27 王都でお茶会をしに転生しました
海外からの投稿トライで短めとなっています。
その代わりに後書きにお遊び要素入れて見ました。
(苦手な方はスルーしてください)
騎士団なんて話を誰が思いついたか知らないが、絶対嫌がらせだよ。整備なんて、家のスーパー執事が上手いこと切りもりしてくれているからなんとかなってるけど、本来なら稼働率半分なんてことになっても不思議ないわけで。
それはさておき、あれから隣国との小競り合いも無く、街道で強盗が出るくらいの平和な世相となっている。
ん? 意味がわからない?
まあ、逆説的な部分もあるのだが、ドンパチやってる中で街道を商人が行き来するかどうかと考えればわかりやすいだろう。行商人も行き交わないの上に討伐隊よりも殺気立った連中が跋扈してるんだから、もう話にならない。僚兵ならともかく甲冑が出て来られたら強盗なんぞ鎧袖一触。
と言うわけで、我が領おなじみの牛車隊商、通称『牛列車』も、ちょくちょく被害が出だしています。なので、騎士団持ち回りで護衛として甲冑を牛列車につけているのですが……
正直、甲冑はコスパわるいから僚兵で十分なのですが、肝心の僚兵を扱う家臣団が増える前にいきなり騎士団持ちとなってしまい、バランスが悪いこと悪いこと。
とはいえ過剰戦力なのは致し方ないと、市の立つ日と規則性の無い様に一〜四日間を挟んだ適当な日に、騎士団の連中が、これまた規則性を敢えてなくして、護衛としてつくようになった。
一番人気は、例の騎装馬型の甲冑。出発前には、後ろ足立になり周囲を喜ばせている。
特に子供には大受けで、ラヨッシュが案外子供好きと言う、意外な事実も判明した。デカくて厳つい癖に、少し前に生まれた子供をだらしない顔で抱っこする姿は、村の名物らしい。まあ慕われている様ではある。
とか言いつつ、今日はラヨッシュでは無く、先だって鹵獲した甲冑を我が物としたノルベルトが参加しているんだが。
それはさておき、戦場で甲冑を奪うというのは、意外かもしれないが何気に少ない。鹵獲自体は、なんだかんだ言って戦争ではちょくちょく起きる事なんだが、甲冑の主とセットとなると何気に難しかったりする。
多くの場合、いざとなると主の方は甲冑から離脱して陣中鎧で一気に逃げ出す事が多く、甲冑自体は鹵獲できてもセットでとなると案外難しかったりする。
この世界、日本の源平合戦じみた甲冑による一騎打ちも起こりえる癖に、中世欧州同様に基本は殺さず身代金と言うのが普通だから、本人と比べたらまだ身代金が安い甲冑を置き去りにする方を選択する。逆に言うとセットで捕まった場合、よほどの資産家でも無い限り両方払う事はほぼ不可能で、踏んだり蹴ったりな状態となってしまう。
確かに甲冑自体はオーパーツなところがあるが、それを扱える騎士階級以上の人間の価値は、比較的ではあるが、この人命のくそ安い世界にあってなんだかんだで結構高い。
なので、本来の自由騎士を自前の騎士団とした段階であればちょっと甲冑多いんで少しバランス悪いかな程度だったのが、戦後の褒章で全員甲冑持ち騎士になったものだからこんなことになっている。
で、絶賛御新造さん募集中のノベルトだが……
うちの息子を肩車して、荷車のそばを走り回っていますよ。因みにネタで教えたら、肩車の度に嬉しそうに「ぱいるだ〜おん!」と言いながら乗るは、いかがな物だろう。
しかも息子は息子で、何故か私には肩車を嫌がって、騎士団の連中にばかり嬉しそうにお願いして回る。いくら小柄で、最近それなりに痩せたせいで華奢に見えるとはいえ、一応それなりに鍛えてはいるというのに。
そういうと騎士団の連中はなぜかニヤニヤ笑いだすのが常で、まったく解せぬ。
ノベルトはノベルトで、ブスッとした顔のまま足取りだけはやけに軽快で楽しそうに走り回るモンだから、どうも家の騎士どもは揃いも揃って子煩悩な可能性が濃厚となってきた。
そんな二人を、二輪馬車の助手席に乗り込んだ妻が、抱き上げた幼女《娘》と一緒にニコニコしながら眺めている。
実は、久しぶりに、一家全員で王都の館に向かうのだ。どうしたわけかわがバラージュ家は弱小男爵家にも関わらず、小さいながらも王都に邸宅を持っている。普段「館」と呼んでいるそれは、弱小男爵のくせに小さいといえ独立した戸建ての邸宅で、この間の商人たちを集めた会合もその気になればできる程度の広間もある。
とはいえ常の使用しているわけでもないため、誇りまみれの空き室も多く、厨房も使う前には掃除をする必要があるといった具合だ。そのくせ構造的に集合住宅として他の男爵や准男爵に貸し出すというのも難しい。
