23. 開拓中の領地に転生しました
あれから数年。
王子の取り巻き疑惑の息子に続き、娘も産まれました。
私に似て実に可愛い娘で、皆そう言って褒めてくれます。畜生。確かに可愛いうえに、なんと言っても息子と違って完全に私にそっくりですよ。周囲も美人になること間違い無しって断言してくれますよ。
やることやってるんで当然ですが、二人目が産まれたので実は転生だか憑依だかした際に種なしになったんじゃという懸念も完全に払拭されました。長男があまり似てないから別の種なんじゃって密かに持っていた疑惑も、赤子の頃の息子と産まれた娘が案外よく似ている事から一気に自分の中では吹き飛びました。
娘のほう、かわいらしい上に男爵令嬢という如何にもな階級なので続編とかで主人公だった可能性も有りそう。
……まさか、ライバルキャラって事は無いよね。
誰にも言ってないけど、これって、親馬鹿発言かしら?
息子の方も、この間までハイハイしていたのが、今では可愛らしくとてとて歩くようになっています。てこてこ愛らしく歩いて妹に近づいて、ほっぺをつんつんしたりしています。兄妹仲が良いようにと、分け隔てせず一緒に育てていますが、時折「妹をまもるのは兄の役目だ」「妹の幸せは兄の幸せ」などと囁いて、妹だい好きお兄ちゃんに洗脳……もとい、教えていきます。これで、娘に変なフラグつく前にお兄ちゃんが折ってくれるはず。
長男が産まれた頃と違い乳母を雇える位には発展していますが、いまだに妻が直接子育てしているので可能なのですが。
髪の毛も子供の頃は金髪だと思っていたら、だんだん色が濃くなって……青味が増してきました。
パッキンの王子を取り巻く、蒼・朱・白・玄の取り巻きと言う、五行説みたいな配色……余計、取り巻き疑惑が濃厚となってきたところです。因みに攻略キャラの髪の色は、王子の金髪意外だと公爵の緑・侯爵の銀・伯爵の赤・子爵のオレンジで乙女ゲームの主人公が男爵でピンク色なので、なんかの戦隊ものみたいです。記憶が曖昧な部分有りますが、主人公のライバルキャラは薄い赤紫(濃いピンク)、薄い褐色(濃い赤茶色)、濃い紫、濃い金色、薄い褐色(濃い緑色等々)、どちらかと言うと濃いめの色だった気がしますが、まあこの辺はどうでもよろしい。西洋人で見られる、年齢とともに髪の毛の色が濃くなる人多いみたいだし、逆に淡くなる場合もまれだけど有るらしいので。
……今思ったんだけど、まさか追加シナリオや隠しシナリオで男爵の青が実はあったりしないよね?
さて子供の成長に合わせるようにして紅茶の栽培も無事軌道に乗り、案の定と言うべきか真似してくるところが増えて来ました。最初から大もうけは狙っていなかったけれども、思った以上にキャッチアップが早かったと言うのが正直な所。
そうなると、味的に劣っていると言うこともあるのだろう、我が領のものの人気はいまいちらしい。とはいえ一種ブームらしく、今は売り上げは若干伸びている。だが、それも長く続くとも思えない。英国の紅茶や東アジアの緑茶の様に定着してくれれば良いのだが。
正直言うと、中世くらいの時代背景だから子供が成人するくらいまでは独占まではいかずとも大丈夫かなと思ったけれど、もっとも単にコロンブスの卵な発想だっただけであるモノの組み合わせのわけだから、気づいたら案外早いと言ったところだろうか。
「うちの領地では、これ以上茶畑は増やさないと」
新しく騎士団の家令として転属させた男達が丁重に問いかける。
「ああ、ヴォイチョフから聞いて、騎士たちから頼まれたか」
一斉に、いまだに慣れない例の長子でうなずく。
「騎士様に説明いたしますので」
「ああ、単純すぎる理由だ。
我領地の茶葉は実のところ不味い」
地球の茶葉とは微妙に違うのか、気温等の条件は結構違ってるみたいで、本来紅茶より緑茶に向いてるはずの我が領よりも、もっと寒いところが紅茶に向いていて暑いところは緑茶に向いていいる。元の世界だと、ダージリンだのアッサムだのセイロンだの、なんだかんだで暑い地方が紅茶というイメージあるので、聞いた当初は違和感だらけだった。良い悪い別にして、異世界だなと感じる何気ないところ。
それはさておき我が領。ちょうど、紅茶にも緑茶にも出来る位の気候みたいなのだが、同時にどちらにしてもたいしたことない味という、なんだかなぁと言いたくなる茶葉が生産される。
「それは……ですが、もったいない」
「まあ手は考えてあるし、そもそも」
とはいえ、手が無いわけでは無い。要は合組への再チャレンジ。
まあ、王都で我が領の野菜がそれなりに定着して税を物納からお金に切り替えたのと、牛車の運行料でそれなりに稼ぎが出てるので焦る必要が無いというのが、なんだかんだで大きいところ。
それと、思った以上に騎士団の連中が有能だったこと。脳筋だと思っていたら、土木作業や農業にもあっさり適合してくれました。ええ、意外なことに指揮官としての能力を持っていたみたいで。
国境付近の僻地と言うわけでは無く王都に比較的近いとはいえ、大概な田舎な領地なんで、山と丘陵の間くらいの土地ならそれなりに余っていたのを幸いとばかりに開墾させたら、全員それなりに農地を大きくしてくれました。
二年間税収を半分の餌につられて野菜販売の恩恵にあずかれなかった連中が結構応募してきたってのもあるが、精霊日前後二週間に限り負債の無い農奴の移住が認められている事を利用してやってきた連中が結構混じっている。どうも、一部の領地で農作物を茶葉生産に切り替えたせいで、生産物地代どころか労働地代も払え無くなった連中が大量に放出されたらしい。
一年草が大半の野菜類と違い、樹木であるお茶の栽培だと、収穫時意外だとそこまで人でも要らないようで。お茶と言うと山というイメージが有るが、日光さえきちんと当たれば、平地でも全く問題無いと言う事らしい。
コレは肥料で収穫を増やす以上に祝福で収穫を増やすというこの世界ならではの方法所以と言える。




