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プロローグ

世界には王がいて、その王が支配する世界に踏み入れた者は、王による粛正を受けることになる。その力は天罰と同等であると、人間達の中で囁かれていた。

現に、それは絶大であり、揺るぎがない絶対的力を目の前にした人類は、その例えに間違いはないと新たに確認していた。



西暦 4800年



各王が支配するこの世界で、突然現れたワープによって出現した謎の生き物は、人類にとってそれは敵だった。

敵とはつまり、人が住む国、住まいを襲ってきたのだ。

相手に言語は存在せず、目的も分からないまま進行を許したこの世界の住人は、謎の敵に脅威した。そして、その進行は更に進み、あろうことか王がいる国まで拡大していった。



最初に、王のいる国へと進行を進めた場所は、海の上に立つ小国だった。

その時、人類は王のいる国まで進行した敵に対し、人類は本気で嘲笑った。

「あいつら、何も知らないんだな。まぁ、それで助かったようなもんだが」

王のいない国に住む民にとって、唯一、謎の敵に立ち向かえるとしたら、王のいる国。すなわち、王そのものだった。そんな事も知らず、のこのこ殺られに行くのならば、世話がないのも同然だった。



敵の戦力は、飛行が可能な球根みたいなのが複数と、鯨とも見える黒い生き物が海上に複数。そして、その数えきれない敵の中心地に、チェスのポーンのような巨大な物体が浮遊する一体。特に、ポーンは、自身の周りに四枚の巨大な鏡のようなものを浮かせ、自身を中心にその鏡をぐるぐるとゆっくり回していた。

「あれは何だ、敵か?」

初めて見る光景にどう反応すればいいのか分からない国兵を前に、謎の敵は容赦なく攻撃を開始した。



最初に、空中で飛行する球根が細かい無数のレーザービームを放ち、海上にいる鯨戦艦は、背中の中心線から爆発が四発同時に起き、それと同時に背骨から巨大な鉛弾が民家めがけて飛んできた。

民は、国の外の遠く海上から起きる物騒な音と共に、空からは無数のレーザービームが飛んできているのを見て、悲鳴をあげながら逃げ惑った。

それでも、海上にある人工島である小国 では、どこに逃げようと結果的に、謎の敵からの攻撃からは逃げきることは出来なかった。

また、同じ事が繰り返されるのか。と思われたその矢先、突然、小国を敵の攻撃から守るかのように大きな津波が発生し、大きな壁を作った。

小国を丸々取り囲んだ自然の壁に、民は大きな歓声を上げた。

「そうだ!俺達には王がいる。どんな奴らが来ようと、最強たる王の前じゃ敵じゃねぇ!」

大きな歓声と共に、小国の中心にある青い城、王城のてっぺんには、まさに小国の王がそこにいた。強靭な肉体を露にするその王の名は、ウバル・トゥトゥ。しかし、王の力を知る小国の民は別の名で彼を呼んでいた。その名をポセイドン。

そして、その王であるポセイドンいる城の真下では、小国でありながら他国に劣らない数の兵と、それを指揮する部隊長が、既に出動準備にあたっていた。

「隊長お呼びですか」

「国王様が動かれる。我等も遅れず敵に総攻撃をもって迎え撃つ。直ぐ様、部隊を海上へと向かわせろ」

「はっ!」

「海の領域では、我々に勝る敵はいない!!」



その部隊長の言葉通り、この戦いにおいて、完全に相手の隙をついた襲撃であったにも関わらず、戦況は、海に浮かぶ小国が圧倒的大差で有利となる。


「大津波!!」


ポセイドンの叫びと共に小国を守る壁は、そのまま津波となって、敵を丸々のみ込んでいった。

そして、まるで大きな台風が通り過ぎたかのように静かになった海に浮かぶのは、先程の敵の無惨な残骸であった。

「うむ」

それでも、あの波を受け、それでも浮遊し続けるたった一体となったポーンに、王は睨み付けた。




ーーーーーー


一方、突如として出現したその謎の敵は、他の場所にも出現していた。

そこは、とある膨大な大地が広がる陸にして、「力」と「正義」を天秤にかけた重要な丘があることで有名な大国だった。そして、海の小国同様、王がいた。

その王の名はアレース。本名ではないが、これも海の小国の王がポセイドンと呼ばれるように、広大な大地を治める王もまた異名で呼ばれていた。

そんな人類でも絶対的力を所有する王がいる大国では、他国にはない生産性を活用し、機械兵器を開発することに成功を遂げた。それは、他国にとって恐れられる「力」であり、誰もその国に侵略などという形で踏入れようとする愚か者が、建国以来いなかった程だった。

