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オリジナルマジカルス 序章   作者: たchuやくぅ~
3/3

第2話 夢の記憶と失われた8ヶ月 

久々のオリジナルマジカルス序章更新です。

このお話しは全お話しの中でもかなり重要な回であり

のちの伏線が凄いある部分でもあります。


こちらもpixivに近日中に文章の微妙に違うバージョンを投稿予定ですのでお楽しみに(^^♪


 俺の名前は竜也。名字の無い種族で妹の璃瑠(りる)、姉の美縷(みる)、そして竜人族の父親と…生い立ちについてはあまり話してくれなかった母親と5人で暮らしていた・・・。

 ・・・ってこの辺はこの前も頭の中で思い浮かべていた気がするし、今日は別な事に思いを馳せる事にしよう。

 俺の住んでいた通称魔法星とでもいうべきあの惑星にある魔法学校システムは地球とはだいぶ違って義務教育がないんだ。

 そして地球では小学校、中学校、高校、大学といった感じの場所しかないようだが、私の住んでいた星では学校といえば小学校、中学校、大学校、巨大学校、属性専門学校など特定の分野の魔法に特化した学校が存在していた。

 我々の学校は地球の学校とシステムが全く異なり、地球の文化に当てはめて言うなら魔法学校とは、いわゆる検定会場に近い。

 自身の持つ魔力や使いこなせる魔法の種類などを誰でもわかりやすいよう数値化・言語化して見えるようにする・・・言うなればその程度の役割しか持っていないのだ。

 だから学校は義務教育ではないし、通わせずに独学で勉強したりする者達も少なくはない。

 そんな中、俺達家族は魔法学校に通うことに親の勧めでなっていた。

 魔法学校を卒業するには小・中・大で合わせて100の単位ともゆうべき能力試験に合格すると晴れて卒業となる。

 また、魔法学校にはいわゆる飛び級制度があり、特定の単位をとったり、既定の魔法をしっかりと使いこなせるようになったりすると年齢に関係なくその学年をすぐに卒業できる。

 だから魔法学校に通う者達は年齢は皆バラバラでそれが当たり前だからそれに対して変だと思う人は少ないが…どの魔法が何歳ぐらいまでに覚えられるのが一般的なのかといった基準の様なものは存在しているため、入学時の年齢にも寄るだろうがずば抜けて早いスピードで本来覚えるはずの年齢よりもかなり速いスピードで魔法を覚えられた者は多くの者達から高評価を得ることとなる。

 そして・・・俺たち3兄妹もそんな優等生というか、飛び級でバンバン早く単位となる魔法を収め卒業できた組であった。

 入学したタイミングは3人ともほぼ同じぐらいだったのだが…一番最初に卒業できたのが俺だった。

 本来12歳~14歳になってから覚える魔法を8歳のうちにマスターし、遅い人だと10年近くかかる魔法学校の卒業をわずか数年で終えて11歳で卒業を果たしていた。

 そして姉も竜也と同等かそれ以上の速さで魔法をマスターしていき、竜也が卒業してからほんの数日後に姉も魔法学校を卒業していた。

 だが妹の璃瑠は俺や美縷程の速さで卒業は出来なかった。それでも、一般人たちと比べればズバ抜けて早いスピードで卒業をしていたのだが・・・リルが卒業したのは俺が卒業をしてから既に8か月も経過してからとなってしまっていた・・・。

 そんな出来事があってからというもの、俺や美縷に対して何か情けないと感じる部分でもあったのか、それ以来、学校に通う前まではずっと仲良しだった妹といつの間にか溝が出来てしまい、顔を合わせては口げんかになるような日々がこの日から始まってしまった。

 特に家族に卒業スピードの事を責められたりしたわけでも、俺や美縷が何か言ったわけでもなかったのだが・・・むしろそれが璃瑠にとってはプライドを傷つけてしまっていたのかもしれない。

 そんな風に今はなんとなく感じていたりもしている。


 本当はまた、魔法学校に通う前みたいに妹から沢山甘えられたり笑い合ったりしてみたい。

 当時はそんなことをずっと考えていて、色々と空回りもしていた。

 妹は姉とは私ほど仲はこじれてなかったから、姉に頼んで自分の事をどう思っているのか聞いた事もあった。

 姉曰く璃瑠は俺の事は嫌いになった訳ではないようなのだが・・・なんというか、いつも同じ目線でいられていると思っていたお兄ちゃんが全然遠くの存在だったことにショックを覚えていたというか・・・嫌いなのはむしろ兄に全然追い付けていない自分自身というか・・・姉から聞かされた話を俺なりに解釈して要約すると,そんな風に感じていた。

