28. ジャンクフードを広めに転生しました
環境が変わりなかなか大変ですが、なんとか次話投稿にこぎ着けました。
お待たせして申し訳ありませんでした。
ある意味当然の事なのだが、王都にはいくつかの城門がある。古代の遺物でもある街道が交わる場所に作られた都市なだけあって、都市の規模の割には高くない城壁には片手では足りないくらいの大門と、両手でも足りないくらいの人が通れる程度の小門とがあった。
さらに湖に付き出した半島状の王城と、その付け根にある旧王城区画、そしてその周辺を取り巻く旧王都とさらに外周に広がった新王都と、発展とともに街も形作られているのだが、旧王都と新王都の境目でもある旧城壁にも普段は落とし格子が上げられた状態の甲冑が並んで通れるほど巨大な門がある。
その一方で、貴族たちや上級市民と呼ぶべき階層が主に住む旧王城地区と旧王都の間にかってあった壁は、現在では正門とも言える楼門や守衛所として数カ所残存する櫓が面影を残す程度だ。。
逆に王城への門は、防御のために大手門《正門》しか無く、後は湖側に港と呼ぶには小規模な水軍のための桟橋があるだけで、通用門すらない。そのため、食材等は大手門を使って搬入されており、貴族の馬車よりも運搬用の馬車の方が優先されているほどだ。男爵や子爵クラスはそもそも呼ばれる事すらまれなので問題無いが、伯爵クラスの場合だと大手門の前で徒歩に切り替え目的地に向かうのはよくある事のようだ。
それはさておき、我が領を通る街道と繋がる城門の手前で牛列車による商隊は一旦停止した。同時に、護衛として隊列の後方を進んでいた甲冑が、街道の左側車線《轍》で止まっている牛列車の右側を走り抜けると同時に回転しながらジャンプし、列車の先頭にいる牛追いの手前にスピンしながら舞い降りた。
同時に沸き起こる歓声。どうやら我が騎士団の騎士達《荒くれ者ども》は、牛列車の護衛についた時は何らかの芸を行っているらしく、本来文句を言ってきても不思議で無いはずの楼門に詰めている衛兵達までもが喝采を送ってきている。
そんなパフォーマンスを繰り広げる騎士団を何やってんだと思いながら隊列と別れると、外れととはいえ都心に該当する旧王城に設けられている我が館へ 、二輪馬車をゆっくりと走らせる。
しかし軽快で小回りがきくといえ、本来二人乗りの席では、やはり狭い。元々車輪を客室の前後に配置出来る四輪馬車よりも真横に車輪があるため幅方向で不利な事に加えて、四人も乗っているのだから、ある意味当然と言える。大柄な男性だときつい位だから、嫁と子供が並んでいる事もあって、どうしても肩を窄めた感じで手綱を操る事になる。
だが、その狭い車幅の馬車でも、街区の中を通らねばならない時は道の狭さを痛感する。王都内では広い道以外は基本的に一方通行で、対向車が来ないのはせめてもの救いだが、自動車と異なりどうも馬車は未だ自分の思っている通りに動いてくれず、狭い道だとやはり苦手意識が先立ってしまう。.0.
共和国では首都の中では馬車は完全禁止で奴隷に牽かせる車両しか使えないらしいのだが、王国では一応貴族の特権扱いで王都内の馬車使用も許されている。なので、街区の枠を形作る条と坊こそ馬車がすれ違うことも可能な広さなのだが、街中の道は建物がいびつに建っている事もあって、狭い上にまっすぐとは言いがたい。
攻城戦で街中にまで敵が侵入してきた場合には、守備側には有利に働くだろうが、平常時には正直邪魔なだけだ。
不機嫌そうに街路を眺める息子を、なんとも微笑ましそうに見ている嫁。最近反抗期なのか、剣を教える時以外は何故か私を避けようとするのだ。
「久々の王都はどうだ」
「変わっていませんね」
彼女は、娘を抱いたまま、本当にうれしそうに女性低音で答える。低くて魅惑的な声なのだが、男性高音に該当するらしい私とは、声の高さが身長と同様にあまり変わり無いのはいかがなものだろう。もっとも、身長とは逆に声は私の方が低いとだけは念押しさせて貰うところだが。
「危ない」
いきなり濃いピンク色の物体が目の端に写ったため、私は手綱を慌てて引き、馬車を止めた。そんな馬車の前を走り抜ける、赤毛と言うよりもピンク色とでも称すべき長い髪をかわいらしくまとめ、髪と同系統の色をした上品な仕立てだが所々破れているワンピースを纏った少女が通り抜けた。そして街の中へと角を曲がって走って行く。
「お父さん!」
馬車が止まると同時にそう叫ぶと、いきなり馬車から街路に飛び降り、街区の中に向かって駆けだした。
あの、濃いピンク色の少女を追いかけていったのだ。そう察した私は馬車を止め、「衛兵を」と妻に告げると、少女が走ってきた方向に顔を向けると、手に持った杖を構えた。
私の言いたいことを理解してくれたのだろう、馬車はそれなりの速度で走り去っていった。
そういえば息子に短剣を渡していたなと思い出すと同時に、自分が少し緊張している事を感じ、一度大きく息を吸う。
さあ、鬼が出るか蛇が出るか。
ひろ☆らいだー はモヒカンである!
絶体絶命では全く無いが、それでも周囲を電波に囲まれた状態は厳しいと言わざるを得ない。
ここは攻略するのは諦め変身《Rigid Transform》すべきだろうか。
そのときだった。
「眼鏡っ娘なのにモヒカンなのは何故でしょう? 説明願います」
「バイクなのに眼鏡っ娘なのです」
突如ドロップキックで敵を吹き飛ばすとともに現れた、狐のお面をつけた巫女装束のペアが、尋ねてきた。
「仮面フォックス、力技の一号さんと技力の二号さんでしたっけ?」
「力も技もありませんよ」
「そんなこと言うと泣くぞ」
「……まあそれはさておき、これはモヒカンヘアーでは無くてヘルメットの意匠ですし、バイクに変形可能なパワードスーツみたいなもんです」
「絶対領域確保はさすがですね」
「絶対領域でなく……危ない」
ひろ☆らいだーが、仮面フォックsの背後に電波を認めるとのと同時に、2号の手元から銀色の光が流れた。
一瞬、電波は硬直したように直立し、ドサリ仰向けに倒れる。そしてその胸には、二本の手裏剣……いや、医療用の鋭いメスが食い込んでいた。
「やはり、人外さんに引き寄せられて来たんでしょうね。……って、今度はこっちですか」
その言葉を聞くと同時に、上空に現れた敵めがけてジャンプ一閃敵を吹き飛ばすと、一気に変形《RT》して空中をゆっくりと滑空し、周囲を警戒する。
そんな上空を優美に舞うひろ☆らいだーを見て、「こわい~」と声をそろえる仮面フォックスs。
「いや、お二人の方が強いですから」
ひろ☆ぐらいだーの声だけが、むなしく響くのであった。




