お手紙
とある小さな女の子は、お小遣いを貯めてレターセットを買った。ピンク色のアニメキャラが描かれた、いかにも幼児向けのレターセット。
女の子は家に着くや否や、すぐにレターセットを開けて便箋に何かを書き始めた。
数日後、とある郵便局で一通の手紙が届く。その手紙の宛先は神様だった。
「へぇ。お母さんにマフラー買いたいって内容か」
郵便局員は呟きながらその手紙を見る。おそらくシングルマザーの家なのだろう。他の同僚に話を聞くと、送り主である女の子の父親は数年前に死んでいるという。
女手一つの育児は大変だろうな、と郵便局員は思った。おそらく女の子もそれを知って、こんな手紙を書いたのだろう。
ここは協力しよう。
彼は頷くと、手紙をポケットの中にしまった。
数日後、「神様」から女の子の元に一つの小包が届く。女の子が中を開けると、そこには赤色のマフラーが二つ、入っていた。一つは子供用の小さなマフラーである。
女の子は母親に神様からの贈り物を見せた。母親は良かったねと言いながら女の子に微笑む。女の子は母親にマフラーと手紙を渡した。
「お母さん、いつもありがとう」
母親はこちらこそ、と言って女の子にマフラーを着けた。
それから冬の季節になると、赤いマフラーを着けた親子を見ることが、郵便局員たちにとってのささやかな楽しみになった。