いっそ立地が良ければ宿屋として使おうかと思ったほどだが、下級とはいえ貴族の端くれなので上流というべき区画に存在しており、宿屋として営業するには客が来づらいという欠点があり、幸か不幸か実行せずにいる。
で、何故
それは数日前に遡る……
「茶話会か。正餐会ほどで無いとは言え、男爵程度では厳しくないか」
王都の邸宅に久々に向かいたいという妻からの提案に、少しだけ驚いた。別に王都へ向かうこと自体は別に驚くような事でも無いのだが、最近の彼女は我がバラージュ領に籠もりっきりで、社交期に入っても以前とは異なり女主人として家の差配をする事も増えていたので、急に言い出したのは実際のところ意外であった。
実のところ、転生だか憑依だかする前までは、それこそシーズン中はずっと王都に私が領地に戻っても一人で居たらしいし、シーズン外でもちょくちょく訪れていたらしい。そのため、ドレスとかも男爵夫人としては控えめとは言えシーズン毎に買い換えていたようだ。
だが、私と毎日のようにイチャコラするようになるとシーズンの期間にだけ月に数日王都に滞在する程度になり、長男が生まれると数ヶ月に一度数日程度まで減り、長女が生まれてから王都に行ったのは数回程度だったと思う。ドレスとかも、最近久々に買い直したくらいで、ほとんど買っていない。
そんな状態から、いきなり茶話会を開きたいなどと言い出したのだから、驚きもする。
それに一応紅茶復興ではバラージュ男爵家の名前を少しだけ知られるようになってきたとはいえ、言い方を変えると所詮はその程度でしか無い。いくら特権持ちとはいえ、所詮は貴族としては最下級の男爵に過ぎないのだから、王都の《・》社交界では知名度なんぞあるはずも無い。
その上、中途半端に王都と近い事もあり其の気になれば日帰りすら出来るにも関わらず、大貴族でも無いのになぜか戸建てである。以前のように、なんだかんだでシーズン中に使用する事があればともかく、今となっては最小限の手入れしか出来ていない。それに、戸建てなので部屋数こそそれなりにあるとはいえ、下手したら田舎の裕福な准男爵あたりが王都で借りている集合住宅形式のタウンハウスの方がよっぽど設備が整っている場合あり得る。こんな現状では、なかなかパーティーなど開くことも出来ない。
文章がダブっている
しかし、なぜだろう。普段なら、内容に比例した頭痛とともに思い浮かんでくる記憶なのだが、両親関連と同様にタウンハウスの記憶もなぜか思い浮かんでこないのだ。嫁いだ後の妻の姓が実は領地で無く領主が住む街の名前から持ってくるといった、本気で知らなかったであろう事は当然思い浮かんでこないので、我が家の由来も本当に知らない可能性もあるのだが、どうにもしっくりこない。もっとも否定するだけの根拠も無いのだが。
「いえ、ティーパーティーとはいえ茗醼なんて無理でも、お茶会なら、なんとかなりません?
あれなら、リビングにテーブルにお茶とお茶請けをおいての立食形式に出来ますし、そんな格式張らないですみますから」
「ビュッフェ? 食放題形式ほどでは無いが、ティーケーキと言うより軽食が必要になるが、大丈夫なのか。
ほら、目新しいものでも無いと、開いたけど誰も喜ばないなんてことになりかねないし」
「そこは、この間新しく作った合組のお披露目をかねてましてよ。国内だけでなく海外の安いお茶も混ぜて見ましたの。
それにこの間ホンザのところで雇われた従卒が、放浪中異国で手に入れたお野菜というのをいろいろ見せてく、育てた事があったでしょ」
どうもジャガイモらしき根菜をホンザが持ってきた事を言っているらしい。
そういえばそんなこともあったかと思い出す。
この世界でもタロ芋系や山の芋系の根菜も探せばあるんだろうとも思うが、まず一番優先度が高いのは米だ。そこは譲れない。
まあ現実の中世世界だの新世界だのはほっといて、ジャガイモと言えば転生ファンタジーのお約束。米が見つかるまではせめてジャガイモ系のジャンクでも楽しむかと栽培させ、一度フレンチフライ作って貰った事がある。それに白身の魚をフライにしてフィッシュアンドチップとしゃれ込んだのを思い出した。ケチャップやタルタルソースは断念したが、酢とマスタードに塩でそれなりにおいしく賞味でき、騎士団含めて本宅に来た連中に何度か振る舞ったところ、毎回かなり好評だった。
ちなみに、芋と呼ばれる根菜自体は昔から存在するのだが、どうも蕪の一種が芋と呼ばれているらしく、今回のジャガイモ発見まではフライドポテト系は影も形も無かったらしい。無論、蕪なので煮っ転がしだのとろろ芋だのは夢のまた夢。
