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第10話 経過

短いです(汗

次回はもうちょっと長くなる予定ですので><

 ファリスはひたすらムカムカしている気持ちでハシェンドに向かっていた。彼の乗っている馬もそんな彼の気持ちは感じ取っているのか、少しビクビクしている。

 そんな王と馬の様子を見て、隣を歩いていたディナルは溜息をついた。自分とは反対側の隣にいるルドに視線をやると、彼も呆れた表情をしていた。



「陛下。馬が怖がってますよ。もう少し国王らしい堂々とした威勢は見せつけられないんですかね」

「黙れ。妻がいなくて堂々としていられるか」

「....それは即ち王妃がいなければ何もできないと仰っているんですね」

「........お前、さっきからなんで疑問形じゃなくて断定なんだ」

「そうやってはぐらかすんですね。そうなんですね。分かりました」

「.......」



 ディナルの言葉にルドは思わずプッと吹き出してしまった。出来るだけ笑いをこらえているのが分かるのだが、こちらに背をむけているため肩が小刻みに震えているのが分かる。それでも隣で遠慮なく爆笑しているスティラよりは大人だといおう。

 ファリスは軽く溜息をついた。

 まあ、確かにこのままではいけない。ラキオス王国の国王として、こうも情けない姿を表にさらしていはいけないとは分かっている。

 ファリスは気を引き締めると、腹を蹴って馬の速度をあげた。

 前にクレアの姿がないのは、やはり寂しかった。









「.....で、あいつなんで来ないの? 初日に来た時以降ちっとも来てないじゃない。食事も違う人に運ばせてるし」

「恐らく陛下がハシェンドにつくまで待っているつもりなのでしょう」

「はぁ!? あと二日もあるじゃない! その間ずっと待ってろってこと!?」

「そういうことになるんじゃないでしょうか」



 何それ。いやマジで何それ。ないでしょ。

 私達だって暇じゃないし。とっととルドルフと接触を図る方法はないものだろうか....



「騒ぎを起こしたら入って来るかな」

「騒ぎを起こしたらもっと頑丈な牢獄に放り込まれます」

「いやだから隙をついて逃亡みたいな....」



 私の言葉にロードはチラっと私を見た。



「言っておきますが、この中で能力的に有利なのはクレア様ですよ。俺の能力は攻撃的じゃないから戦いでは役に立たないですし」

「分かってるわよ。そんなの百も承知よ」

「....逃げ切れる自信はあるんですか?」

「うっ...」



 そう言われてしまうとはっきりと自信があるとは言えない。

 私は生まれた頃から戦いとかに巻き込まれてたわけじゃないし。その証拠に能力の扱いに関しては未熟。自分の機嫌で能力の強さは自然と変わってしまうけれど、意図的につかうとなれば能力自体が強くなければ意味がない。

 私は小さい頃から平和な状態で育てられたし、ファリスと結婚してからも王妃という立場上、戦いに介入などすることはない。はっきり言ってしまうとロードに全てを任せたい所なんだけど、相手が攻撃的な能力を持っているとなるとやっぱり私の能力が絶対に必要となるのかな...

 私の困惑してる様子を見て、ロードはふっと微笑んだ。



「いいんですよ。クレア様は守られている立場なんですから能力の扱いが未熟なのは当たり前です。ここは、ルドルフが来るまで大人しく待っていることにしましょう。俺達を殺すことはきっとありません」

「....分かった。なんか、王妃なのに全然役に立ってなくてごめんね...」



 本当にそう思う。ファリスは国王っていう立場に相応しい振る舞いをいつもして、政務だって一生懸命やっているのに、私は王妃という立場にも関わらず何もせずに座っているだけ。

 政務の仕事を時々することだってあるけど、政治的な関心がないから難しいことはさっぱり分かんないし....

 そんな私の言葉と様子を見て、ロードは耐えきれないというように笑いを零した。私が少し不機嫌そうに見ると、笑いながらもすみませんと謝った。

 そして口を開けた。



「いいんですよ。クレア様はそのままで。王妃という者は、守られて強くなるんですから」




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