■真実の続き■
――何をしてるんだい、凛太郎。
カメラのシャッター音とともに現れた少年に、僕は無言を貫いた。
ちょうど僕は、家の冷蔵庫から食べれるものを物色していたところで、泥棒のそれと何ら変わりがなかったからだ。
無論、シロイルカのためだ。
――冒険の準備? また山に出かけようとしているのかい? クシュ。
その問いに僕は頷く。まだ彼にもシロイルカの話をしていなかった。
本当ならば彼にも話しておき、助けを求めるのがよいのだが、元々身体の弱い彼はかれこれ長い風邪を引いており、外に出られる状態ではなかった。
――無駄だよ。あの山には、何もないって言っただろ。俺たちが求めるものは何もない。
鼻をすする。
――思わせぶりだよな。あんなの燃え尽きちゃえばいいのに。
そんな不謹慎なことを口にする彼に、僕は笑いかける。
片腕に抱えたありったけの食料を持って、冷蔵庫を閉める。そそくさとその場から逃げようとする僕を彼は呼び止めた。
――やけに急いでいるじゃないか。なんか面白そうだね、俺もついて行くよ。
まだ風邪は完治していない。にも関わらず無理をしようとする彼に僕は心配の声をかける。
――ちょっとくらいなら大丈夫さ。少し外にも出たいしね。それに今のうちに遊んでおかないと。
病弱な彼はいつ動けなくなるかわからない。それを知っていたから、遊べるうちに遊んでおきたいと親にわがままを言うようになっていた。
だから僕も彼の意に反することはしないと決めていた。
――うん、じゃあついてきて。面白いものがあるんだよ、義兄さん。
運命の歯車は回り続けている。