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アルテリア魔法学校で最下位合格した男の話  作者: 霧雨
第一章 入学編

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18/199

#17 1-C 風鈴 夢威

すばると握手を交わした直後。


「――ん?」


気配を感じて振り返る。


そこに、ひょこっと顔を出していた少女がいた。


深緑ショート。

猫耳みたいにふわっと跳ねた髪。

眠そうな半目。


1-Cの制服。俺は思わず聞く。


「……え? 誰?」


少女はぼんやり二人を見た後、ぽつりと呟いた。


「……いい匂い……したから、来た」


「匂い?」


昴が眉を上げる。


少女は胸に手を当てて、くんくんと小さく鼻を鳴らす。


「んー……新しい風の匂い。混ざり合う感じ。

 ……なんか、面白そうだった」


昴と顔を見合わせた。


「面白そうってなんだ…?」

「ていうか、どうやって気づいたんだ?」


少女は気にせず、近くの段差にちょこんと腰かける。


「ふあ……眠い……。

 ねぇ、何してたの、二人とも」


これには俺が答える。


「えーっと……部活作ろうとしててさ。

 “合体魔法研究部がったいまほうけんきゅうぶ”って名前で」


少女の目が一瞬だけぱちんと開く。


眠気の裏に、ほんの刹那だけ鋭さが光った。


「……合体魔法……?」


昴が軽く説明する。


「属性を合わせて、新しい魔法を作る研究部」


少女は足をぶらぶらさせながら聞いていたが――

ぽそっと呟いた。


「……ふーん……いいかも」


「え?」


「風ってさ、ひとりで吹くより……

 何かと混ざった時の方が、強かったり……柔らかったり……楽しかったりするんだよ」


その言い回しは、

ただの直感なのか、それとも才能なのか。


俺は自然と問いかけていた。


「……君、1-C?」


「うん。風鈴ふうりん 夢威むいっていうの。

 むい、でいいよ」


にこっと笑う。

どこかふわっとしているが、芯がないわけじゃない。


昴が腕を組む。


「夢威って……今、部活探してるのか?」


「探してないよ。眠いし」


「そ、そうか……」


「でも……ここ、なんか落ち着く。

 風が集まってきてるみたいで。

 ……合体魔法、見てみたい……かも」


俺と昴の間に、妙な沈黙が落ちた。


 なんだこの子……

 勧誘してないのに興味示されたぞ……


夢威は立ち上がり、ぽんぽんと制服の埃を払う。


「じゃ、また来るね。

 風が呼んだら」


そう言って本当に“風みたいに”去っていった。


残されたのは、昴と俺の二人だけ。


「……なぁ昴。

   今の子、なんだったんだ?」


「わかんねぇけど……

   ……なんか、すげぇの来そうじゃない?」


「……確かに」


二人は小さく笑った。


合体魔法研究部は、この日ほんの少しだけ“広がった”。


まだ正式加入じゃない。

まだ誰も、彼女の才覚を知らない。


でも確実に――

風鈴夢威という“風”は、

この部に吹き込まれ始めていた。

登場人物紹介


風鈴ふうりん 夢威むい

【性別】女

【適性】風

【総合順位】64位/150人

【学科】100位/150人

【実技】31位/150人

【髪】深緑色ショート

【瞳】深緑色

直感で魔法を使う天才肌。

猫耳のようなくせ毛が特徴で、のんびりした性格。

普段は眠そうだったり、お腹がすいていたりすることが多い。

物静かだが妙に人気。気になったことには何でも首を突っ込みたがる。

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