51 運命か
丈/キャプテン 主人公
デイビス、アイビー、アリス、ヨル アイディール部隊メンバー
マシュー 発明家 ノックオーガ
布施のユニークにより、東西南北に散らばった丈達
TakeFiveの5人はそれぞれの自由を犠牲にし、地上に残された人々を密かに守り続けていたのであった。TakeFiveと丈はお互いの気持ちをぶつけ合い、丈は共に戦おうと提案した。その前に散らばった他のアイディール部隊のメンバーを見つけるために捜索を始めたのだが…
・西地区 〈丈 アリス マシュー ビータ〉
「おーい!デイビス!アイビー!ヨルー!」
「そんなに大きな声だしてると疲れるよ、キャプテン」
3人は残りのメンバーを探す旅に出たが、行き当たりばったりで当てもなく、地上に降りてからは衝撃の連続で疲弊してきていた。
「でもなー、色んな所に避難所があるのがわかったけど見つかりにくいところにあるから、声でも出していないと会えないだろー」
「それもそうだね、それよりここらで休憩しないか?少し疲れたよ」
「賛成!」
マシューの提案で木陰でしばし休むことになった。
「ふぅー!足がパンパンだよー」
「エドさん達からもらった飲み物まだあるか?」
「あるよ」
木陰で休んでいると近くを複数の獣型ライフが移動していた。その様子を観察していた3人は、
「なあ、あれを追いかければ何かしらに辿り着くんじゃないか?」
「やみくもに探すより名案かもね、アジトがあるかもしれない」
3人は獣型ライフの後ろを気づかれないように追いかけることにした。しばらく歩くと森が見えてきてその中へ入っていった。丈達も森へ足を踏み入れた。太陽が昇っていて暑かった道中とは違い、日差しが遮られ風も心地よく吹いた。
「涼しい…」
「ねえ、この葉っぱの集まりみたいなの何?」
「森だよ、このずっしりとした木がたくさんあるだろう?ユートピアにも似たような物はあったけど、こっちのほうが迫力あるだろう」
「森…キャプテンは物知りだね」
アリスは空中都市の生まれで、天然の自然を見たことがなかったのである。そのため地上に降りた後に見た海や森は、初見で全て興味津々であったのだ。
「俺は…」
丈は思わず口を滑らしそうになった。丈は丈でも中身と記憶だけの話で、外見はジョージという人物であり皆からはキャプテン/ジョージだと認識され生活をしている。丈は、既に自分がジョージの身体に転生していると言い出すタイミングを失っていた。いや、このままジョージとして生きていくのも悪くはないと少し思い始めていたのだ。そんなことを頭の中で思っていた時、追いかけていた獣型ライフの後方、丈達の後ろから何か音が聞こえた。振り返ると別の獣型ライフがビームを放ってきたのであった。
「危ない!」
マシューの掛け声で全員がビームを避けた。だが、
「危なかった…」
「いや、最悪の状況だな」
ビームの音に反応し、追いかけていた獣型ライフが丈達の存在に気づいてしまった。挟み撃ちにされ波状攻撃が始まった。
3人はバラバラに別れまとめてやられないように立ち回った。
「こういう時にヨルがいてくれたらな…」
ヨルは索敵に長けており、戦場を俯瞰に見ることが可能であった。こういった乱戦で真価を発揮できる人材であるが丈達とは別行動をしており戦況は不利であった。
すると、遠方から銃声が聞こえ獣型ライフを攻撃していた。状況が掴めなかった丈だが、狙撃位置を黙視すると正体がわかり口角が上がった。
「噂をすると…ってね」
狙撃をしていたのはなんと、ヨルであった。木と木の間をスルスルと通り抜け狙撃位置を変え、獣型ライフに位置を把握されないように立ち回っていた。
丈達の攻撃の隙を埋めるように狙撃をしており、息のつかない攻撃に戦況がひっくり返り、獣型ライフを撃退することが出来た。
ヨルは獣型ライフが去ったことを確認し、すぐに森を駆け抜け丈達の元へ向かった。
「キャプテン!皆さん!」
「おー!ヨル!無事だったか!」
「はい!アリスさんもマシューさん達も!」
「ヨル~久しぶり~!」
「やあ、元気そうで何よりだよ」
「ヨルはなんでここに?」
「この森の中に避難所があってそこでお世話になっていたんです。そうしたら、獣型ライフの反応があったので様子を見に来たらって感じです!」
「そうだったのか、森の中にか…確かに身を潜めるには最適かもな」
「そこにはデイビスさんとアイビーさん達もいますよ!」
「そうなのか!2人も無事だったのか!なら早く会いに行こう」
「そうですね…」
ヨルの表情が暗くなるのを感じた丈は、
「ん?2人になにかあったのか?」
「いえ!お2人は何もないんですが…なんというか」
「え?」
「キャプテンが少し驚かれる人が避難所にいて」
申し訳なさそうな言い方で伝えるヨルであった。
「いやいや、ここまで来るのに驚きの連続だったんだぞ?ちょっとやそっとで驚かないよ」
「そうですか?なら避難所に行きましょうか」
そういうことでヨルの先導で、森の中の避難所へ向かうことになった。
マシューはヨルが言っていたキャプテンが驚く人という言葉に引っ掛かっていた。
「ヨル、そのキャプテンが驚く人って?」
「その人は…」
「待て待てマシュー、ネタバレはするなよ着いてからの楽しみにしておこうぜ」
「そうかもしれないが…」
「予想くらいはしておくか、んー?俺の勇ましい姿に惚れた女の子がいるとかか?いやー!嬉しいけど気持ちには答えてあげられないなー!」
1人ではしゃいでいる丈を横目に、まさかと勘ぐるマシュー。
「ここです」
森を抜けると、木々に隠れるくらいの建物が見えてきた。そこは2階建てで周りを鉄柵で囲まれており、今まで訪れた避難所とは違い、厳重で只者ではない人達がいるのだろうと容易に想像できた。
「なんか、物々しいな」
「避難所の皆さん優しいですよ」
ヨルは外にいる見張りに挨拶をして、鉄柵を開けてもらい中へ入った。
ガチャ 鉄でできた扉を開けると、そこには広いテーブルと椅子が並んでおり、避難所の人達が談笑をしたり食事を食べている人がいた。その奥から丈達を呼ぶ声がした。
「わぁー!キャプテン!皆!」
ピョンピョン飛び跳ねながら来たのはアイビーであった。その後にデイビスも続いて歩いてきた。
「アイディール部隊は揃ったな」
「なんか、懐かしいな」
会っていない実時間は、だいたい1か月ほどでありそれまで全員が色んな体験をしたため、余計にメンバーに懐かしさを感じた。
「あ、ヨル」
「はい?」
「俺が驚くって人は?」
「あ、えっと」
ヨルはその人物を背伸びしながら探していた。すると、丈の後ろから話しかける声が聞こえた。
「到着したか」
「え?」
丈が振り返るとそこには、鏡があるのかと錯覚してしまうほどの人物が立っていた。
「やあ、もう一人の俺と言うべきか?」
ありがとうございました。
ようやくジェームズ以外のメンバーが揃うことができました。さてさて、丈が出会ったのは自分と瓜二つの人物でしたが…




