ストーカー(ホラー)
ミツコは悩んでいた。
数日前から視線を感じたり、家の物の配置が変わっている。そんな不気味な現象に。
何度も警察に訴えようかと思ったが、ただの思い過ごしで行くのも恥ずかしい。
しかし、不気味な現象は毎日のように起きて、ミツコの精神を確実に蝕んでいた。
その日は夜が遅くなって、ミツコは道を歩いていた。珍しく感じない視線にほっとして顔を上げると、自分の家の電気が付いているのが見えた。
胸騒ぎがしてミツコは携帯を出す。
「大丈夫ですか?」
ふと声がして、ミツコは勢いよく振り向いた。
そこにいたのは近所に住むであろう男子高校生だった。帰宅途中なのだろう。自転車を押している。
「……あ、いえ……」
「……あれ? 大森さん? 家に電気が付いているから、てっきり帰ったとばかりに……」
ミツコは目を伏せて事情を説明する。すると高校生は少し考えた後に口を開いた。
「だったら僕の家に行きません?」
ミツコは少し考える。いくらなんでも大人が高校生の家に住むことは問題がある気がするが。いやでも、今帰ってストーカーと鉢合わせをしたくない。
少し考えて、ミツコは高校生の提案を呑むことにした。
月の明かりが彼の顔を照らす。
ミツコはそれを見て声を失った。
高校生だと思っていたそれは、明らかに皺がある中年男性だったからだ。それに――彼の持っている鞄は、昔に捨てたはずのミツコの学生鞄だった。
しばらく土曜日のみの更新になります。




