#14 未知数
「俺も色んな属性を研究したが……あれは“風の逆再生”でも、“影の伸縮”でもねぇ。
概念ごと揺れてる」
「……揺れてるって言われても、俺もどう説明していいか……」
「いいんだよ。できるやつほど、最初は説明できねぇ。
――ただな」
リュウ校長は指で軽く空間をなぞる。
その仕草は観察者というより、ただの好奇心の化け物だ。
「お前の魔力は、暴走じゃなく“迷ってる”感じだった。
出るべき道を自分で探してる最中みてぇな。
正直、俺にも完全には読めねぇ」
胸の奥がざわつく。
未知の力を、未知のまま肯定されたような奇妙な感覚。
「…時属性のことは全然分からないけど…少し安心した」
俺は思わず本音をこぼす。
「校長が全部わかってたら…本当に人間離れしてるんじゃないかって」
「はっはっは! 俺は天才なんて言われてるが万能じゃねぇ。
わかんねぇから面白いんだろ」
それまで黙って我慢していた沙羅先生が咳払いして一歩前に出る。
「校長。授業の邪魔です」
「わぁ、こえぇ! はいはい、帰りますよ。続けてくれ、沙羅」
手をひらひら振りながら、リュウ校長は本当にただ“面白いものを見にきた子供”のように去っていった。
隣で瑞翔がぼそっと呟く。
「……なんか、校長にも分からないってなると、逆に安心するな」
「だよな」
俺は、胸のざわめきをゆっくり落ち着けた。




