66 Consideration
ある日のユートピアでは、青空が広がる下で2人の男女が話していた。
「しつけーよ!リン!」
「なんで!ジェームズ君のケチ!」
生きる伝説の英雄ジョージの息子、ジェームズとその幼なじみの女の子のリン。ユートピアに帰還してリンはジェームズに地上のことを聞こうと話しかけるが、軽くあしらわれる日々が続いていた。
「なんでそんなに気になるんだよ」
「だってリン見たことないもん!気になるよ!」
話しかけられても止まることのない歩みに着いていこうと、結んだポニーテールを揺らしながら後ろを着いていく。
「ったく!地上のこと?最悪だったよ!それで満足か?」
「なにそれ!?思ったのと違う!何があるとかあるじゃん!?現地人いたんでしょ?」
「…」
ジェームズは地上で出会った少女マリーのことを思い出した。マリーは忌み嫌われていたジェームズに対して、気さくに話しかけてくれる存在であった。
だが、人に寄生するフュージョンライフに取り込まれ目の前で亡くなってしまったのだ。その悔しさが今でも尾を引いていた。
フラッシュバックのように思い出してしまい、ジェームズは歯を食いしばっていた。それを見たリンはマズイと思い、咄嗟に謝った。ジェームズは特に何も言い返すことなく歩き始めた。
「とりあえず無事で良かったね!レナードさんも心配してたし」
「あのおっさん、胡散臭いんだよ」
「え?そうかな?リンは優しい人にしか見てないけど」
「上っ面だろ、面厚そうだしな」
「こら!失礼なこと言っちゃダメ!」
リンはジェームズに肩パンをした。
「そうだ、皆が帰ってきた記念に出来た遊園地行ってみない?」
「遊園地?いつ出来たんだよ」
「最近!」
「1人で行ってこいよ」
「じゃじゃーん!なんとたまたま2人分のチケットあるんだ!」
リンはチケットをジェームズの顔の前でヒラヒラと靡かせアピールした。だが、ジェームズはそれを無視しようと進路を変えたが、リンは首根っこを掴み強制的に遊園地まで引っ張っていった。
2人は入り口を通り案内板を見ていた。
「わぁあ!これ!乗ってみたい」
リンは案内板を見てはしゃいでいたが、そんな子どもを見ている親のような顔で、はいはいと頷くだけのジェームズ。
「てか、こんなにすぐ出来た遊園地なんて危ないだろ」
「大丈夫だよ、ユートピアの技術舐めちゃダメだよ」
「あ、それもそうか。そういうのユートピアは便利だな」
「地上だとどんなのだったの!?」
「さぁ?なんの話だか」
「くそー!」
2人はアトラクションからパレードや食事を回った。ほぼリンの好みであり、笑顔のリンと仏頂面のジェームズだが、なんだかんだ最後まで付き合ったジェームズ。
時間も経ち青かった空も、段々オレンジ色に変わり夕日が見えてきた。最後に2人は観覧車に乗った。ゆっくりと進む観覧車。
「綺麗だね!」
「そうだな」
「遊んだな~!ジェームズ君文句言いながら最後まで一緒に遊んでくれたね」
「気が向いたからだよ」
ジェームズは頬杖をつき観覧車越しに夕日を眺めていた。頂上に行くにつれ夕日が目に入り思わず閉じた。顔を背け目を開けたとき、夕日に照らされるリンに思わず可愛いと思ってしまったジェームズ。
見つめられていることに気づいたリンはジェームズの顔を見ると視線をずらされた。
「あ~!今リンのこと可愛いとか思ったでしょー!」
「…んなわけねーだろ」
「そっか…愛想悪いと彼女できないよ?」
少し悲しそうな顔をしたリンを横目でみるジェームズ。
「……彼女は別にいらない、リンがいるしな」
夕日に照らされ赤くなった顔が隠れた。
「素直じゃないんだから!」
そう言いリンは向かい合っているジェームズに抱きついた。その行動に少し驚いたが、不思議と嫌な感情はなくリンの背中に手を伸ばした。
リンは嬉しくなり、うふふと笑みがこぼれた。
「今日は楽しかった?」
リンが尋ねた。
「ああ、楽しかった」
ジェームズの胸に押し当てていた顔を上げた。そこには少しだが笑うジェームズがいた。
「あ!やっと笑ってくれた!」
「?」
「ジェームズ君、戻ってきてから笑った顔見せなかったから不安だったんだよ」
リンなりの気遣いをここで知り、見上げている顔を再び胸に押し当てリンに見えないように笑った。
ありがとうございました。
なんか青春っぽいですね、ムズムズしますよ。
リア充滅びろ!