ぁ~米、食いてぇ、ジャポニカ米をがっつりと……
「なるほど、その手の野菜を使った料理を披露したいが、晩餐なんて無理。
でもお茶会のスナックならなんとかならないかという按排か……
なら、せっかくだから付け合わせに、今度こそ新しいソースを成功させないとね」
「マヨネーズ。
でしたっけ?」
私の言葉に、ちょっと首をかしげながら、にっこりと笑う。
「ああ、前回と前々回は上手く固まらずに失敗したが、今度こそ成功させたいな」
実は何度かマヨネーズ作りにチャレンジした事があるのだが、上手く固まらずに液状のドレッシング的な何かになってしまったのだ。だが、魔法的な理由で作成出来ない蒸気とは異なり、不可能では無いはず。玉葱と胡瓜は確か存在しているので、今度こそフィッシュアンドチップをタルタルソースで食べてやる。
さすがにいくらトマトらしきものがあったとは言え、ケチャップは敷居が高すぎるので、和風オーロラソースやチキン南蛮用タルタルソースは当面無理そうだ。サウザンアイランドドレッシングならトマトピューレが出来ればなんとかなるので、マヨネーズさえ完成すれば、逆に先に出来るかもしれない。
「お食事もそうですけど、この間買っていただいたドレスも着たいですし」
そう言って妻はにっこりと微笑んだ。この辺はやはり女性なのだな、などと思う。ハイティーの方はややカジュアルな感じで行われており、格式張ったローティーと異なり洒脱な服装で談笑というのが定番。そこで、この間久々に購入したやや派手なドレスを見せたいという思いがあるのだろう。
「安心なさって。あなたの為に素敵《妖艶》なイブニングドレスも準備させていましてよ」
「まて」
あわてた私の言葉に、いたずらっぽく、冗談ですよと笑う姿はとても子持ちとは思えないほど可愛らしいのだが、内容がシャレなってない。
どうにも騎士団の連中に毒されたのか、娘が産まれてから私への遠慮がさらに無くなってきているのは良いことなのかどうなのか。
ひろ☆らいだー は改造バイクである!!
「おや、だいぶダメージを受けたようだ。」
白衣を羽織るように着た女性は、ジト目でひろ☆らいだーの破損した箇所を観察していく。
電波との闘いで至る所傷ついたボディーからは時折ショートしたかの如く火花が走り、周囲にオゾン臭を放っていた。
「なんと愛国者かなりませんか。
できれば、バイクの状態で不通に乗り降りできるように」
「おや、それは私でもキツイ。猫耳眼鏡っ娘モードで固定するのが、一番手軽な応急処置じゃないかな」
「できれば、猫耳も眼鏡っ娘もカンベンして欲しいんですけど?」
「出来れば植物系に改造にしたかったんだが、残念だ。このまま改造しよう」
おやおやと、大げさなジェスチャーで肩をすくめると、ジト目を怪しげな機材の方に向ける。
「では、そのカプセルに入ってくれ」
ひろ☆らいだーは、言葉に従い、ギャランドゥ……もとい、がらんどうの容器に全身を納める。
同時にカプセルの蓋が閉じ、緑色のどろりとした液体が注入されてくる。
「相変わらず慣れないんですが」
「まあそういわず」
「どのくらいで、日常生活に困らない程度には回復できるんですかね」
ひろ☆らいだーの言葉に、カプセルの中が液体で満たされると同時に、ジト目の女性は、眼鏡の真ん中をくいと人差し指で持ち上げる。
「あと、数時間もすれば破損が気にならない程度には回復するよ」
その言葉を聞きながら、ひろ☆らいだーの瞼はゆっくりと閉じていった……
「で、なんですか、これは」
目覚めると同時に、体が修復されて、かなり楽に動くのに気付いた。そして、あつらえられた鏡をみて、思考よりも先に言葉が飛び出した。
「なるべく修復時間を短くするのが希望かなと思ってね」
「日常生活に困らない、っていいましたよね?」
「破損が気にならない程度って伝えているよ」
「人型に固定は、まあ修復を容易にということで、わかります。
眼鏡そうちゃくはとうぜんとして、女体化《TS》も、百万歩譲ってみとめるとして
なんで、ヘルメットがこんな形なんですか?」
「猫耳と眼鏡っ娘のどちらかをオミットして欲しいと要望だから、猫耳オミットして代わりに採用したんだが、なにか問題が?」
「もんだいしかありませんよ、モヒカン型なんて」
ジト目の女性は、右手を左掌に打ち付けてポンと擬音を口にする。
「そうか、肩パットを忘れていたね」
「そうじゃない」
ひろ☆らいだーモヒカンの爆誕であった