そんな軍事力を強化し、他国から恐れられる大国であるが、外から見た者には決して分からない、王の意外な一面があった。

それは、他国では珍しい王制でありながら貴族が存在しない、まさに平等の世界を掲げた、寛大なお心を王はお持ちになっていた事だった。

「正義」感の強い王は、決して贅沢は望まず、民の為、政治を動かしていた。



そんな「力」もあり、「正義」感もある王がいる大国に、恐れを知らずに攻めこんだ愚か者がいた。



それは、ワープによって突如現れたチェスのルークのようなそれは、まだ整備されてない凸凹道を戦車のように走り進めた。

巨体故に動きが遅いそれは、意図も簡単に命中出来た。そして、当然ながら大国の所有する砲台によって放たれた砲撃を次々と命中していった。

しかし、砲撃を受けながらも進み続けるルーク本体に、傷一つつけられないでいた。

「んんん!!許すまじ。我が大国に堂々と攻め込むとは」

怒り心頭中のアレース王は、愛馬に股がり、大きな槍を持ち、独りでに出撃した。

それは、王のいない国にとっては、国のトップが前線に出るなど前代未聞であるが、王達は例外だった。


アレース王の絶対的力とは、『超火力』である。


陸を支配するにあたって一番の効力は、どの地に潜もうと全て命中する大火力にこそある。

海の小国、ポセイドンが絶対的力とするのは『支配』であるように、各王にもそれぞれの力があった。

その中でも、超火力では王の怒りをトリガーに、時間経過する度にどんどん強くなるというものだった。

それ故に、アレース王を怒らせてはいけない。怒り出したら止まらない、といった彼に向けた言葉が誕生した。

超火力は以下の通りである。


一、怒りの瞬間、無敵となる。


二、カウント10分経過により、全身体能力5千倍

(但し、ダメージ関係なく攻撃を一回受けるとカウントはゼロとなり、次の段階へ移行する)


三、カウント30分経過により、神となる。単発一撃必殺が可能となる。

(但し、敵が自身の現形態より強敵であった場合、カウントはゼロとなり、次の段階へ移行する)


四、カウント60分経過により、怒りは頂点となり体に異変をもたらす。神さえ殺してしまうドラゴンに変化し、一撃即死の無数の雨を大地に降らす。

(但し、自分以外の王による攻撃を受けた場合、カウントはゼロとなり、次の段階へ移行する)


残念ながら、それ以降の段階がまだ存在するとされるが、その前に大抵は方がついてしまう為、それ以降を知る者はいない。

が、第四形態でも充分過ぎる程強力である為、時間さえ稼げればやりたい放題だった。しかも、最初の段階から時間稼ぎに充分な力が既に備わることから、最初から決着がついたも同じだった。

故に、マッチに火をつけた謎の敵ルークは、自ら招いた火種で火炙りに見舞われることとなる。



「おおおおおお!!」

雄叫びを上げながらルークに突っ込んでいくアレース王に、勢いで向かっくる敵を察知したルークは、急に動きを止めた。

それと同時に、地中からボスッ、ボスッと、あちこちの所で穴が開いては、そこからまるでチェス盤のような白と黒のチェッカー柄(市松模様)のお洒落な戦車が現れた。

戦車が地中から現れるなんて前代未聞であるが、その穴は既に仕込まれていたかのように、どこまでも続いていた。

まるで、巨大な蟻の巣のような所から次々と現れるそれは、どこから出現するのか分からず、結果、アレースの愛馬が走る真下からも戦車が現れ、驚いた愛馬は暴れ、背中に乗せた主人を放り投げた。

愛馬は、そのまま自分の足元に突如現れた戦車をかろうじて避けたものの、張りめぐされた地下空洞に続く穴に落下していった。

そして、アレース王はというと、馬に吹き飛ばされ結果的に穴に落ちずにすんだのだが、自分の愛馬が穴に落ちていく姿を空中で確認したアレース王は、怒りに更に怒り、額に血管を浮き出させて、まだ離していなかった槍をルークめがけて放った。