 少なくともこの話を聞いて俺は、いつかまたあの頃のように仲良くなれる日が再び来るのかもしれないと思っていたが・・・あの話を聞く限りだと私の方から妹のレベルに合わせるその行為こそが、璃瑠の心を余計に傷つけてしまっている・・・そんなような気がしてきて、それ以来、会話自体も私の方からいつしか避けるようになってしまっていた・・・・・・。

 とはいえ、なんだかんだ言っても家族だし、互いにそこまで嫌い合っているわけでもないから、家族関係にひびが入ったりギスギスする感じは別にない。

 家族みんなが揃っている時は普通に会話もできてはいる。それでも、妹の俺に対する態度はやはりどこかよそよそしいというか、申し訳なさそうな部分が垣間見え、無意識のうちなのか、意識してなのかはわからないが璃瑠は私よりも優れている点を意地でも見つけ出し、マウントみたいな態度を最近はよく取ってくるのだ。


璃瑠「んもぅ、お兄ちゃん!な~にまた布団被って物思いに耽ってるのよ!全く・・・帰って来たばかりで疲れてるのはわかるけど、今日は家族水入らずでピクニックに行く日なんだからね!お兄ちゃんのせいで遅れたりしたら許さないから!」

竜也「・・・すまん、今起きる。」

 まぁ、とにかく妹は最近いつもこんな感じってわけだ。


 実は俺は、なぜか最近の記憶があやふやである。昨日の事を頑張って思い出そうとすると、何か月も前の事を思い出してしまうんだ。

 そう・・・まるで、記憶の一部が抜け落ちてしまったかのように・・・。

母親「竜也、体はもう大丈夫なのかい?」

竜也「あぁ・・・。特にどこも痛くはないし大丈夫だよ・・・。」

父親「記憶の方はどうだ・・・?」

竜也「そっちの方は全然だな・・・相変わらずここ数か月の記憶が全く持ってない・・・。」

璃瑠「お兄ちゃん・・・・・・」

美縷「それにしても・・・3日間も何の音沙汰もなく突然いなくなったと思ったら急に家に帰ってきて、最近の記憶失いましたって・・・本当に何があったのよ…もぅ・・・。」

竜也「俺が聞きてぇよ。目が醒めたら知らない森の中だったんだ・・・。

 その上、何があったか思い出そうとすると数か月以上前の事しか思い出せんと来た。

 ありがたい事に体に傷や痛みはなく、なんとか適当に色んな所をふらついている内に見覚えのある場所に戻ってこれたから その数時間後には無事に家に戻ってはこれたんだが・・・。

 皆に3日間も丸々家にいなかったって聞かされた時は驚いたよ・・・。」


 ・・・そう、本当に俺は記憶が全くない。8か月近くもの記憶を失ってしまっていたんだ。

 いつどこで何をしてあの良く知らない森に一人で辿り着いたのか…さっぱり覚えていないのだ。

 わかっているのは、家に帰って来てから教えられた、3日も戻ってきていなかったという事実のみ。

 いや、もう1つだけある。何なのかはわからないが俺は・・・あの森の中で意識を取り戻してからというもの、自分の中にもう一人の意識が入ってきている様な・・・別の人格が現れようとしている様な・・・そんな不思議な感覚が付きまとうようになったんだ。

 最初は気を失っている間に見た夢か何かの影響かと思っていたのだが・・・目が醒めて意識がはっきりした今も、なんというか・・・寝ている間に見たただの夢とは思えないような・・・失った記憶に相当する8か月間なんて期間じゃないほどの膨大な別な自分の同じ竜也という名を持つ何者かの記憶が・・・まるで自分の記憶の様に思い出せるようになっていたんだ・・・。

 そしてそれと同時に俺は・・・これだけ意識がはっきりしているというのに、その原因について全く思い出せない。

 俺の失われた8か月もの間に、本当に一体何があったのか・・・・・・。

 俺は失った記憶を取り戻す事は出来るのだろうか・・・・・・。

 

 そんな不安を抱きながらもあの知らない森を飛び出して歩きだしたのが5日前。

 そしてそのまましばらくすると見覚えのある場所を見かけだし・・・

 漸くの思いで俺は家に戻ると、家族から大泣きして出迎えられたって訳だ・・・。

 俺を嫌っているはずの妹が、何故か一番泣いていたけどな・・・(笑)

