79 互いの気持ち
主人公/キャプテン 小西 丈
過去編ヒロイン 西条 ゆきな
「西条さん、ここ何ヵ月か元気良いよね」
「え?そうですか?」
ゆきなは職場の研究所で先輩に声をかけられた。
「うん、見た目の変化もあるけど返事とか話し方とか」
「自分だと全然分からないですよ~」
ゆきなは以前まではいわゆる陰キャや内気のような印象であった。だが、丈と出会ってから早、数ヶ月の歳月が経った。
「彼氏、できた?」
その言葉に、丈の顔が浮かび顔が赤く火照った。
「い、いやいや!いないですよ!」
ゆきなは顔の前で手をブンブンと音が聞こえる勢いで振った。その様子に先輩は笑った。
「なら、好きな人が出来た感じかな?捕まえておくなら早くしないと他のライバルに盗られちゃうからね」
ゆきなは顔が強ばり硬直してしまった。先輩が去った後はずっとその言葉が頭から離れなかった。ゆきなは29歳で、結婚等を考えるとそろそろの年齢に達してきている。昨今晩婚化と言うが、周りは普通に20代前半には結婚して子どもを授かる家庭が多い。
ゆきなは結婚願望は無く過ごしてきた。だが、丈と関わるようになってからは、見ないようにしてきたことがちらつくようになった。
そう、ゆきなは丈のことが好きになっていた。前から感じていたが、丈が自分に振り向くはずがない、友達や遊ぶくらいの感覚であると、悲観的にゆきなは考えていた。
このままズルズルといくのは保身的にはアリ、将来を考えればナシ。自分の想いを伝えて今の関係を崩すのはリスクが大きいと頭を抱え、もはや仕事が手につかない。
そうこうしている内に上司がゆきなに声をかけた。
「西条さん?なにしてるの?」
「あえ!?あ!すみません!」
「まあいいよ、それより人体保存の立候補者は募れてる?」
乱れた髪を急いで手で整え、深刻そうな顔で答えた。
「いえ、それが全然…」
「そう、まあ立候補が居なくて凍結になるとかはないと思うけど、1人くらいはいないとね…」
「はい…」
ゆきなは溜め息をつき、ふとスマホを見た。丈からメッセージが届いていた。
「最近の女の子の調子どうよ?」
「ん?」
丈は勤務中、同期の健太に声をかけられた。
「ん?じゃないよ、最近は全然遊んだ話聞かないから心配してんのに」
「なに心配してるんだよ、遊んでないよ」
「なに…大丈夫か?病気か?」
「バカやろう」
苦笑いをしながら答えた丈は、健太の目をみて伝えた。
「おれ…多分好きな人が出来た」
「!!??まじか…すげーじゃん」
丈は照れて隠すように健太とは反対の方を見た。
「付き合う予定は?」
「気持ちはあるけど、知り合ってから半年近く経ってるし遅い気もしてな~」
「時期なんて関係ねぇよ、それでも男か!?」
「ありがとう、でも健太に言われても何も響かないんだよなぁ」
「え!?」
丈は休憩中にゆきなにメッセージを入れた。
ゆきなは少ししてから気づき確認をした。内容は『今度の土曜日空いてる?夜景一緒にみない?』というもの
ゆきなは行く旨の返信をした。2人して決意を固めていた。この日に自分の気持ちを伝えようと。
ありがとうございました。
次回がようやく(現実時間の経過が)長かった過去編が終了します…




