87 「この賭けた命、あんたが死んだらどうすれば良いんだ。責任をもって預かっていろ!」
丈は1人でレナード/ADAMAS、カメレオンライフに戦いを挑んだ。それを迎え撃つレナード/ADAMAS。しかし、丈の策略により空中都市ユートピアの動力源であるコアシステムを停止させていた。
動力源であるコアシステムが止まれば当然空中に浮かんでいるユートピアはゆっくり地上へ墜落していくのである。
「貴様…!」
レナード/ADAMASは建物の柱に捕まり、バランスが崩れる姿勢を立て直した。鳴り響くアラート音が耳に残る。徐々にスピードを上げ、ユートピアが墜落していくのが感覚で分かる。だが、レナード/ADAMASはそこまで悲観的にはなっていなかった。なぜなら_
ゴゴゴ スピードを上げて墜落していたユートピアの速度が落ちていく。
「スピードが…遅くなった」
丈は少し驚いた。レナード/ADAMASは立ち上がり、本来の落ち着きを取り戻していた。
「非常用の予備のコアが作動している。死なばもろともとは行かなかったな」
「ちっ!だが、メインは停止させている。たかが予備だ、今のうちだけだ」
「そうだ、速度は落ちているが少しずつ地上への墜落のカウントダウンは進んでいる」
「なぜ、そんなに落ち着いてるんだ…」
丈は先ほどまで慌てていたレナード/ADAMASが別人のように変わり、反応が思っていたのと異なっていた。
「焦ってはいるさ、だが、予備とはいえコアシステムだ。それさえあればお前など墜落前に捻り潰せる。そのあとどうするか考えるさ」
「なるほどね…」
一方、地上のジョージやデイビス達がいる避難所では_
「出発の準備は?」
「そろそろ完了です!武器はどうしますか!?」
「ありったけ持っていくぞ!加勢が足手まといではいけない!」
「はい!」
続々輸送機に入っていくレジスタンスメンバー。アリス、ヨル等も搭乗していく。アリスは入り口で後ろを振り返る。
「デイビス…本当に行かないつもりなの…」
振り返る後ろにはデイビスの姿はなかった。今まで信じていたキャプテンが本人も知らなかったと言え、影武者であったことに驚いていることは理解できる。アリスやヨルも同様である。
すると、周りが騒がしくなった。気づいたアリスは輸送機から降りた。
「どうしたの?」
レジスタンスメンバーが慌てた様子で双眼鏡をアリスに手渡した。
「そ、それが…!おそらくユートピアが…」
「え?」
アリスは双眼鏡を受け取り、レジスタンスメンバーが指差す方を覗いた。そこには衝撃の光景が映りこんでいた。
「うそ…あれはユートピアじゃない!まさか墜落している?」
事情を聞きつけたジョージも双眼鏡で確認した。
「なんて事だ…ここからどれくらいの距離だ?」
輸送機の操縦士が測定器を使い測った。
「だいたい5キロほどです!」
「とりあえずそこまで向かうぞ!あいつ(丈)が戦っているはずだ」
アリスは再び輸送機に乗り込み、墜落予想地点まで向かうことになった。
崩れる建物の間をすり抜けながら攻撃を躱していく丈。余裕の歩みで衝撃波を放つレナード/ADAMAS。
「逃げてばかりではないか、さっきまでの威勢がまるで嘘のようだ」
「くそっ、余裕ぶっこきやがって!」
丈は、乱れる息を整えながら物陰からレナード/ADAMASの位置を把握した。
「まあ、逃げようが逃げまいがどうせ君は死ぬ。ADAMASの力があれば墜落でのダメージはない。一方君は裸も同然だ」
丈は横目でまわりをみた。さっきより地上との距離が縮まっていた。残り数分で墜落する。丈は、どうにかして相討ちする手立てを考えていた。
しかし、今の装備ではレナード/ADAMASを攻略するのは困難を極めていた。
「さぁ、選ぶのだ。私の手で死ぬか、叩きつけられて死ぬか」
「俺が死ぬときはお前も一緒に死ぬんだよ…!」
「そんな選択肢は用意していない」
レナード/ADAMASは再び攻撃を始めた。
「レナードはん、手伝おうか?」
戻ってきたカメレオンライフが姿を現した。
「いや、手を出すな。奴は私が葬る」
「了解了解、しかしもう落ちるなここは」
「今後の計画はもう一度考えるさ」
「これで終わりだ」
レナード/ADAMASが手を掲げ、エネルギー弾を作り出した。丈は逃げ場がなく、もう終わりだと防御体制をとった。すると、どこからか銃声が聞こえた。
「なんだ?」
レナード/ADAMASとカメレオンライフの周りに撒き散らすように銃弾の雨のように降り注いだ。2人にとってはダメージは皆無に近いが、弾幕ができて視界が遮られた。
「まさか…」
弾幕の煙が落ちつき、丈の方を見るが姿が消えていた。
丈は強く閉じていた目を開けた。開けた時は視界がぼやけていた。そこには自分を抱えていた人がいるがよく見えなかった。
「だれだ?」
丈は死んだと錯覚していた。しかし、その瞬間左頬に強い衝撃を受けた。殴られたのだと後で気づいた。
そのお陰でぼやけた視界は戻った。目の前にいたのは目に涙を溜めたアリスであった。
「1人でなにやってんのさ!…キャプテン!!」
「ア、アリス?」
もう一発殴られた。
「ご、ごめん。殴らないで」
アリスは、みたび拳を振り上げていた。
「アリスさん!もうその辺にしましょう!」
制止に入ったのはヨル、何かホッとした。
「後で事態が落ちついたら、思う存分殴りましょう!」
「え?」
丈は一瞬緩んだ身体が、再び硬直したのがわかった。
ヨルとアリスは丈の脇を抱え起こした。
「1人で行くなんて水くさいです。私たちは部隊ではないんですか?」
ヨルのプク顔で説教をくらった。
「だが…知ってるだろ?俺はお前達のキャプテンじゃ…」
俯く丈、その背後で呼び掛ける声がした。
「そうだ、偽物のキャプテンだ」
振り返るとそこにはデイビスがいた。
「デイビス…」
「裏切られた気分で一杯だ。だが、俺はアイディール部隊のキャプテンに着いていっていたわけではない!あんたという人物に信頼を寄せ、あんたになら命を預け賭けたいと思ったから今まで着いてきたんだ」
デイビスと丈は、これまでの思い出をフラッシュバックして思い出していた。2人の目頭が熱くなり溢さないように必死だった。
「この賭けた命、あんたが死んだらどうすれば良いんだ。責任をもって預かっていろ!」
「デイビス…!!」
ありがとうございました。
本編フィナーレは近いです!




