一章、始まり
アクセスありがとうございます!
はじめまして、天之奏唄です。
初投稿となります。
まだまだ初心者ではありますが、何卒、楽しんで読んでいただければ幸いです。
宜しくお願い致します。
_ここは私だけの秘密基地。
家の近所に、【黄金山】と呼ばれる大きな山があった。
秋になると、山の半分以上をも上回る量のイチョウの葉が黄色く色付き、それが太陽に照らされることで、黄金色に輝いていたことからその名称が付けられたそうだ。
私の秘密基地は、そんな【黄金山】の中にあった。
手入れの行き届いていない、たくさんの木や竹、シダなんかが生い茂るような、そんな場所。
そんなところだから、もちろん誰も足を踏み入れることはない。
誰にも居場所がバレない。その点に関して安心できるから、秘密基地。
そうして今日も、私はここへ足を運んでいた。
特別な理由があるわけでないが、強いて理由を挙げるとすれば、学校で溜めたストレスを発散するため…ということくらいだろうか。
ここ【黄金山】の秋の黄葉はとても美しかったのだそうだ。
黄葉…とは言うが、実際はイチョウだけでは無いので、紅葉、というのが正確だろう。
丁度、秘密基地から見えていた景色は様々なもので、黄金、朱、橙…など、眺めているだけで心が洗われていくような錯覚を覚えるのだそう。
それはもう、一度見れば忘れられなくなるくらいの絶景らしい。
……何それダメなお薬みたい。
_バリ、バキ、ジャキ。
落ち葉を踏み、その葉が立てる弾けるような音を鼻歌交じりに楽しみながら、私は秘密基地の奥へと進む。
乱暴に横たわる大木や、お互いでぶつかり合うようにして交差する無数の竹。シダは地面を隠して、私を危険な目にでも合わせようとしているみたいだった。
風が吹くたびに、頭上の枯れ笹がザラザラと音を立てる。
いつも私の頬を撫でる風も、ここでは私に届くことはない。
そんなだから、蜘蛛の巣だってあちこち丈夫に張っている。
そんな私の視界に、何か動くものが映りこむ。
(…なんだろう、狸かな)
こんな山の中だ。狸やネズミの一匹や二匹、居てもおかしくはない。
実際に、一昨日は土竜を見つけた。
枯れ葉をのけたところに顔を出していたあたり、3日前の晩に降った雨で呼吸ができなくて、地表に顔を出したんだろうと思う。
生物は、他の種と対面することで興奮を覚えるらしい。その反応は相手によって異なるが、大きな例に【威嚇】がある。
しかし、今私が感じているのは不審感。
淡いクリーム色の髪に、ここらじゃ珍しい怪我一つ無い真っ白な肌。そして、すらりと細い足。
私が狸だと思っていたのは、一人の少女だったのだ。
(なんで?ここは誰にも知られてないはずなのに…)
ゆっくりと後退しながらその少女を直視する。
…今日は帰った方がいいのだろうか。
ふとそんなことを考えてしまった。
_バリ。
その音と同時に、少女と目が合う。
不覚にも、枯れ葉を踏んでしまったようだ。
(まずいっ_‼)
少女とじっと目が合う。長い、長い間。
ふと、少女の唇が動いたことに気づく。その動きは、良く観察しなければ気付かないほどに小さい。
…何か、呟いてるのか?
少女の視線は、どこか覚束ない。
このままではらちが明かない。
そう考えた私は、踵を返しその場を後にしようとした。
_その時だった。
「セナ‼名前‼……私‼」
………?
今のは…彼女の名前名前だろうか。
…セナ、だったか。
(何を考えてるの…?)
彼女への不審感は、増すばかりだった。
まぁそれでも、名乗られた限りはこちらも名乗るのが常識だろう。
そう思い、私は言った。
「真名川優華。あなたは何者?」
「セナ、此処住んでる」
視線を落とし、自信なさげに言う少…セナ。
此処に、住んでる?どういう事だろうか。
確かに此処は私だけの秘密基地。今までも誰一人として来たことは無い。
そんな場所で「此処に住んでる」なんて下手な嘘はつかないだろう。
疑う余地がない。
セナの言葉は信用してもいいだろうか。
「優華、私、ついてくる」
タタタタっと素早く私に走り寄ったと思ったら、やけに自信満々で私の手を引くセナ。
「ちょっ、ちょっと!?」
いきなりの出来事に、上手く対応できなかった私は、まんまとセナに連れていかれる。
…これって拉致なんじゃ…?
不安を覚えながらも、そのままセナについていく私。
ゴツンっ、という鈍い感覚とともに、鼻の頭に深い傷みが溜まる。
「いったぁ…」
セナがいきなり止まったため、勢い余ってセナの頭にぶつかったらしい。
身長は私より少し低いくらいか。年も同じくらいかな。
「…どうしたの?」
鼻の頭を押さえながら、問い掛けた。
「私達、この穴くぐる‼」
やけに元気な声でそういうセナ。
何?と溢しながらセナの前を除き混み、私は驚愕する。
セナの前方には、オレンジ色の光を放つ、ゲートみたいなものがあった。
「これは…?ってちょっやめっ‼きゃっ!?」
尋ねると同時に、背中を押される。
…嘘でしょ!?
私の体は、その穴に吸い込まれるようにして、落ちていった。
いや、正確には落ちているのか浮いているのか分からない。自身の体にまるで重力を感じない。感じるのは、かつてない不安だけだ。
「いやあぁぁあぁぁあ‼」
そんな叫び声は、オレンジ色の穴の中に吸い込まれていった__。
突然の出逢い。突然の出来事。
何もかもが突然に始まったこの物語。
始まりの幕は、こんなドタバタ状態で開くのだった__。
如何でしたでしょうか。
一章は少し短かったかと思います。
次回からは少しずつ文字数も増えていきますので、期待して待っていてくださると嬉しいです。
感想など、お待ちしております。
最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました。