 んで、2日程休養し今日は家族5人久々に揃った記念に母の発案でピクニックに行くこととなった。

 思い出の場所を回ることで、少しでも俺の記憶が戻ることを願って・・・・・・。

 

美縷「竜也、大丈夫?なんかさっきからずっと右手を眺めてるみたいだけど・・・痛むのかい?」

竜也「いや‥痛いとかそう言うのじゃないんだけどさ・・・。実は・・・1つ思い出したことがあって…」

璃瑠「えっ!?何を思い出したの?」

竜也「あの森の中で目が醒める直前に見たものの記憶さ。失った記憶を思い出したというよりは・・・起きる直前に見ていた夢の内容って言った方が正しいのかもしれないけど・・・ただの夢とは思えない程なんかはっきり記憶に残ってるんだよ・・・。」

父親「う~む・・・。まぁ確かに夢である可能性もあるが・・・思い出した記憶なら何かの断片である可能性もあるし一応俺達にも聞かせてくれないか?」

竜也「うん、そうだね・・・。俺が覚えているのは・・・」



《オリジナル竜也の回想》

竜也『(あれ・・・?なんだこの真っ白な空間は・・・?

 ウっ…!なんだ・・・?体が・・・動かない・・・?

 こ・・・声も出せない・・・!なんだ・・・一体何が起きてるんだ・・・)』

 オリジナル竜也は目を開けると濃霧に包まれているかのような辺り全てが真っ白な不思議な空間にいる事に気が付いた。

 うつぶせで倒れた状態になっているようだ。動かせるのは今の所、両目だけ・・・。

 身体を動かそうとするとなぜかいつもより全身重く感じて自由に動かせない。特にお尻付近が異様に重い。

 まるで自分が自分じゃないような・・・そんな不思議な感覚だ。

 状況から察するに、何らかの事件に巻き込まれたのだろうか…?

 それにしても・・・なぜいつもと同じ感覚で体を動かそうとすると動かせないんだ・・・?

 痛くて動かせられないのではない。痛みは全くない。ただ・・・いつもと感覚が異常なまでに違う。

 重い。とにかく重い。だが、全身に鉄アレイをくくりつけられたような感覚というよりは・・・

 自分自身の体重が何らかの影響でいつもより重くなっている様な・・・体の内側に

 重金属でも埋め込められたかのような・・・はたまた重力の違う惑星に放り出されたかのような・・・

 とにかく、そんな感じの不思議な感覚が全身に走っていて、思うように体が動かせないようだった。


竜也『(くそっ・・・どういう状況なんだ・・・?何が起きたって言うんだよこれ・・・!

 何か…手掛かりになる様なものはないのか・・・?ここがどこで、何が起きたのか・・・?)』

 

 オリジナル竜也はそんなことを考えながら動かない体を懸命に動かそうとした。だが、態勢を変えられない。

 感覚から察するにどうやら、うつぶせのまま右手を軽く伸ばした状態で全身が硬直したようになっているようだ。


竜也『(やべぇ・・・全然状況が掴めねぇ・・・。

 その上・・・なんだかいつもよりも視野が広く感じる・・・俺、こんなに周辺視野広かったっけ・・・?

 ていうか・・・さっきから目線の先に見えているこれは・・・俺の右手・・・なのか・・・?

 酷い火傷をしたかのように腫れあがったような・・・いや違うな。

 まるで・・・そう、これはまるで、竜人族特有の鱗状の手の様な・・・

 いや、それともちょっと違うな・・・。なんというか・・・見た事もない、この世のものとは思えない・・・

 それこそ、化け物なんて言葉が正しいとさえ思えるような…明らかに人間の手よりも大きく、禍々しくも美しい神秘的な野生の未確認生物の様な・・・

 鳥類の足とドラゴンの鱗と人間の手と熊の毛皮が合わさったかのような…そんな右手?なのかすらわからないものが右側にうっすら見えている・・・。

 だが動かせないからこれが俺の右手なのかはたまた違う何かなのか・・・全く持って分からない。意味不明すぎる。

 というかこの右手?のような不思議な何か・・・よくよく見ると指っぽい細い部分が6本ある・・・・・・

 人差し指と親指の間に当たるような場所からも何やら鳥の足のような細い指的な何かが見える。

 明らかに人間の手ではないな。ってことは俺の右手である可能性は低そうだ・・・。

 なら俺の右手はどこだ?なぜ、右腕を挙げた状態でうつぶせで寝ている時と同じような感覚があるんだ?

