iii) 取り巻き少年と少女は、少年と少女に出会う(Henchman meets to Girls & Boy.) Disc C
いろいろ遅くなり申し訳ありません。
会社でいろいろゴタゴタに巻き込まれたと言う言い訳はあるにはあるのですが……
まだしばらくは不安定となりそうですが、見捨てずいただければ幸いです。
……まだ、読んでくださる方は残ってると信じて投稿(;´Д`)
少女を追っていた男達が悪漢や無頼漢と言ったそれなりの風体なのに対し、目前の彼らは明らかにそれよりも格下の破落戸とか与太者といった感じだ。だが、風体こそボロボロとはいえ、身には陣中鎧の一部と思われる装備をまとっている分、この破落戸が脅威であることは間違いない。部分部分とはいえ、陣中鎧の機能が生きていれば、その部分に関して言えば子供向け道中着など及びもつかない能力を発揮する。そして、やっかいなことに機能が死んでいても、防御力は有効なままだ。
対して少女を守るようにして破落戸に対している少年は、彼と同様に道中着をまとっているとはいえ、彼のような訓練を受けていないことが明らかだった。道中着は彼のものよりも仕立てもよく、傷一つついていないピカピカの状態だったが、明らかに着こなせておらず、いわゆる着られている状態に見える。だが身なり自体は大変よく、手に小ぶりの短剣を持っていることから、それなりの身分である可能性が高い。
そんな少年野背後で震えている少女も、隣で彼の袖をぎゅっと握りながら前をにらむように見つめる彼女の服と比べても生地等が上等なことから、下級貴族か場合によれば中級貴族かもしれない。そういう隣の彼女も、実際のところそれなり以上の仕立てを身につけており、彼女自身も貴族の子女である可能性は高い。少なくとも商家を切り盛りする郷紳階級以上の、貧乏な男爵よりもよほど裕福な階層なのは間違いない。
ふとそのことに気づき、彼は少しだけ悲しくなった。彼自身も公達のはずなのだが、名誉特権という特殊なもの。いかんせん実態は男爵家の長男でしかない。経済的な部分では見劣りレベルではすまないものがある。
だが、同時に、そんな場合ではないと、考える。目の前の少年と一緒に、彼女と少女を守るべきか……それとも彼女とこのまま逃げるか。
彼は、自分が逡巡していることに気がついた。
「戦場じゃあ、迷ってる暇なんて無いんだぜ、坊ちゃん」と、笑いながら手ほどきしてくれた、騎士団の荒くれ者の顔を思い出すとともに。
「何だ、おめぇ」
破落戸たちは、少年と少女の視線がずれていることに気づくと、そのうちの一人が彼へと目を細めながら、睨み付けるようにして声をかけてくる。
全員が一斉に視線をこちらに移したことから、彼の知る騎士団員のような自由騎士から落ちぶれた無頼漢と言うわけではなさそうだ。集団戦に対する訓練は全く受けたことが無い、貧困地区出身とかで多々見受けられる、子供の頃から犯罪や喧嘩に明け暮れた、個々の戦闘《喧嘩》にはそこそこ強いだけの破落戸のようだ。
貴族の誇りとしては……父親や騎士団員からこれまで聞かされてきた話的には、実はどちらも正しい。
全員を守るのは……同年齢の子供であれば、正邪によらず、子供の側にたって戦うのは正義に適う行為といえる。たとえ守れずとも、誇り高き行為だ。
一方、彼女だけを連れて逃げるのは……見ず知らずの人間とはいえ、一度助けると決めた女性を守り切るのは、騎士道に適う行為といえる。彼女を逃がすことさえできればそれは恥ずべきことではない。
そのときになって、彼は自分が震え、動けなくなっていることに気づいた。だが彼は、なぜ突然動けなくなったか気づいていない。。
そう、彼はおびえていた。初め彼は迷っていると誤解していた。だが、迷った段階で恐怖に支配されていたのだ。
道中着があれば、大人とも対等以上の立場で戦えるという慢心をあざ笑うように現れた全く敵わないかもしれない存在。
そして、残念ながら、彼は自分が何におびえているか理解できていかなった。
「だめ!」
彼女の声を聞くと同時に、おびえて震えていたのが嘘のように体が動き、少年と少女を襲わんとしていた男に向かって、無意識に飛び出していた。
本来の、父親から教わった流れるような動きとは無縁の、騎士団すら雑と称す動きで。
目標は、両手を前にして少年たちに向かっていた下っ端。やや遠いが、突進した勢いで一番近い目標を定めただけだった。だがそれが、気勢ととともにあげた奇声に振り向いた下っ端の胸に、ちょうど頭から突っ込む形になる。子供の体重とはいえ、道中着自体の重量と着用による加速により、チンピラは吹き飛ぶまではいかずとも、確実によろめき、そのまま尻餅をついた。それなりのダメージを負っているらしく、すぐに立ち上がることができずにいた。
そして、彼はその勢いを殺さず、背後で棒立ちとなっている男を力一杯蹴りつける。今度は、道中着の効果もあり、壁に向かって吹き飛んでいく。
そして、結果を確認する前に、置き去りにされた彼女の方へ走り出す。
「逃げろ!」
彼は、背後にいる少年と少女に叫んだ。つられて、少女を立ち上がらせ、走りだそうと……
したところで、彼は彼女の絶望的な表情を見た。
振り向いた瞬間、彼はなぜそんな表情をしているのか理解した。
振り向いたその先には、下っ端と比べればかなり上等な部類だとわかる二人組の男が、通路の反対側に立っていた。
忘れていた。
そう、彼女もまた、追われていたのだった。別の無頼漢に。
ひろ☆らいだーに迫る無能役軍団。
果たしてひろ☆らいだーは?
次回「仮面のひろ☆らいだー」にライドオン!




