Ep-32 タツミの異変
複数話に分けるので1話ごとの文字数が減少します
学院の廊下を歩く人影がいた。その人物の名はタツミ・フウカ。
小走りで移動する彼女は、日曜日だと言うのにどこか急いでいるようなものを感じさせる。
「早く…早くしないと…ユカリちゃんにあげるお花が枯れちゃうわ!」
そう、彼女は可愛い後輩にあげるべく育てていた花の水やりに来ていたのだ。
学院寮に持ち帰るのを忘れるどころか、昨日の水やりさえ忘れていたので慌ててはしっているところなのだ。
しかし、彼女はとある部屋の前で突如立ち止まった。
「誰…?」
その部屋は、どこか別の部屋とは違う雰囲気を漂わせる部屋だった。
ドアは半開きになっており、そこから瘴気が床を這うように流れ出している。
「誰かが実験に失敗したのかしら?」
タツミは扉を開けて、中に入った。
そして、数分が経過した後に…
小さな悲鳴と共に扉が突然ばたんと閉じた。
それから数時間後、扉が開き、タツミが姿を表した。そして、何事もなかったかのように、寮に向かって歩き出した。
◇◆◇
「タツミ先輩が私に用事?」
俺は先輩からタツミが俺を呼んでいるという話を聞いた。
なんの用事だろうか…?
先輩に呼ばれちゃ仕方ないので、指定された場所へ向かう。
するとそこには、いつもより幾分か疲れた様子の先輩が立っていた。
「…タツミ先輩?」
「あっ、ユカリちゃん」
「お疲れのようですが?」
「これは…ううん、何でもないの」
近づいてみると、タツミの顔は汗だくだった。
病気だろうか?
そういえば、用事とは何だったんだろうか。
俺はそれを思い出して先輩に問う。
「タツミ先輩、私にご用事ですか?」
「実はね…うっ!」
「大丈夫ですか!?」
用事を尋ねた瞬間タツミはハッとした顔になり、真面目な顔で俺に何かを打ち明けようとして…頭を抑えて頽れた。
慌てて俺が駆け寄るが、タツミは俺を突き放して
「ううん、何でもない。大丈夫だから行っていいわよ」
と言った。
それでも納得は出来なかったが、タツミが大丈夫と言うならそうなんだろうな…
と思ってその時は普通に別れた。
まさかこれが、学院全体を巻き込む大事件に発展することになるとは、俺もこの時は理解していなかった。
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