 くっ…動け!目以外のどこか・・・動いてくれよ・・・!くそっ・・・・・・)』


 オリジナル竜也がそう思いながらこの状況からなんとか脱しようともがいていたその時だった。


【きらぁぁぁ~ん!ほわぁぁぁぁ・・・・・・】

竜也『(うっ・・・なんだ・・・?まぶしい・・・!)』

突然目の前に大きな暖かい光の玉のようなものが3つオリジナル竜也の元に空から降ってきた。

その3つの光の玉たちはオリジナル竜也を囲むように近付いてくると、何とも神々しいような不思議な音色が聞こえてきた。

そしてまぶしさが収まると目線の先には、ウエディングドレスと天女の羽衣を合わせたかのような半透明で美しいローブのような何かを羽織った女性と思われる何者かが3人いた。


竜也『(だ・・・だれだ・・・?)』

 顔を確認したいがうつぶせで寝そべった状態のため、3人とも上半身がほとんど見えない。

 首を動かしたくても動かせず視線もこれ以上、上には変えられない。

 横の視野は増えているような感覚があるが、縦の視野はいつもと同じ感覚だ。

 何者かはわからないが今の状況を逃したらこの状況を把握するチャンスを逃してしまう・・・

 そう直感したオリジナル竜也はなんとか声を出して動こうとした。だが・・・

竜也『(くそっ・・・!動けっ!動けよ俺の体・・・!何でいうこと利かないんだ・・・!

 痛みがある訳でもないのに・・・!普通事故とか事件に巻き込まれて体が動かない時は傷みとかが原因だろ!

 痛くも痒くもねーのに動かせないとか訳が分からないよ・・・!くそっ!

 誰かが俺に自由を封じる魔法でも掛けているのか・・・?あ、そうだ魔法!

 こんな状態でも魔法の1つや2つぐらいならきっと使えるはず・・・!)』


 オリジナル竜也はそう思い立ち魔法の使用を試みた。だが、それも失敗に終わった。


竜也『(くっ…なんだ・・・?体内の魔力の流れがいつもの感覚と違って上手く魔法が発動できない・・・!

 やはり何者かが俺に魔法の使用を含めた動きを封じる魔法でも掛けているのか・・・?

 くそっ…直前の記憶もない上にこの状況・・・どうすればいいんだ・・・!

 でも・・・目の前に誰かがいるこのチャンスを逃したら俺は・・・マジでまずい・・・!

 なんとしてでもこの目の前の者達とコンタクトを取らないと・・・!)』


 オリジナル竜也はそんなことを考えながら必死に魔法や体を動かして意思表示をしようとした。

 だが、やはり体は一切言う事は聞かなかった。そしてオリジナル竜也はそんな状況に絶望しかかったその時だった。


???? ???『人工的に作られた魔法とはいえ、私の掛けた常時発動の第7次元魔法にすら影響を及ぼすとは・・・。

 おかげでこの空間内では発動しなくなっちゃった様ね・・・』

????? ?????『あいつら・・・一体何が目的なのかしら・・・?』

????? ???『というか彼・・・この状態のままでいいの?ずっと気を失っているけど・・・』

竜也『(なんだ・・・?何の話をしてるんだ・・・?)』

????? ?????『怪我はないみたいだけど…無理矢理特定の記憶にアクセスできなくなる魔法を掛けられたみたいね。

 しかもまだ未完成の魔法だったせいで、副作用として掛けられた直後の記憶だけじゃなく半年近くもの記憶もアクセスできなくなっているみたいね。

 あと、言うまでもないけどこの魔法は私の系統から派生した魔法じゃないから、私の力を持ってしても解除は不可能だわ。』

せいぎ(●●●)の女神 ???『そんな…魔法の女神であり全ての魔法の生みの親とも言われているマジカルスでさえ解除不能な魔法って…

 まぁ、高等な常時発動の魔法にすら影響及ぼすほどだから第7次元と同等かそれ以上の魔法であるのはわかっていたけど・・・

 この子の記憶・・・戻せるのかしら・・・?少なくとも私には無理よ。ただのせいぎ(●●●)の女神に何が出来るって言うのよ・・・。』

魔法の女神マジカルス『そうね・・・。で、私が手をこまねいているのと同じ様に打つ手なしって顔してるってことは・・・

 タルトの力で時間を巻き戻したりしても根本的解決にはならないって事なのかしら・・・?』

時の女神タルト『えぇ・・・そうね。見つけたのがもう少し早かったのなら間に合ったかもしれないのだけど…

 あいにく20分以上経っているからね…時間を20分戻して私達が介入し事件との遭遇を回避しても、そうならないパラレルが新たに生まれるだけで元の時間軸の彼は事件に巻き込まれ記憶を失うわ・・・。』

