49 清濁併せ呑む額縁
少年 煌めきそして澄んだ瞳をしている
母親 少年の母
ホッパーライフ
布施のユニークにより、東西南北に散らばった丈達
丈、マシュー、アリスは故障したビータを直すためにユートピアを裏切った布施を探すことが必要になった。布施の居場所を目指す最中、ライフの味方する5人組の人間達 TakeFiveが立ちはだかった。彼らが地上の人間達から離れ敵対している理由とは…
現在の時間から約50年前、突如隕石のような物が落ちそこから謎の生命体 ライフが地上に住まう人類を襲い始めた。当然抵抗する人類であったが、当時の科学技術では追い払うだけが精一杯であり、徐々にライフに勢いが傾いていた。
そして、緩やかに人類は全滅の一途を辿っていた。そんな中、たった5人の子どもが生き残った人類のため自分の人生を投げ売ってたのだ。
この話はその5人の子ども達の1人、少年に焦点を当てたものである。
ライフの侵攻より、約40年の月日が経った。
食糧難・貧困に悩み、ライフの侵攻以外にも餓死や人生を諦め自ら命を絶つものが後を絶たず、いつしかそれがよくある光景となっていた残酷な時代。
大人達は生まれた時からこのような事態であり、育つ過程で生きる意味を学ばず、悩み死にゆく…そんな世も末の世界にまだ希望を持った人類も少なからずいた。
少年もその1人…と言うよりも母親の影響が強く、生きることに悲観にならず生きている。
服装や髪はボロボロのボサボサであったが、その少年の瞳はこの世界には似つかわしく、煌めきそして澄んだ目であった。親子でだれかに会うと「目がとても似てますね」と毎回言われるくらいだ。
そんな目に映るのは、生きることを諦めている人達、それが何故なのかそれが理解できずにいた。噂程度であるが、ユートピアという地上を捨て空へ逃げていったという者達が残していった"後天的に超能力を身に付ける"という技術が地上にもまだ残っており血清を打った子ども達が少ないながらも超能力を発現し、ライフに抵抗していると…。
なんだ、生きていく希望はあるじゃないか!そう楽観的に子どもながら考えている少年。それを大人に伝えても「だからなんだ、どうせ化け物にやられてしまいだ」
何を期待している、と言わんばかりの目つきで突き放される始末。少年がいる避難所はその超能力を持った人等当然おらず、武器も1つもなくせめてもの抵抗すら出来ずにいる。何も考えずただただ…まるで、心臓を動かし脈をうち身体に血液を巡らせているだけのマネキンのようだ。
少年は居住地に戻った。そこにはまたもこの世界には似つかわしくないほどの元気を持った女性がいた。少年の母親である。少年と目もとは本当によく似ていてそれ以外は恐らく父親に似たようだ。
「おかえり!あれ?どうしたの?」
母親が少し元気の無さそうな少年をみて心配になり尋ねると、一緒にいる避難所の人達の様子をみて悩んでいると。
「全く!大の大人がしんみりして!何のために生きてるのさ!」
頬を膨らまし、怒ったようにしていた。
「お母さんはなんで生きていくの?」
子どもながらにド直球な質問をした。
「もちろん、お父さんの分もあなたと幸せに笑って暮らすためよ」
少年の父親、母親の夫は少年が幼い頃にライフに殺されてしまった。形見となるものは跡形もなく踏み潰されこの世を去った。実はそこで母親は生きていくことを諦めようと自分も殺されにいこうとしてしまった。
だが、赤ん坊の少年の泣き声が耳に聞こえ、私が死んだら誰がこの子を幸せにするの?と立ち止まった。母親には避難所の人達の気持ちは痛いほど伝わるが、
それが"生きることを諦める理由にはならない"。と前向きに考えを改めた。
それから自分の気持ちを切り替え、一緒にいる人達を元気付けていったが効果は全くない状態であった。
「いい?私達だけでも生きることを諦めちゃダメ!死ぬことより生きることの方が尊いの」
この言葉はよく母親が口にする。生きるとは何なのかをマトモな教育が受けられない中、必死に考えていた。
そんな生活を過ごしていた少年は、食べ物を探しに避難所を離れていた。すると、大きな獣のような鳴き声と銃声のような音が聞こえてきた。物陰から様子をみると獣型ライフと戦う生き残りの人達がいた。
少年は初めてみたのだ、生きることを諦める物に抗う姿を。少年の脳に鮮烈に残り、この事を避難所のひとに伝えよう。皆で抗おうと…
母親の言うことが少しずつ理解できるようになり、興奮気味に母親が待つ避難所までがむしゃらに走った。しかし、避難所に着くと先程戦っていた化け物に似た化け物が無数に蔓延っていた。その隙間からは倒壊した避難所と横たわる人達であった。
「みんな!」
バレたら危ないと判断するにはまだ若すぎる。そのか細い声に気付き、化け物/獣型ライフは少年を睨み付けた。倒壊した避難所の方から、母親の声が聞こえた。
「逃げなさい!」
母親はなんとか無事であったが、建物に足を取られ身動きが取れないでいた。獣型ライフの隙間を抜け母親のもとへ向かう少年。
「生きるんでしょ!?さっきすごいものをみたんだ!お母さんにも見せたいよ!」
こんな時にもその瞳は煌めきそして澄んでいた。
「人間のガキか、ちょうどいい」
獣型ライフをかき分け少年と母親の前に立ったのは、人と同じ二足歩行する化け物/人型ライフ(後のホッパーライフ 第二章41話以降 参照)
「そこのガキ、生きたいのか?」
ホッパーライフは問いかけながら、少年へ歩んでいった。少年が危ないと母親は逃げるように伝えるが時既に遅く、目の前まで来ていた。
「生きたいよ」
「そうか、なら生きるための選択肢をやろう」
そう言い、ホッパーライフは一丁の拳銃を取り出した。おそらくこれまで抵抗してきた人間から奪ったものだろう。
「これを使い、母親を殺せ。そうすれば生かしてやろう」
ありがとうございました。
とある、1人の子どものお話です。




