おっさんとお願い事
「ぐっ!?」
突然全身を襲った痛みで強制的に目を覚ました。
正直 首を動かすのもきつい というか 意識がしっかりした今では息をするのもきついくらいだ
俺は目だけ窓のほうに向けるが残念ながらベッドの角度的に目線だけでは外の状態はわからないが
部屋の暗さを見る限り明け方近くだと思う
それから痛みで少しの間 あうあう あえいでいると 廊下を誰かが歩いている足音が聞こえてきた
その音はだんだんとこちらのほうへ近づいてきているようだった
そしてその足音は俺の部屋の前で消え そのあと カチャ っと部屋のドアが開く音が聞こえた
俺は目線をそちらに向けるがまだ部屋の中は薄暗く誰が入ってきたのかは判別できなかった
すると その相手は そっと極力音を立てないようにドアを開け部屋の中に入ってきて
「あの・・・・まだ寝てますか?」
とささやくような小さな声でこちらに声をかけてきた その声はどうやらアルさんのようで
こちらに歩いてきてその人物が予想道理だったことに少し安心しながら その声の主 アルさんを
目だけ動かしみてみると 手にはどうやら俺の着替えを持っているようで 俺がまだ寝ていると思ったのか こちらを確認し クス っと笑うと足音を極力立てないようにクローゼットのほうへ歩いていき
俺の着替えを慣れた手つきで仕舞いだした
しかも
なぜか どこになにが仕舞ってあるのか最初からわかっているのかのように迷いなくテキパキしまいだした
そして
大した量ではないが あっという間に着替えを仕舞い終わったアルさんは こちらをチラッとみながら
「服を見たらわかるのに・・・・もぅ・・・いつも無茶ばっかりして・・・・ほつれや穴だらけで帰ってくるんだから・・・・」
と少しため息交じりに苦笑しながら愚痴り こちらに歩いてきた
なんとなく 申し訳なさと気まずさで 俺はとっさに寝たふりをしてしまった
するとアルさんの気配が俺のすぐそばまできた
次に急に俺の額に少し冷たい物がおかれ 俺は驚き思わず声をだしてしまったが
「うぐっ!」
声を出すとき痛みが襲い つい変な声をあげてしまった
するとアルさんは
「あら?・・・・やっぱり調子が悪いのかしら?・・・・昨日リュートさんにいつもの時間に起きてこなかったら様子を見て辛そうだったらヒールをとお願いされたけど・・・・かけておいたほうがよさそうねぇ・・・」
とつぶやいた
すると 額にあった少し冷たい感触が だんだんと全身に広がっていった
その感覚は 刺激のある冷たさというより 心地よく気持ちも体も安らぐほど良い冷たさで つい
俺は
「ほぅ・・・・」
と息を吐いてしまった
それをみてアルさんが クスッと笑いながら
「やっぱり辛かったのかしら?・・・・今度は気持ちよさそうね」
とつぶやいた
俺は完全に目を開けて起きてますというタイミングを逃しひたすら寝たふりに徹していると
段々呼吸をするのも楽になり試しに布団の中で足と手の指先を動かしてみても完全に痛みがなくなったということはないが先ほどの様な激しい痛みはなくなっていて軽い筋肉痛のような感じまで回復していた
その間もアルさんは俺にヒールをかけ続けてくれていたが不意に俺の頬をなにかが突っつく感触があり
「もぅ・・・人の気も知らないで・・・気持ちよさそうに寝て・・・・待ってるだけっていうのも辛いんですからね・・・」
と少しすねたような感じでアルさんの声が聞こえてきた
俺はとっさに んん・・・ と声をあげ このタイミングで起きることにした
するとアルさんはつつくのをやめ
「起こしてしまいましたか?」
と優しく声をかけてきたので
「ん・・・アルさん? おはようございます・・・・」
と さも今おきました感をだしながら挨拶すると アルさんも はい おはようございます
と言ってきた
その間もずっと額に手を当ててヒールをかけてくれていたので俺は
「ヒールをかけてくれてたんですね 助かりました ありがとうございます」
と礼をいうと アルさんはクスっと笑いながら リュートに頼まれたことを教えてくれ
俺の調子を聞いてきたので もう大丈夫 と伝えると額からそっと手を離してくれた
俺はベッドから起き上がり 改めてアルさんに礼をいうと
「気になさらず 今日はメイ達のために頑張ってくれるようですし・・・・少しでも役に立てたのなら嬉しいです」
とにこやかに言ってくれた
俺はそれに笑顔で答えながらベッドからでて立ち上がり着替えをしようとしたところ
アルさんは
「はい どうぞ」
と俺の着替えを手渡してきた
それをみて俺は いつのまに? と思っているとそれを察したアルさんが
「昨日 アマガイさんから預かった服を洗濯したので ついでにと思いまして」
と少し気まずそうに言ってきたので 俺は
「かえって気を使わせてすいません 助かります」