魔法の女神マジカルス『そう・・・。例の世界の(ことわり)…元に戻ろうとする力って奴ね・・・。』

時の女神タルト『私達…とんでもないものを相手にしようとしているのかもしれないわね・・・』

せいぎ(●●●)の女神 ???『いまさら何を言ってるんですか!やると決めたからには、とことんやりましょうよ。

 私達も一応、神様なんですから!』

魔法の女神マジカルス『たとえ神様でも、できないことだってあるのよ。それはあなたが一番わかっているんじゃない?ペティ。』

せいぎ(●●●)の女神ペティ『それは…わかってますけど・・・・・・。』

時の女神タルト『今回起きた8次元の神同士の諍い…その裏で糸を引いていると思われるあの者はなんなのか・・・

 少なくとも同じ8次元かそれ以上の者であることは確かね。』

せいぎ(●●●)の女神ペティ『8次元越えっていったら…もう宇宙規模で物事を自在に操れる者達でしょう?

 もしかしたら・・・私達に見つかった事含めて、あの者達のわざと行った単なる気まぐれなのかも・・・。』

魔法の女神マジカルス『たとえそうだとしても、私達は私達にできることをするまでよ。

 自分たちの得意とするモノを最大限互いに活かし合ってね。』

時の女神タルト『えぇ。そして彼に・・・いづれ私達をも凌駕する最強の存在になって貰って、8次元の神々の諍いの仲裁をしてもらいましょう・・・。』

マジカルス・ペティ『えぇ!』


竜也『(・・・なんだ・・・?女神・・・?この人たちが・・・?8次元がどうとか・・・さっきからこいつらは何の話をしてるんだ…?)』


時の女神タルト『あと、言い忘れていたけど、彼、意識あるみたいよ。』

せいぎ(●●●)の女神ペティ『えっ!そうだったんですか?いつからです・・・?』

魔法の女神マジカルス『私達が会話を始めるちょっと前あたりね。体内の魔力の流れが覚醒時と昏睡時では微妙に違うから・・・』

せいぎ(●●●)の女神ペティ『って、マジカルスも気付いてたのね。教えてよ・・・。というかそれって…今の私たちの会話聞いてたって事?』

時の女神タルト『聞いていたでしょうねぇ。まぁ、聞かれたところで今の彼には理解できないだろうし、そもそも私たちの力で夢を通してここに介入しているだけだから、起きるのと同時に殆どの事は忘れられてしまうでしょうけど。』

せいぎ(●●●)の女神ペティ『そっかぁ・・・。』

時の女神タルト『それに・・・まだ今は全てを語る時じゃないからね。思わぬ邪魔は入ったけど、ここから修正して私達が作り上げた道を今度こそ外れることなく辿ってもらい、私達の成し得なかったことを成すだけの力を身につけてもらわないと・・・!』

魔法の女神マジカルス『そうですね。・・・辛い思いをさせることにもなるけど・・・』

せいぎ(●●●)の女神ペティ『彼の夢を叶え最強の力を与えるためとはいえ、この先に起きることを知っている私達としては・・・心が痛みますね・・・。』

時の女神タルト『でもきっと彼なら・・・いいえ、きっと彼等なら・・・私たちの期待に応えてくれるはずだわ。』

魔法の女神マジカルス『・・・そうですね。今はそう信じて、彼を、彼らを全力で支えましょう・・・。』


 そんな会話をした後、3人の女神達は魔法を使ったのか突然オリジナル竜也の体を浮かせ始めだした。

竜也『(うおぉぉっ!なんだ!?体が…浮いた・・・!?ほわっ♥)』

 するとその直後、3人の女神達は竜也を3人で囲むように抱きしめた。竜也は煌びやかな女体に包まれ自分の体がどうなっているか目線を移して確認する暇もなく3人に体を覆われて体を見ようとしてもキラキラした羽衣の様なものしか目線に入らなくなった。