肉弾戦では、どの王よりも強く最強と言われる程の力の持ち主だが、更に先程、謎の敵である戦車に攻撃を受け、無事であるものの条件通りカウントはゼロとなり、出撃して10分もしないで第2段階へと突入したアレース王の肉体は、最強から上乗せで5千倍超強化されていた。


二、カウント10分経過により、全身体能力5千倍

(但し、ダメージ関係なく攻撃一回受けるとカウントはゼロになり、次の段階へ移行する)


まさに、最強上に更に5千倍にパワーアップされた彼が槍を放ったのだ。それは、豪速球の如し、槍はルークの中心部目掛けて貫通していった。


……彼が、第四形態移行にならないのは、結局これが理由だった。その前に敵が死ぬ。



ーーーーーー



場所変わって大国より北に位置する場所で、あの世にもっとも近い場所とされている不吉な場所。そんな場所に、あろうことか国があった。その国は帝国と呼ばれ、限られた民にしか永住権を与えない、人種差別が根強い国だった。

そんな国を治める王の名はハデス(異名)。そして、その地に堂々と踏み入れた謎の敵の将は、チェスの駒でいうビショップだった。

しかし、圧倒的大差でハデスの国、帝国は勝利を目前にしていた。

その理由は、兵の数でも、武器でもなかった。それどころか、帝国に兵はいない。あるのは、王の目の前で戦う戦士、悪魔であった。

巨大な姿で既に召喚されているのは、腕を組んだ細身のサタン、地団駄のべリアル、大喰らいのアザゼル。悪魔の中でも名高い三体相手に、謎の敵兵は見事に微塵切りに調理されていた。

ハデスの絶対的力とは、『パンドラ』である。

パンは、全てのものという意味があり、パンドラ、もしくはパンドーラーは、全ての贈り物という意味がある。

パンドラは、王にしか扱えない箱と言われ、その中には、『予兆』と『希望』と『偽り(絶望)』が入っており、蓋を開ければ『疫病』と『悲嘆』と『欠乏』と『犯罪』の災悪が出てくるとされている。

全部、絶望にしか見えないその災悪は、現実世界に現れる際は悪魔として姿を現す。そして、稀に『希望』である神すらも召喚してしまうとされている。

そんな、悪魔や神の軍隊を条件無しに生み出す力は、どの国よりも兵力は勝っていた。



無限に兵(偽天使)を生み出すビショップであるが、次々と倒される偽天使に、ハデスの殺戮ショーは、ビショップの生産性を上回っていた。

もはや、ビショップだけになった敵に対し、無表情の王の顔が見えた。王の服装は、黒の軍服を着こなし、帽子を深々と被るハデスの黒髪からは、帽子が僅に飛び出ていた。

無表情の王は、この一方的な戦況に退屈をしているのか、目に見えた結果に喜びが見えないのか、彼はただ、冷たく言い放った。

「私を殺せば、事態は確実に逆転出来ただろうが、私を殺すには心臓を直接狙わなければならない。しかし、私の心臓は現在、この世にはない。今、私の心臓はパンドラの中にある。つまり、私を殺せない。この事態から逆転もない。あるのは敗北のみだ。さて、今の気持ちは何だ?殺せない相手に殺される気分はどうだ?」

その問いかけに、答えるすべがないのか、ビショップは返事を返さなかった。

「ふん、無愛想だな」

人のことが言えない彼だが、そもそも顔のない敵に期待はしていなかった。

特にハデス自身、指示を出した訳ではないが、アザゼル、サタン、ベリアルが動き出し、最後のとどめをさした。

アザゼルに頭部分を持っていかれ、サタンは両腕をハサミのようにして胴体を切り刻み、ベリアルはそれを踏んづけた。

しかし、これで終わったかのように思われたが、ビショップの特性は偽天使を生産するだけではなかった。ビショップもまた、不死身の特性があった。

ビショップはみるみるうちに再生し、奪われた頭部も見事、再生してみせた。

これにはハデスの王も、

「ほぉ」

少しは期待するのだった。

ビショップは再び偽天使を生み出し、その偽天使はなんとビショップへと変化した。ビショップが一つ二つと増殖しだした。そして、偽天使からビショップになった敵は、そこで偽天使を再び生み出し、またビショップへと変化し、あっという間にビショップの山が出来た。

