86 「勿論だ!生きて相対してれば無限に勝算はある!」
丈は、ジョージ達がいる避難所から輸送機で離陸し、たった1人でレナード、カメレオンライフ、キマイラ・ライフのいる空中都市ユートピアへ向かった。
それを聞いたヨル、アリスはすぐに丈のもとへ向かおうと準備を始めた。
しかし、デイビスは気持ちの整理がついておらず揺れ動いていた。
丈がユートピアに着陸する少し前_。
「静かだ」
水平線を眺め呟くレナード。
「レナードはんの目的が果たされるのも後少しやなぁ」
カメレオンライフに一言返事をして目を閉じた。
「ああ、これは私しか成し遂げられないことだ。"理想郷の一雫"で地上にいる人類を滅ぼしリセットする」
「壮大やなぁ」
「もはや私の理想を叶えるのに必要な人材はいない。反乱因子はいずれ牙をむく。今日で終わりにしようか人類」
レナードはまるで今ではなく、未来を見ているかのように話した。
その時、アラートが鳴り響いた。"何か"がユートピアに近づいてきているサインであった。
「なんや?」
「何かがこちらに接近しているようだ、反乱因子だろう。撃ち落とせ」
レナードの合図でユートピアの迎撃砲が接近物に標準を合わせた。
迎撃砲の轟音と共に撃ち落とすためにエネルギー弾が発射された。しかし、なかなか撃ち落とせず手こずっていた。
「いつまでかかっている?一機の輸送機だけだろう」
「なんや、着陸しそうやない」
「仕方ない、直々に手を下すか」
「どこへ向かうんや?乗り込んできた輩は」
「あそこは…訓練施設か」
レナードは侵入者の足取りを追っていた。
「輸送機を乗り捨て、我々の所ではなく一直線にそこへ向かうか…まさかな」
「ん?」
「お前はここで外からの追撃がないか監視をしていろ」
レナードはカメレオンライフを置いて自ら侵入者のもとへ赴いた。
丈は崩れた建物の廊下を走りながら駆け抜けていた。
「くそ、ここら辺は崩れて道が分かりづらいな…でもやることはやった!後はアイツらと共に…!」
廊下に散らばった瓦礫の隙間を縫うように進み外へ出ることができた。周りを見渡しある目的地に行こうとしていた。すると、死角から
「おやおや、君だったか」
丈は知っている声に振り返り睨んだ。因縁の相手のレナードが立っていた。
「レナード…!」
「凄い形相じゃないか、それになんだねその服装は」
レナードが半笑いしながら丈を見た。丈が着ていた戦闘服は『赤』『黒』『緑』『黄』『白』の色の入った奇抜な格好であった。丈は目を閉じ胸部分を握った。
「アイビー…今がいざって時だよな…!!」
今にも泣きそうな感情を抑え、丈は昔のことを思い出した。丈にとっての初戦闘(第1章 再誕編 5話初戦闘より参照)でアイビーが丈のために作った戦闘服であった。
「…ヒーロー見参!」
「何をさっきから独り言を」
レナードが呆れたように攻撃を仕掛けようと腕を上げた。その瞬間、丈はまるで消えたように目の前から姿を消した。
「なにっ…!?」
消えた丈を探そうと目線を外した瞬間、目前に拳が迫っていた。咄嗟に両腕で防御したが、威力があり吹き飛ばされ建物にぶつかった。
「くっ…!侮ったか」
瓦礫から這い上がり頭を振り、ADAMASに変身しようとしたをしかし、既に丈は頭上に蹴りを入れる構えまできていた。さっきの攻撃で逆に冷静になったか、この攻撃は少ない動きで躱した。
「ちっ!」
その後も一矢乱れぬ速さで近接戦に持ち込んだ。
「この距離を保てばお前はADAMASになるタイミングがないはず!」
「ほぅ、考えたな」
「同じ過ちは繰り返さない…!何でもな!」
レナードは丈のパンチを受け止め、連打の流れを強引に断ち切った。
「舐められたものだ、ADAMASがなければ勝算があると思ったか」
「勿論だ!生きて相対してれば無限に勝算はある!」
(どういうことだ?生きた屍のようになってた奴がなぜここまで…?ここには生体反応はこいつしかない、援軍も望めぬ状況のはず)
レナードは丈の変貌ぶりに内心焦りがあった。丈は唯一に近いほど相性が悪い。レナードのユニークは、ネガティブフィールドを展開し触れた相手のユニークを無効化すること。丈はユニークを持っておらず不発に終わる。それに、ADAMASになる隙を与えず、近接で渡り合えるのは現状は丈のみであった。
レナードの目的を果たすために邪魔になるのが丈であり、その可能性も考え"真実"を教えて戦力外に押しやった。はずだった_
(待て、慌てるな…ジョージと組み手していたことを思い出せ)
レナードは一息つき、少しずつ丈の攻撃をいなし始めた。的確に防御をしつつ開いた腹部に強烈な一撃をいれた。
「ぐっ!!」
その一撃に耐えれず、丈は片膝をついた。
「はぁ!はぁ!はぁ!」
「はぁ!はぁ…これで終わりだ」
レナードは丈を蹴りあげ距離を開けた。そして、ADAMASに変身をした。
『Aion Erini ADAMAS』
「この絶望的な状況でもまだ!勝算があるか!?」
丈は腹部を押さえ歯を食いしばり起き上がった。
「ああ!言ったろ?生きていれば無限に勝算があると!」
その瞬間、空中都市ユートピアが大地震にでもあったように揺れた。レナードはバランスを崩しながらも立っていることができた。丈は建物に捕まり耐えた。
「どういうことだ!?何が起こっている!?」
その時、レナードは何かを察したように丈をみた。丈は不敵な笑みを浮かべていた。
「吠えずらかきやがれ…!」
「何をした!うっ…!」
レナードもといADAMASに異変が起きはじめた。ADAMASの変身状態を維持できなくなっていた。
「同じ過ちはしない…!何でもその姿にはユートピアのコアシステムが必須って言うじゃないか」
「……!?」
「訓練施設を越えた先に中枢部がある。そこにコアシステムがあることは前から知っていた、それにコアシステムを無効化すればこのユートピアも機能を失い墜落するってこともな」
「貴様っ…!!」
「さぁ、お前の野望と共に一緒に死のうか!」
ありがとうございました。
丈の覚悟が伝わる回でした。途中分からないところがあると思うので見返してみてください。