 その直後、3人は竜也を優しく包み込むように抱擁をしながらこんな事を言い出した。


時の女神タルト『大丈夫、私達がずっとついているから・・・どうかこれから先、何があっても…くじけないで。』

魔法の女神マジカルス『大丈夫・・・あなたなら大丈夫よ・・・!』

せいぎ(●●●)の女神ペティ『今は姿が見えなくても、私の半身はずっとあなたと共にいるからね♥竜也・・・♥』

 そう言うと、せいぎ(●●●)の女神ペティはオリジナル竜也のおでこ辺りにそっと口づけをした。


竜也『(あぁ・・・♥なんだ・・・凄く・・・心地が良い・・・!)』

 オリジナル竜也は全身を駆け巡る暖かい快感に思わずそっと目を閉じた・・・。







竜也「う~ん・・・・・・ハッ!?」

 オリジナル竜也は突然仰向けの状態で目を覚ますと同時にフッと体を起こして辺りを見渡した。

竜也「えっ・・・?こ・・・ここどこ・・・?え、どういうこと・・・?何これ、夢・・・?」

 オリジナル竜也はフッと自分の右手を見た。そこには、いつも通りの、人間の、5本指の、紛れもない自分の手があった。

 自分の意志でしっかりと動かせる右手だ。でもなぜだか、ぼんやりと右手に違和感というか・・・

 いつもとは違った変な右手の感覚がある様な・・・そんな不思議な感覚もした。

 例えるならば自分であって自分ではない、言うなればもう一人の自分の様な・・・とても不思議な感覚だ。

 そんな訳のわからぬ状況にオリジナル竜也は夢かと思いほっぺを右手でつねった。

竜也「痛ててて!あぁ、これ夢じゃないわ・・・。え、だとしたら何この状況・・・

 なんで俺こんな所にいるんだ・・・?ここどこよ・・・。」

 そう言いながらオリジナル竜也は立ち上がり、再度辺りを見渡した。

 ある程度人工的に道は塗装されているもののかなり辺り一面、樹が生い茂っている。

 森といっても過言ではないレベルの木々たちだ。その直後、地面に目線を移すと自分の足跡と思われる靴跡が続いているのを見つけた。

竜也「うん・・・?これ俺の靴跡か・・・?自分でここまで来たのか・・・?」

 足跡をよく見ると、酔っぱらっているかのように真っ直ぐな足跡ではなく、かなりぐらついた状態で後ろの方に続いていた。

竜也「・・・見た感じ誰かに連れられてここに来たというよりは意識混濁しながらもここまで歩いてきて倒れたって感じかな。

 にしてもマジで俺何があってそんな状態になったんだろう・・・」

 懸命に何があったのか思い出そうとするがいまいち思い出せない。自分の中にある一番最近起きた事を思い出そうとすると・・・

 なんだか靄がかかった感じがして上手く思い出せない。くっきりと思い出せるのは魔法学校卒業した直後の辺りの出来事のみ。 

竜也「あ、そういや今何月何日の何時だ・・・?」

 オリジナル竜也は 右手に着けてあるデジタル時計を見た。そしてボタンを操作して表示を時間表示から日付表示に変更した。すると…

竜也「はぁっ!?えっ・・・?ちょ・・・ちょっと待って・・・11月!?ちょ・・・ちょっと待て・・・

 さっき俺が思い出した昨日と思い込んでた記憶って…3月・・・上旬だった気がするんだけど・・・え、どゆこと?