「これは……なんとも馬鹿馬鹿しいが、死なない敵がこうも増殖するとは、中々面白くなってきたじゃないか」

さっきまでの無表情から少し、楽しそうな顔へと変わっていた。



ーーーーーー



場所変わって南の方角。そこにあるのは密林に満ちた自然の大地。そこに一人の老人がいた。もう一度言おう。一人だ。つまり、その地には老人以外に人はいないということになる。

自然の大地では、環境が厳しく人が住み着けるような生易しい場所ではなかった。恐竜、猛毒の虫、人間サイズでも丸のみしてしまう植物(人喰い植物)、その他肉食動物が食物連鎖の激しい争いを日々、行われる。そんな大地である。

そんな所に、当然国は存在しないが、この世界では珍しい人間の言語を話す動物がいた。その知的な動物の集落の主は、以外にもたった一人の老人だった。

歳は80を越えた老いぼれは、それでも他の王同様の力を所持する、僅かな人類の一人であった。

「この森に、来訪者とは珍しい」

パイプを口にくわえ、麦わら帽子を被り、杖をついて歩く老人は、背の高い来訪者を細目で見ていた。

森をかけ分けて侵入してきた、チェスでいうナイトのような巨大な駒が、ずしずしと進んで来ているのが見える。

「森を壊すなど、愚かなことよ。森に住む、肉食共が怒り狂ってるわい」

遠くから、獣達の雄叫びやうなり声が先程から森中に、響きわたっていた。

老人は、古びた手帳を取りだし、筆を取る。

老人の名はカオス(異名)で、力は『混沌』

混沌とは、混ざり合うことで、世界が天と地と別れる前の混ざり合っていた世界を意味する。その特性は、ハッキリしない、安定しないなどがあるが、老人が持つ力とは、バランスの乱れである。

例えば、彼が手帳に記した場合、その事柄が現実になったり、又は、記載したことと真逆の事が起きたりと力は絶大だが、コントロールが効かないという反面がある。

復活を望んだが、真逆の崩壊が起きてしまうなど、一歩間違えれば大惨事になりかねない。が、不死身特性や、無敵効果等々を持つ他の各王のような敵に、対抗する上では、コントロールさえ出来れば間違いなく頂点に立てる力ではあった。

「さぁ、吉と出るか、凶と出るか」

とんでもない事を言いながら、全てを運に任せた老人は、結果を見届けるかのように眼鏡をかけだした。


ボン!


「おや、吉と出ましたか。良かった、良かった。危うく、私が消える羽目でしたよ」


その、老人の持つ手帳には、敵の消滅と書かれてあった。



ーーーーーー



そして、海の小国、広大な陸を持つ大国、あの世にもっとも近い帝国、厳しい生存競争の密林地帯と、他にも空高くに浮かぶ陸『天空城』があり、次々に王がいる国に謎の敵が現れる中、一人だけ例外がいた。

それが、ウサギのエプロンして、小さな小屋の中で鼻歌歌いながら料理している16の歳の少女。彼女もまた、王の力を持つ者である。

何故、国を持たず、領土もない彼女が、王だけが持つとされる力を所持しているのか。それは、のちの話であるが、他の力を所持する王達は、その理由を知っていた。その理由は、彼女の誕生にあった。

彼女の名は天羽照。何故か、この世界の神の名がつく異名はなく、能力もかなり特殊。彼女の絶対的力は『リセット&スタート』で、能力は世界をリセットし、新しく一から作り変えるというものだった。

外敵から守る為にあるとされた王の力だったが、彼女の能力では、世界を作り変えるというのだから、当然、この世界の住人も産まれてこなかったことになってしまうのだ。国も文化も無くなり、新しくスタートした時、また作り変える前の世界と同じように、時が流れるわけでもない。全く違った世界が誕生してしまうというものだったのだ。

しかし、その能力を行使する当の本人だけは、世界を作り変えても、変わらぬ姿のまま、能力と記憶も引き継がれるという。

各王達の中では、この世界の誕生前に何度か能力を使ったのではないかという噂がたっていた。その決め手として、彼女はこの世界にはない技術を熟知していた。その一つが、スマホとかいう携帯だった。


ともあれ……



各王のいるこの世界に、突如現れたワープ。そこから現れた謎の敵。そんな敵をびくともしない最強の力を持つ王。それがしに、侵略者は駆逐され、事態は終息されると思われていた。



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