82 「何で…何で俺なんかのために…!!何で…」
丈/キャプテン 主人公
デイビス、アイビー、アリス、ヨル アイディール部隊メンバー
ADAMAS/レナード 敵
「みなさん!こっちです!慌てずに!」
「そこ押さないで!ゆっくり!」
アリスとヨルは、ユートピアの民を輸送機へ乗せるための避難誘導をしていた。ユートピアの民は突然のことで理解が追いついていない者ばかりである。
だが、今、現実に起こっていることを考えれば逃げる他ないと行動をしていた。巨大な獣型ライフ(キマイラ・ライフ)とADAMAS/レナードが暴れ、アイディール部隊が応戦している状態であった。
次々と輸送機に乗り込み順番にユートピアを後にした。
「これでどれだけの人が避難できてる!?」
アリスは声が飛び交う中、近くにいたヨルに聞いた。ヨルは、目を閉じて周囲の状況把握をした。ヨルはエコーロケーションを用いて、物や人の位置の把握が出来るユニークを持っていた。
「まだあそこの建物の中に人がいます!」
ヨルが建物を指差した。それをみたアリスは、
「わかった!あたしが誘導してくる!ここは頼んだ!」
「はい!」
そう言い、アリスは瞬間移動を行いその場から消えた。
「ヨル!」
「アイビーさん!」
ヨルは、上から声が聞こえ見るとアイビーが民を抱えていた。地面へ降ろして輸送機へ行くように伝えた。
「キャプテンとデイビスさんは?」
「デイビスはレナードと交戦中!キャプテンは…なんかずっとぐったりしてて、戦えそうにもない!これからキャプテンを連れてくる!」
「何があったんでしょう…わかりました!私とアリスさんも皆さんを送り出せたら合流します!」
アイビーは再び飛び立ち、丈とデイビスの元へ向かった。
丈とデイビス、ADAMAS/レナード
「はぁ!はぁ!はぁ!…」
デイビスは息が上がり、片ひざをついていた。その眼前には悠々と立っていたADAMAS/レナード。
「くそっ…だいぶ厄介な奴が敵になったな…」
「君にとって私は相性が良くない、どれだけ物量で押しても敵わないよ諦めなさい」
2人の周りにはダイヤモンドがゴロゴロと転がっていた。ADAMASの能力で有機物 無機物関係なく触れたものをダイヤモンドに変化させることが出来き、空中都市ユートピアのコアシステムからエネルギーを供給されている。
レナードのユニークはユニークの無効化であり、ネガティブフィールドを展開することで触れればユニークを行使できなくなる。
さらに、ADAMASはキマイラ・ライフとの融合をしているため、キマイラ・ライフの攻撃力、俊敏力、飛行力を兼ね備えた化け物になっている。
「諦めろ?はぁはぁ…それは俺自身が決めることだ…!」
「頑張るねぇ、そこの役に立たないキャプテンとは大違いだ」
「キャプテンをバカにするな!侮辱は絶対許さん!」
キャプテンを罵られたことで、デイビスは血相を変え怒りを露にした。その様子にADAMAS/レナードは鼻で笑った。
「いい忠誠心だねぇ、そうそう君たちアイディール部隊に言ってないことがあるんだ」
「言ってないこと?」
ADAMAS/レナードは丈を指差した。
「そこにいる君たちが何年も呼んでいたキャプテンは偽物なんだ、ずっと騙されていたんだよ」
悪魔の囁きにも聞こえる声でデイビスを動揺させた。
「そんなわけないだろっ!!」
「なら、聞くといい。本人に」
デイビスは丈に目線をうつした。
「キャプテン!レナードがなにか言っている、さっさと一緒に倒そう!」
丈の虚ろな目は一点を見つめていた。デイビスの声に反応し、重い口を動かした。
「全て事実だ…俺は君たちのキャプテンではない…偽物だ、騙していたんだ…すまない」
デイビスは何かの冗談だろうと半笑いで否定した。
「なに言ってるんだよ、嘘だろ!?いつものようなキャプ…」
デイビスは丈が嘘を言っていないことに気づき始めた。脳裏には復活した頃からの丈との記憶が走馬灯のように流れ始めた。それが全て嘘だと思ったら無意識に涙があふれでていた。
「ようやく理解できたか?」
「嘘だ…!嘘だ!」
ADAMAS/レナードは両手に力を込めた。すると、身体からキマイラ・ライフが分離し始めた。
「私が葬ってやろう」
キマイラ・ライフは叫びながら上空へ上がった。
「せっかくだ、君は噛み砕いてあげよう」
丈へ向かってキマイラ・ライフは勢いをつけて、大きな口を開け加速した。丈は無抵抗でそれを受け入れていた。
「キャプテン!!危ない!」
どこからか声が聞こえた。キマイラ・ライフは噛みつき空を飛び回った。しかし、丈は元の位置から離れた所に移動していた。
その代わりに元の場所に落ちていたのはアイビーのユニーク補助のブースターであった。
「アイ、ビー?」
「うわぁぁあ!!」
キマイラ・ライフは何度も咀嚼をした。何度も。その度に流血が空から降ってきた。
「アイビー!!!」
「ぁあああ!」
アイビーは最後の力を振り絞り身体に付けていた爆弾をキマイラ・ライフの口の中に投げ入れた。しかし、爆発の衝撃で怯む動作をした。
キマイラ・ライフはアイビーを丈の目の前に吐き捨てた。目の前には全身血まみれになりうずくまっているアイビーがいた。丈は咄嗟に駆け寄った。
「アイビー!?アイビー!大丈夫か!?」
身体は既に動かせない状態で、口と目だけ必死に動かした。
「へっ…あんまりにもキャプテンが不甲斐ないからな…」
「何で…何で俺なんかのために…!!何で…」
「俺は…キャプテンのような皆を…助けられるヒーローになりたいんだ、何も後悔はしていないさ」
「俺は…俺は…!」
「仇…取ってくれるんだろ…?」
次第に焦点が合わなくなり、遠くを見ていた。
「アイビー!!!ああああああ!!!!」
「アイビー!しっかりしろ!おい!こっち見ろ!」
デイビスが遅れて駆けつけた。だが、アイビーはデイビスの声かけには、反応なく動かなくなっていた。
ありがとうございました。
デイビスにも丈の正体が明かされてしまいました。
そしてアイビーは…ここから少し確執が生まれそうです