と笑顔で礼をいうと アルさんは ほっとしたような顔をし
「おせっかいかと思ったんですが 少し傷んでいたので手を入れさせてもらいました
どこか変だったらあとで言ってください」
と言ってきたので なにからなにまですいません と頭を下げると
「いえ すこしでも日ごろのお礼ができたのならよかったです」
と柔らかい笑顔をうかべながらいってきた
が
「言っても無駄だと思いますが あまり無理してはいけませんよ? それとこれからはお洗濯は私がやりますのでお風呂場で脱いだものを籠に入れておいてくださいね? 用意しておきますから」
と言ってきた
さすがに・・・・汗や泥や魔物の血がついたものを洗ってもらうのも悪いし そもそも下着を洗わせるのはもっと罪悪感が沸くので いや・・・さすがにそこまでは と俺が断ろうとすると
満面の笑みで
「入れておいてくださいね?」
と再度言ってきた
なぜか満面の笑みだが有無を言わせぬ迫力があり俺は断れずつい は・・・はい お願いします と言ってしまうとアルさんは
「ん よろしい」
と満足げに笑っていた
俺は はぁ・・・ とため息をつきながら よろしくお願いします というとアルさんは はい お任せください と笑顔で返してくれた
そして一度廊下にでて戻ってくるとその手にはトレイのようなものがあり
「朝食とお弁当です 着替えが終わったら食べてください 食器はそのままこのテーブルに置いておいてくれれば時間のある時にとりにきますので」
と言ってきた
俺はお礼をいい 食器くらいはさげますよ というと 埃っぽいのであとでこの部屋を掃除させてもらいますので その時かたづけるので そのままでいいです と言ってきた
俺は掃除も今日自分でやりますので と言ったが 迷惑ですか? と悲しそうに言われ
いえ・・・お願いします と言ってしまった
それを聞き アルさんは 笑顔で 任せてください といい部屋を出て行った
俺は 自分のふがいなさにため息をつき 身支度をし朝食を食べて 部屋を出て下に行くと
アルさんは居ないようだったので 小声で 行ってきます といい家をでた
そして皆との約束の昼まで 体の調子みるために狩りにでも行こうかな と思い
門まで歩くと門の前にリリがいたので 声をかけ 挨拶すると リリはどこか安心したような顔で
こちらに小走りで駆け寄り
「よかった・・・まだ外に言ってなかったのですね・・・あっ! えっと おはようござます」
と挨拶してくれたがそのまえのセリフが気になったので
「俺を探してたの? なにか頼みごとかい?」
と聞くとリリは 深呼吸を一度し
「えっと依頼ではないのですが・・・・個人的にお願いがありまして・・・そのぉ・・・」
と言いづらそうに話し出したので とりあえず内容を教えてくれ と俺が笑顔でいうと
リリが申し訳なさそうに はい と返事をした後
「えっと前に南の森でオークに囚われてた人たちのことを覚えてらっしゃいますか?」
と聞いてきたので昨日そのうちの一人にあったことを伝えるとリリは少し驚いた後
「そうだったんですね えっと それで その中に すこし変わった格好をした子がいたと思うですが覚えてらっしゃいますか?」
と聞いてきたので 記憶をたどると 戦闘巫女とかいう職業の子を思いだしたのでそれを伝えると
「そうです! その子です!!ネスという子で 私の幼馴染みたいな子なんです!」
と少し興奮気味に言ってきたので お・・・おぅ と押され気味に答えると はっ! と我に返り
コホン と一つ咳ばらいをした
そして
「今朝ギルドに出勤したら・・・・そのネスの・・・捜索願が出されていまして・・・・」
と言ってきたので俺は
「それだと正規の依頼で冒険者が捜索してくれるんじゃないか?」
と聞くと リリは少し涙目になり言いづらそうに
「それが・・・2日ほど前に私宛にネスから 相談があるから今日遊びに来る という内容の手紙が届いていまして・・・それで・・・ギルドでの依頼処理をする前に・・・なんとかネスと接触できないかと思いまして・・・それで・・・その・・・アマガイさんはいつもこの時間・・・狩り向かわれるので・・・」
と言ってきた
どうやらリリは狩りのついでにネスという子を探し出し自分のところに連れてきてほしいと言ってきているようだった
なので
「了解した じゃぁ 見つけても見つけられなくても 昼までにギルドに顔をだすから 依頼処理はそれまで待ってもらえるか?」
と俺がいうとリリは ぱぁ と表情を明るくし ありがとうございます! と礼をしてきたので
俺は下げたままのリリの頭を撫でながら 任せてくれ といい門をでた
すると門のそばでリリがこちらに
「南の森付近をあたってもらえますか?」
と叫んできたので俺は手をあげ了承の意をこめヒラヒラふりながら南の森へと向かった




