17 夏の風物詩
丈/キャプテン 主人公
デイビス、アイビー、アリス、ヨル アイディール部隊メンバー
エヴァ サポーター的存在
キィン!荒野に響く金属音がライフを両断した。そこには汗だくのアイディール部隊が戦闘を終えたところであった。
『これで全部か?』丈は額の汗を戦闘服で拭った。『はい、これで終わりのはずですが…』ヨルが周囲の探知をしながら答えた。『この前みたいな操作されているライフは見なくなったな』『おそらく俺達との戦闘で警戒度を上げたのだろう。それにしても…』
「あっついいい!!!!」丈が身に纏う熱波を振り払うかの如く叫んだ。丈に近づいていたアリスがその絶叫に驚いた。「うわっ!!ビックリした!そんなに暑いの?」「え?アリス達は暑くないの?」え?信じらんないとばかりの顔を全員に向ける丈に、「まぁ、もちろん暑いけど"上"に比べたらへっちゃらだよ」空を飛行していたアイビーが丈の隣に降り立ち話した。
「だよな、戦闘終わったけどユートピアに帰りたくないよ…」「こっちもこっちで地面からの熱で大分暑いけどな」デイビスが回収班と輸送機の手配を終え合流をした。「帰るか…」
「お疲れさまでした!!」エヴァはいつも通りに元気に帰還を出迎えてくれている。「…元気だねエヴァ」「なんのこれしきですよ!キャプテンが暑さに弱いのは意外でした!」「だって…ユートピアは雲の上にあるんだよ?当たり前だけど地上より太陽近いんだよ?環境に殺されそうなんだよ?」ライフと闘うよりも弱気なキャプテンを前にエヴァは「ユートピアを囲っている膜は紫外線をカットしてるのでそこまでですよ?」キョトンとしながら説明するが、「まぁ、まぁね?そうなんですけどーそういうことでもないよ…」「…?」「エヴァってこんなに元気っ子だっけ?」アリスに半ば助けを求めるように話しかけた丈だった。「エヴァは寒いより暑い方が好きだからな」「まじかよ…もう涼もう」そう言って丈は室内へ入っていった。
「きもちぃ~!」シャワーで汗を流した丈とデイビス、アイビー
「まあ、確かに暑いよな~」「だろ!?」「熱中症と脱水になっちゃうよ」「ねっちゅ…え?」「あ!何でもない!」「そう?」「(あぶねー)皆はこういう暑いときはどうやって涼むんだ?」「涼む…外になるべく出ないとか?」「それだけ!?」「それだけって言われてもな?」
「だから、暑さに皆強いのか…」
キュッ!シャワーの蛇口を閉めたデイビスは「キャプテンは何か良い方法があるのか?」
「無くもないけど…(この世界に違和感の無い涼む方法って何がある?)あっ!!あれだ!」「?」
丈はアイディール部隊の皆とエヴァを某施設内へ集めた。「氷と果物持ってきたけど、なにするんだキャプテン?」「お前達に極上の一品を振る舞ってやろう…はっはっはっ!」「…暑さで壊れたか」「そこ!違うよ!」丈は小声でディスるアリスに指を指して指摘した。
「気を取り直して、この甘い果物を潰し果汁を取り出す。そしてこの氷の塊を粗く砕く」「ほうほう」皆が珍しそうなものを見るように興味津々で丈の作るものを見ていた。
「砕いた氷の上に果汁をたらしせば!」「おおー!なんだこれは!?」「名付けて!かき氷だ!」
器の上に砕けた氷に甘い果物の匂いをさせた初めて見た物に興奮を隠しきれないメンバーであり、いち早く手をつけたのはエヴァであった。「食べても良いんですか!?」「召し上がれ」そう言いスプーンをエヴァに渡し、エヴァは果汁がかかっている氷の部分をすくい口へ運んだ。「ん~っ!」口へ入れた途端に頭が痛くなりそれを耐えた先には
「美味しい!!」「まじか!」キラキラとさせて食べ続けるエヴァに丈はニヤリと笑い「さぁ、皆も召し上がれ」皆が各々口へ運んでいった。「なんだこれは!?身体が一気に冷えていくのが伝わってくるぞ!」「それに果物の果汁のお陰で冷たいのにドンドン食べたくなっていく!」それぞれの感想が行き交いながら食べ続けていく皆に丈は、「食レポ上手いな皆」
「上手かった~」「おいしかったです!」
「皆に喜んでもらって良かったよ」「キャプテンは何でかき氷とやらを知っているんですか?」ヨルの質問にやべっ!となり慌てた丈は「アイディアが舞い降りてきたんだよ」どや顔気味な顔で答えた。
「皆に喜んでもらった本当に良かったよ!そこでなんだけどこれをユートピアに住む人達にも振る舞いたいんだよな」「それはいいね!」「早速振る舞いにいこう!」
一致団結したアイディール部隊とエヴァによりユートピア住民にかき氷が提供されていった。「これで少しは涼むといいな…」笑顔で美味しそうに食べていく人々を眺めながら丈も嬉しくなり、「これぞ夏の風物詩だよな~さて!俺もまた食べよう!」
ありがとうございました。
最近ずっと暑いですので、涼しそうな物を描いてみました。私はかき氷はあまり食べないです。