高校デビューの失敗
高校生活の初めの日ーー入学式も順調に終わり、登校日となる
「ふぅー……」
教室のドアの前。自分は今更緊張していた。覚悟はしていたのだが、知っている人がいないというのはどうしても精神的にキツかった。
自分の中では「まぁ、余裕っしょ!」と息巻いてはいたもののいざ今日となるとなかなか目の前のドアを開けずらかった。
「落ち着け……落ち着いていけば……!」
そう言い、自分はドアに手をかける。
ーーー 一斉にコッチを向く。
ひぇ……!
カチカチになりながらもなんとか自分の座席を確認しながら席へ向かう。
その間も視線を見に受けていた。大半が奇異によるものだった。そして、やっとのこと席につくとやっと視線が離れる。
こ、怖かった……
それから少しして周りも気にしなくなりやっと冷や汗も止まり、落ち着いて周りを確認する。
それは、隣の席だったからと頑張って話しかけようとする奴と同じ学校だったからだろう大きめの声で話す奴。同じ部活で顔見知りだから話し合ってる奴だったりっと多種多様であった
ーーその中で自分は浮いていた。
話相手になってくれそうなあすかちゃんは科が違くて別のクラスにいる。
部活のやつは名前も顔も知らないからクラスにいるかさえわからない。
じゃぁ近くの席は?
左隣は女子。誰かと話してる。
前も女子。さらに前のやつと話してる。
右隣は。まだ来てない。
後ろは。壁
……そう孤独。誰とも話せる人がいない。
ってか、なんで女子が固めてるわけ?自分は機械科というのに入ったのだが女子は三人だけ、なのに三分の二がここに集まってるよ!おかしくね!!
そんな虚しくも脳内で会話をし、どうすることもできなくりポッケに手を突っ込み、イヤホンと携帯を取り出す。
音楽でも聴こう……
机に突っ伏すように寝る。耳が音楽に支配されていく。無駄な事はなく、音楽だけが僕の友達……
『えっ……やばくね?あの人』コソコソ
『初日から使うの?』コソコソ
なんだ?と思ったが何がかはすぐに見当がついた。
ーー初日から携帯いじり出したの自分だけだーー
やばっ!と思い、ゆっくり起き上がり何にもありませんよと言わんばかりにイヤホンを外す。
起き上がるとこっちを見ていた視線は慌てたように逸らされる。
はぁ……初日からついてないな
※後に友達に聞いた話なのだが、どうやら髪をオールバックにして目つきがかなりキツかったのか俗に言う『不良』だと思われていたらしい
落ち込みながらも結局、何もやることがなくて携帯をいじっているとクスクスと笑い声が聞こえる。机の下から視線を移動させると目の前の女子が笑ってこっちを見ていた。
見た目は普通の女子高生なのだが、一体何が面白かったのか
なんだよっと思わずキッ!っと睨みつけてしまう。本当はそういうふうに見たいわけだはないのだが
しかし、前の女子はなんてこと話そうに飄々ささえ感じた。
「そう睨まないで〜、名前なんて言うの ?私は上原みく」
「旅路……朱です」
「へぇー!意外な名前、それに旅路なんて名前ここら辺で聞かないよね。んじゃ、これからよろしくね朱くん?」
そういい手を差し伸べ、つい手を握る。彼女の手は普通の女子のように柔らかかった。そしておそらく初めてクラスで話した人だと言っていいだろう。
ーだけどこの時から自分は嫌な予感がしていた。彼女と関わるとめんどくさいと……
そして知らなかったんだ。彼女の本当の正体を……
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