 俺の勘違い?それともなんだ、あれか・・・?記憶喪失ってやつか?部分的な・・・・・・」

 オリジナル竜也は再び改めて右手の人差し指の爪側の第1関節の第2関節の間辺りを口元に当てながら周りをもう1度見回した。

 そして小さくため息をついた後、こう呟いた。

竜也「とりあえずこんな訳の分からない場所にずっといる訳にもいかないよな・・・。

 食料も水もないんじゃいづれ魔法使いといえど死んじまう。とりあえず・・・足元見る限りだと

 こっち側から俺ここに来たっぽいし・・・引き返してみるか・・・。」

 オリジナル竜也はそう呟くと、自分の足跡と思われる靴跡のある方へと歩いて行った。


《オリジナル竜也の回想終了》

竜也「森っぽい場所で目が醒めた瞬間は忘れてたんだけど・・・家に着いてからふっと思い出したんだよね。

 ほんの少しだけなんだけど・・・。夢から醒める直前に起きてたことを・・・」

竜也の父「どんな内容だったんだ・・・?」

竜也「靄のかかった白い空間で・・・いつもより視界が開けて見えるのに、体が動かなかったんだ。

 うつぶせで右手を伸ばして倒れ込んでいるような感覚だった。それで・・・

 なんかキラキラした女性たちが現れて・・・・・・よくわからない会話を長々とした後・・・

 急に体が浮かんだような感覚になって・・・その3人にハグされて・・・・・・

 最後になんか・・・そのうちの一人に…『私の半身はずっとあなたと共に…』みたいなセリフを言われた後に

 おでこにキスされて・・・全身がふわふわした心地よい感じに包まれて行って・・・そのまま目を閉じて次開けたら森の中だったんだ。」

璃瑠「な・・・なんだそりゃ・・・。」

美縷「3人の女性・・・ねぇ・・・。他には何か思い出してないの・・・?」

竜也「う~ん・・・そうだなぁ・・・。あ、そういえば・・・6本指の化け物の手のような何かがあったような気もする・・・」

母親「6本指の化け物の手・・・?」

竜也「ごめん、この部分の記憶に関してはマジで自分でもよくわかんなくて・・・

 最初右腕をあげたうつ伏せ状態で寝てる時のような感覚があったからてっきり自分の手かと思ったんだけど・・・

 まぁ絶対にそんなわけないしねぇ・・・(笑)そもそも記憶違いとか・・・体動かせなくて気付かなかっただけで他に近くに何者かがいたとか・・・あれも魔法の可能性もあるしなぁ・・・。

 とにかく、何となくうっすら思い出せた記憶はあるけど・・・三人の女性と6本指の化け物の手と・・・

 『私の半身はずっとあなたと共に…』的なセリフを言っておでこにキスしてきた女性がいたって記憶しかないわ・・・。」

父親「内容がそんだけぐちゃぐちゃで意味不明ってこたぁ・・・完全に夢だな。」

竜也「まぁ、普通に考えたらそうでしょうね。目覚める直前に意識が戻ってきたことで見た夢って所かな・・・?

 にしても本当に俺の身に・・・一体何があったんだかなぁ・・・?」

美縷「このピクニックで、あなたの記憶が少しでも戻ると良いわね。」

竜也「・・・そうだな。」

 オリジナル竜也はそう、右手をそっと眺めながら返事をした。

璃瑠「・・・なんか最近お兄ちゃん右手ばっかりずっとじっと見てるよね。

 前までそんな癖なんてなかったのに。」

竜也「ふっ・・・そうだな。自分でもよくわかんないんだけど・・・

 あの森で目を覚まして以来ずっと・・・本当に自分の記憶なのかよくわからないような記憶が混じっている感覚があるというか・・・

 いつも自分で動かしている右手の感覚と違った、まるで魔法学校生時代にやっていた筆記テストをやっている時の様な・・・

 ペンのような何かを持ってひたすら目の前の紙に文章を書いている様な・・・・・・

 そんな変な感覚がずっとあるんだ・・・。」

璃瑠「なにそれ?どういうこと?」

竜也「それが良くわかんねーから困ってんだよ!なんていうか・・・自分の中に自分の知らないもう一人の自分が入っている様な・・・

 そんな不思議な感覚なんだ。とはいえ、二重人格とかそういうのとはちょっと違う気がするし・・・はぁ・・・。

 マジで何なんだろうな…この口で説明しにくいこの感覚・・・。」

父親「一度退行睡眠で過去の記憶を探ってみたり、掛けられている魔法や呪いなどを調べてもらい体に異常がないか検査した方がいいかもしれないな。」

竜也「そうだな・・・。まぁ、そういうことも視野に入れておくよ。

 とりあえず今日は、ピクニック楽しもうぜ!」

父親「ふっ・・・ま、竜也がそういうならそれでいっか。お前ら、もう準備は出来てるか?」

竜也「大丈夫だ。」

璃瑠「もうとっくの前にできてるわよ!」

美縷「私も準備できてるわ。」

母親「え?私にも聞いてる?ていうかこれは私が企画したピクニックなのよ?

