタクルヘッドに肉薄し――――


「ふっ!」


至近距離からの一撃を叩きこむ。

しかし、その一太刀は膨れ上がった腕に阻まれて止まる。

直後、その腕から触手が飛び出す。


「うっ!」


タツミは引こうとするが、思い留まる。


「長引かせはしない」

「それがいいね」


アヴァロンがパチンと指を鳴らすと、アヴァロンに向かっていた触手が先端から凍結していく。

そして、ほぼ全ての触手が砕け散った。


「アヴァロンだけで良いと思うんだけど?」

「過大評価だよ」


それに――――とアヴァロンは続け、剣を振り下ろす格好で降下する。

その斬撃を、テンタクルヘッドは左手で受け止めた。

アヴァロンの身体に触手が巻き付いていく。


「ふん!」


アヴァロンは触手を引きちぎり、テンタクルヘッドにぶちかましを食らわせる。

テンタクルヘッドは吹っ飛んでいき、城の壁に激突した。


「やっぱり、アヴァロンだけでいいと思うぞ」

「いや.....僕が言いたいのはね、僕らの斬撃程度じゃ、奴には痛痒にも感じられてないってことだよ」


テンタクルヘッドは触手を再生し、起き上がった。

アヴァロンの言う通り、タツミの斬撃とアヴァロンの全体重を掛けたぶちかましを食らってなお、その身体に目立った損傷はない。


「物理耐性が高いんだろうな」

「そうだね――――つまり、君の天敵だ」

「ああ」


タツミは否定しない。

魔力を使えないタツミは、テンタクルヘッドにダメージを与える手段を持たない。


「つまり、アヴァロンだけでいいってことだな」

「そうなるね」


アヴァロンは苦笑し、魔法陣を描く。


「――――〈六結(ゼクス・)氷魔弾(アイス・クーゲル)〉」


飛び出したのは、無数の氷弾。

それらはテンタクルヘッドを襲い、その身体を凍結させていく。


「おお......」

「まだだっ!」


アヴァロンは飛び出し、指から爪を飛び出させる。


「魔竜爪!」

「あっ!」


アヴァロンの魔竜爪が氷ごとテンタクルヘッドを砕く前に、テンタクルヘッドは氷を割って逃げた。

そして、触手を操って屋根の上まで跳躍する。


「何を.....」


アヴァロンたちの前で、テンタクルヘッドはそのまま逃げ出した。


「え.......」

「逃がさない!」


アヴァロンは竜化して後を追う。

タツミは一人、その場に残された。


「初めて、だわ.....」


仮面を外して、タツミは呟く。

敵に逃げられたのは、初めてのことだった。




数分後、疲れた様子でアヴァロンが戻ってきた。


「仕留められたかしら?」

「ダメだね、谷に逃げ込まれた。生物の気配は感じなかったから、僕をかく乱するために逃げ込んだんだろう」

「.......」

「なんだいその目は」

「いえ、竜王様もたいしたことないのね、と思って」

「悪かったね」


こうして、ベテリア攻城戦は終わった。

ベテリア城は王国軍が接収し、前の都市イクシアからベテリアまでの範囲に王国軍が駐屯するようになった。

だが、戦いは終わりではない。

三人は異変を止めに行くのだ、全ての元凶であるライザスの首都――――ラサイアへと。






























「それで、逃げ帰ってきたのか?」

「...............」

「まあ良い、お前のおかげで敵の弱点は理解した――――あとは、お前をより強く改良してやろう」

「.............!」

「次は勝て」

「.............」

「言葉を喋れないのは不便だな、そこも何とかしてやろう」

「...................」

「今は休め」


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