 提案した二日前の時点で荷物ならもう準備できてるわ。」

父親「ハハッ、相変わらず用意の早え~こと。んじゃ、俺は・・・

 念のため荷物の最終チェックさせてくれ。」

竜也「あぁ、どうぞ。」

璃瑠「まぁ別に急いでないしゆっくりでいいよ。」

美縷「そうね。・・・私も確認しとこうかしら。」

竜也「んじゃ俺も・・・」

 そう言うと竜也と美縷も荷物確認をし始めた。

竜也「・・・あ、折角だしたまに絵描くのもいいかな。ちょっと色鉛筆と筆と絵の具のセットとスケッチブック取ってくる!」

璃瑠「なら手伝うわ!」

竜也「おぅ、助かるよ。んじゃ俺はスケッチブックと色鉛筆取ってくるから。絵の具と筆の場所はわかるよね?」

璃瑠「カラーパレットセットの事でしょ。わかってるわ。」

竜也「そうか、じゃあ頼むわ。」

璃瑠「うん♥」

 そんな会話をした後、竜也は自分の部屋に行ってスケッチブックと色鉛筆を取ってきてリュックに詰めて戻ると…

 同じようなタイミングで璃瑠もリビングの奥からパレットセットを持って来て戻ってきた竜也に手渡しながらこう言った。

璃瑠「はい、お兄ちゃん。」

竜也「助かるよ、ありがとうな、璃瑠。」

璃瑠「べっ…別にお兄ちゃんのためにしたんじゃなく、準備に手間取ったらそれだけ行く時間が遅れて皆に迷惑かかると思って手伝っただけなんだからねっ!」

竜也「フッ、そうだな。お前は昔っからそういう奴だ。

 周りのために自分から率先して面倒ごとを引き受けてくれる・・・

 そんな優しい性格の、自慢の妹だよ。」

璃瑠「なっ・・・(照)んもぅ・・・なによぅいきなり・・・」

 璃瑠は恥ずかしそうに顔を赤らめて両足をもじもじさせながら照れた。

美縷「(・・・ふふふっ、よかった。なんだかんだ言ってやっぱり璃瑠は・・・

 竜也の事が大好きなのね♥3日間も戻らなかった時・・・もしもの事があったら

 どうしようって泣いてたぐらいだからね…私の口からこのことを竜也にばらしたら

 璃瑠に半殺しにされちゃいそうだけど!)ふふふふふふふふ・・・!」

竜也「ん・・・?何だよ姉ちゃん急に笑い出して・・・」

美縷「ふふふっ、ごめんね、ちょっと璃瑠の姿を見て思い出し笑いしちゃって。」

璃瑠「何を思い出したのよぉ全くぅ~・・・(汗)」

美縷「まぁまぁ!気にしないで!(…この様子なら二人がまた前みたいに

 仲良くなれる日も・・・そう遠くはない・・・かな・・・?)」

父親「よし、こっちは持ち物確認終わったぞ。お前らももういいか?」

竜也「あぁ、大丈夫だ。」

美縷「オッケーよ。」

璃瑠「大丈夫です!」

母親「いつでもいけるわ!」

父親「うん!・・・よし、それじゃあ・・・ピクニック出発しますかぁー!」

4人「おぉー!!!」


 こうして俺たち5人は、会えなかった3日間分を取り戻すかのように皆で仲良くピクニックに出かけた。



         ・・・でも・・・




   …この時の俺達はまだ、知らなかったんだ・・・。





 この後に巻き起こる、世界を、宇宙を、次元を、この世のありとあらゆる全ての者達を巻き込んだ壮大な諍いの渦中へと足を踏み入れていく羽目になることに・・・。




 そしてこれが・・・実質最後の、5人一緒にいられる瞬間となってしまうことに・・・・・・。



今回のお話しも一人称目線と二人称目線がまじりあうため、

一見すると読みにくいかもしれませんが、元々そういう体で作っている

ある特定の瞬間のオリジナル竜也が小説家の青木竜也との記憶の共有をきっかけに

互いの存在に気付き合い、状況の報告も兼ねて話しかける様に喋っている部分(序盤)と、

それを読み解き受け取った彼が、第三者としてオリジナル竜也の知らない状況を小説として

執筆投稿するために自分の知っている状況説明部分を付け加えている・・・

という状態で成り立っている小説のため、こんなややこしくなっています。

でも、その理由も後判明しますがネタバレ防止のためまだ核心に触れるような話は

敢えてしないでおくことにします(笑)


追記

文章が微妙に違うpixiv版も投稿完了しました!

https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=22269040

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